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03月08日-07号

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  1. 高知県議会 2018-03-08
    03月08日-07号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成30年  2月 定例会(第343回)        平成30年3月8日(木曜日) 開議第7日-----------------------------------出席議員       1番  下村勝幸君       2番  野町雅樹君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  久保博道君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  浜田豪太君       9番  横山文人君       10番  加藤 漠君       11番  坂本孝幸君       12番  西内 健君       13番  弘田兼一君       14番  明神健夫君       15番  依光晃一郎君       16番  梶原大介君       17番  桑名龍吾君       18番  武石利彦君       19番  三石文隆君       20番  浜田英宏君       21番  土森正典君       22番  西森雅和君       23番  黒岩正好君       24番  池脇純一君       25番  石井 孝君       26番  大野辰哉君       27番  橋本敏男君       28番  前田 強君       29番  高橋 徹君       30番  上田周五君       31番  坂本茂雄君       32番  中内桂郎君       33番  金岡佳時君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       梶 元伸君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     山本 治君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活スポーツ部長 門田登志和君  産業振興推進部長   松尾晋次君  中山間振興・交通部長 樋口毅彦君  商工労働部長     中澤一眞君  観光振興部長     伊藤博明君  農業振興部長     笹岡貴文君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       福田敬大君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     井奥和男君  教育長        田村壮児君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  金谷正文君  公安委員長職務代理者 西山彰一君  警察本部長      小柳誠二君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   川村雅計君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      西森達也君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第7号)   平成30年3月8日午前10時開議第1 第1号 平成30年度高知県一般会計予算 第2号 平成30年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 平成30年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 平成30年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 平成30年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 平成30年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 平成30年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 平成30年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 平成30年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 平成30年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 平成30年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 平成30年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 平成30年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 平成30年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 平成30年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 平成30年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 平成30年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 平成30年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第19号 平成30年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第20号 平成30年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第21号 平成30年度高知県電気事業会計予算 第22号 平成30年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 平成30年度高知県病院事業会計予算 第24号 平成29年度高知県一般会計補正予算 第25号 平成29年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 平成29年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第27号 平成29年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 平成29年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 平成29年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第30号 平成29年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 平成29年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 平成29年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第33号 平成29年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 平成29年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 平成29年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第36号 平成29年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第37号 平成29年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第38号 平成29年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第39号 平成29年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第40号 平成29年度高知県電気事業会計補正予算 第41号 平成29年度高知県病院事業会計補正予算 第42号 高知県防災対策基金条例議案 第43号 高知県歯科衛生士養成奨学金貸付け条例議案 第44号 高知県国民健康保険財政調整基金条例議案 第45号 高知県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例議案 第46号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第47号 知事、副知事及び教育長の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第49号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第52号 高知県看護師等養成奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第53号 持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律の施行による国民健康保険法の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第54号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県旅館業法施行条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県介護保険法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営等に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第64号 高知県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第66号 高知県指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第67号 高知県指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第68号 高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第69号 高知県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第70号 高知県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第71号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第72号 高知県安心こども基金条例の一部を改正する条例議案 第73号 高知県消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例議案 第74号 高知県計量法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第75号 高知県農林業基本対策審議会条例の一部を改正する条例議案 第76号 高知県褐毛和種高知系受精卵移植用乳用牛貸付け条例の一部を改正する条例議案 第77号 土地改良事業費分担金等徴収条例の一部を改正する条例議案 第78号 高知県地域環境保全基金条例の一部を改正する条例議案 第79号 高知県屋外広告物条例の一部を改正する条例議案 第80号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第81号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第82号 高知県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例議案 第83号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第84号 高知県地域医療再生臨時特例基金条例を廃止する条例議案 第85号 高知県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例を廃止する条例議案 第86号 高知県土地開発基金条例を廃止する条例議案 第87号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案 第88号 高知県が当事者である民事調停の合意に関する議案 第89号 高知県及び中芸広域連合中芸保健福祉推進協議会の廃止に関する議案 第90号 高知県立手結港海岸緑地公園の指定管理者の指定に関する議案 第91号 権利の放棄に関する議案 第92号 権利の放棄に関する議案 第93号 権利の放棄に関する議案 第94号 県有財産(土地)の取得に関する議案 第95号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第96号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第97号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第98号 国道494号社会資本整備総合交付金(水口トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第99号 町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金(佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第100号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案第2 一般質問(一問一答形式による)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(浜田英宏君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(浜田英宏君) 御報告いたします。 公安委員長織田英正君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員西山彰一君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(浜田英宏君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成30年度高知県一般会計予算」から第100号「和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上100件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることといたします。 横山文人君の持ち時間は50分です。 9番横山文人君。 ◆9番(横山文人君) 6日間にわたる質問戦の最終日のトップバッターを務めさせていただきます。自由民主党の横山文人でございます。議長にお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。 まず、本県の代表的な伝統産業である土佐和紙の振興についてお伺いをいたします。 日本三大和紙の一つである土佐和紙の歴史は大変に古く、私の地元いの町のシンボルでもあります。清流仁淀川の恵みを受け、1,000年の歴史を持つ土佐和紙でありますが、その起源は土佐藩の御用和紙、土佐七色紙でありました。ここで、この土佐七色紙にまつわる歴史と伝説を少しお話しさせていただきます。 七色紙が誕生したのは、戦国の世が少し落ちついた天正19年、1591年であります。そのころ伊予の国の修験者、新之丞は、四国行脚の途中、土佐成山村、現在のいの町成山地区で病に倒れ、この地に隠棲していた長宗我部元親公の妹、養甫尼と、おいに当たる安芸国虎の次男、安芸三郎左衛門家友の手厚い介抱によって回復に向かいます。その後元気を取り戻した新之丞はお礼にと、コウゾとガンピを使った製紙の技術を伝授し、3人は力を合わせて草木染による美しい土佐和紙をつくり上げることができました。やがて慶長元年、1596年、新之丞は故郷である伊予日向谷村へ帰ることとなります。しかし、当時七色紙の秘法が他藩に漏れることを恐れた家友によって仏ヶ峠で背後から切りつけられ、悲しい最期を遂げてしまうのであります。これが今なお、いの町成山地区に伝わる土佐七色紙の悲話であります。 その後、土佐の国が長宗我部氏から山内一豊公の世に移り、慶長6年、1601年、家友が七色紙を献上したところ大層気に入られ、幕府への献上品や藩の御用紙に認められて、ここに幕末まで続く御用紙すき制度が生まれました。選ばれた御用紙すき24軒の中でも、幕末の製紙家、吉井源太翁の活躍は目覚ましいもので、土佐はもちろん、全国の製紙技術向上に貢献をしました。 高知県紙業界の功労者である吉井源太翁は、書籍、土佐の歴史と文化によりますと、文政9年、1826年に土佐和紙の中心的生産地であった吾川郡伊野村に生まれ、明治41年、1908年に没するまで、土佐和紙の改良、発展に努めました。吉井源太翁は、抄紙部を初め、産業振興を進めた農商務省や民間の貿易商などとも広くかかわりを持ちつつ、抄造方法及び薬剤の利用方法等について研究を行い、新しい紙を開発しました。この2つの主体によって開発された技術は、以後の手すき和紙業界全体に大きな意味を持つ、改良紙や特殊紙と呼ばれる新しい紙を創出することになりました。このことは、明治31年、1898年に出版された著書、日本製紙論で細部にわたり述べられております。その中で吉井源太翁は、日本の紙が滑らかで緻密、また保存性にすぐれていることは世界の中でぬきんでているのだから、製紙業者は大いに世界の市場で競争する覚悟を持つべきであると呼びかけています。 そして、幕末・明治期の吉井源太翁の開発、普及から150年余り、現在では不織布の新たな開発や、セルロースナノファイバーなどの新製法へと、製紙技術はイノベーションの中心的な存在であり続けており、まさに先覚者の言葉であったと感嘆するばかりであります。 このような歴史を持つ紙業王国高知県ですが、紙の起源でもある土佐和紙、もしくは伝統産業としての手すき和紙の存続が、今まさに岐路に立たされていると危惧をするところであります。そこにはコウゾなどの原料の不足、簀桁など紙すき用具の問題、職人の育成・自立という課題などに加え、日本三大和紙の一つである土佐和紙のすばらしさを現代にどう発信し生かしていくのかという、文化的な掘り起こしも必要となります。すなわち、川上、川中、川下における現状の分析と課題解決が求められているのではないでしょうか。そして、土佐和紙に端を発する現在の紙産業を本県の主要産業として、いかに展開し発展させていくのか、さらなる戦略のグランドデザインを描いていかなければなりません。 そこで、この土佐和紙の課題について順次お聞きしていきます。まず、川上である原料の問題についてでありますが、さきにるる述べました、紙産業がどうして本県で発展を遂げてきたのかの理由の一つには、原料となるコウゾとミツマタの日本最大級の産地であったことが挙げられます。土佐和紙の魅力、その大きな特徴として原料や道具、職人の全てが地元のものであるということがあります。つまり、和紙づくりに適した土地柄であり、その結果、日本に冠たる土佐和紙が形成されたわけでありますが、今現在その原料の確保という大きな課題が横たわっているのです。 和紙の三大原料として挙げられるものは、コウゾ、ミツマタ、ガンピで、それに紙の繊維をつなぐネリが必要となります。土佐和紙の主な原料であるコウゾは、最も多かった明治時代で4,000トンを生産していましたが、県の調べによりますと、昭和45年に796トンあったものが、平成27年にはわずか8トンと100分の1に激減しました。時代の変化に伴い、和紙が余り使われなくなったことや、コウゾ農家の高齢化に加え、タイなどの安い外国産のコウゾがふえ国産の値が下がり、農家所得も下落したことによって後継者がいなくなったことなどが原因ではないかと推測されます。 私もこの課題に関しまして、平成28年の県議会9月定例会で御質問をさせていただきました。そのときの御答弁によれば、現在コウゾの生産状況について実態の把握に努めていること、その結果を踏まえて、庁内の関係部局で構成される特用林産推進チームや産業振興推進地域本部と連携しながら、今後の展開を検討するとのお答えをいただいております。 そこで、以後このことについて現状はどうなっているのか、商工労働部長にお伺いします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) コウゾの生産状況等については、昨年度に特用林産推進チームがJAや原料商に出向いて調査を行いました。この調査において、和紙の需要減退や外国産コウゾの増加による生産量の減少、生産者の高齢化による担い手不足など厳しい生産状況にあることがわかっております。 また、今年度いの町が実施しましたコウゾ生産者の調査に仁淀川地域本部が同行して、個々の生産者を一軒一軒訪問し、栽培状況や出荷の課題などの聞き取り調査を実施しております。その結果、コウゾ生産量は前回調査の平成22年度から約3分の1にまで減少しており、その主な要因は高齢化に加え、生産工程に係る労力の大きさに比べて収入が少ないといったようなことなどでありまして、生産者にとって深刻な状況が続いているものと認識をしております。 ◆9番(横山文人君) また、紙すき職人の中には、自分たちで原料を栽培しているところもあります。栽培意欲のある方たちが耕作放棄地を活用できるようにできないか、農業振興部長にお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 農地を将来にわたって有効利用していくため、県では耕作放棄地での営農再開に必要な活動を支援する、国の荒廃農地等利活用促進交付金を活用しながら、耕作放棄地の発生防止と活用に取り組んでいるところでございます。耕作放棄地において、土佐和紙の原料であるコウゾなどを継続的に肥培管理して栽培する場合には、この事業の活用が可能でありますことから、栽培意欲のある方々に対して市町村を通じて事業の活用を促していきたいと考えております。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございました。 原料に続いてですが、紙すきの道具についてもお聞きをいたします。手すき和紙には原料とともに、簀桁や簾網といった用具が欠かすことができません。それをつくる職人さんたちの高齢化、技術の保存、継承していく後継者の問題が顕在化しています。現在、手すき和紙業界においては、全国手漉和紙用具製作技術保存会が国の認定を受け、取り組んでおり、その事務局は本県に置かれております。 そこで、紙すき用具の確保に欠かせないこの用具製作技術保存会の活動について本県はどのようにかかわっているのか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(田村壮児君) 全国手漉和紙用具製作技術保存会とのかかわりということでございますけれども、この保存会が実施いたします後継者育成のための研修や技術向上の研修会などの費用に対しては、国から補助金が交付をされております。この補助金に関しまして、本県が事務局を担当しているということもございまして、県では、平成26年度から補助金の支出について、保存会と国の間の調整を行っておりまして、技術向上のための研修や後継者育成事業などの事業計画の検討に当たっては、直接お話を伺って状況把握に努めているところでございます。 ◆9番(横山文人君) 現在、県内には用具職人さんは2名とのことでありますが、うち1名は御高齢と聞いております。現状を考えると、紙すき用具に関する技術の保存と継承は喫緊の課題だと思われるのですが、今後どう取り組まれるのか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(田村壮児君) 先ほど申しました国の補助金を活用して、全国手漉和紙用具製作技術保存会が行っております後継者育成の研修につきましては、平成23年から今年度まで毎年2名から4名受講しておりますけれども、高知県からは毎年1名から3名が受講しております。そのうち1名の方が継続して毎年研修を受けておりまして、本県の用具製作の後継者育成につながっております。 今後とも、保存会事務局との連携を密にして、製作現場の状況や研修など、事業の実施状況をお聞きして、研修への県内受講者の増加に努めていきたいと考えております。 ◆9番(横山文人君) どうもありがとうございます。 次に、川中である紙すき職人についてお聞きをします。高知県手すき和紙協同組合によれば、組合結成時の昭和51年の組合員数約60名から現在では18名と、その数は3分の1に減少しております。さきに述べた時代背景の変容もあり、なかなか手すき和紙職人の育成と自立化は厳しい現実にさらされております。しかしながら、若手の後継者が本県の長期研修制度の活用などで生まれているのも事実でありまして、大変ありがたい制度であることも承知をいたしております。このような職人をしっかりと育て、後世につないでいくためにも、研修制度の継続は不可欠であり、さらには研修後に自立できる環境整備も同時並行で進めていかなければなりません。 そこで、研修生などが、後々販路を開いていけるように、また自社工房を持つなどみずからの力で手すき和紙産業を営むことができるように、研修時から研修後の自立化に向け支援していくシステムも講ずべきではないかと考えますが、このことについて商工労働部長にお聞きします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 研修生を支援する取り組みとしては、年に1回土佐和紙を初め土佐打ち刃物や土佐すずりの研修生を対象に交流会を開催して、研修中の悩みや不安を共有して解決できる研修生同士のネットワークづくりや、研修修了生や先輩からの自立に向けたアドバイスを行っております。 また、自立に当たっては、地域活性化雇用創造プロジェクトの求職者雇入れ研修支援事業では、この中に伝統産業を対象に加えておりますほか、こうち起業サロンや土佐MBAなどの起業施策も活用していただきながら、地元に根差す手すき和紙職人として活躍をしていただけるようサポートをしてまいります。 ◆9番(横山文人君) 例えば、研修生がすいた紙を県のさまざまな場面で使ってあげることもその後につながる大事な支援だと考えますけれども、御所見を商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 研修生はまだ和紙を一定のレベルに仕上げるまでの技術には至っておりませんので、研修生がすいた紙を使用する場面は限られてしまいますけれども、研修生の成果を発表する場として、昨年11月に開催をされたものづくり総合技術展の伝統的工芸品などの展示ブースにおきまして、研修生がすいた紙の展示を行いました。研修生も会場で来場者に説明を行うことで、今後の研修への刺激になったというふうにお聞きをしております。 こうしたイベントを通じて多くの人に成果を見てもらうことは、モチベーションの向上にもつながると思いますので、引き続き展示会あるいはイベントなどで研修生の和紙の活用を検討してまいります。 ◆9番(横山文人君) どうもありがとうございます。 ここで私が強く訴えたいのは、衰退を余儀なくされている、本県の文化的財産とも言える土佐和紙に光を当て、技術を残し、継承していくためには今が正念場であるということであります。すなわち、本気の取り組みが要るということなのであります。先ほどから原料や道具、そして紙すき職人などの課題を取り上げてまいりましたが、最も重要なことは、高知県が生んだ土佐和紙を県民自身が親しみ、誇りを持っていただく機運の醸成、県民運動としての土佐和紙文化の継承、発展であろうかと痛感いたしております。そういった追い風が、現場での職人に誇りと志を強く持たせ、使う側には土佐和紙に対する愛着が生まれるのだろうと感じています。この川下の現状づくりこそが未来への布石ではないでしょうか。 私は、地元いの町が土佐和紙発祥の地でもあり、早くからいろんな場面で和紙に触れ、親しむ機会に恵まれてまいりました。しかしながら、現在では土佐和紙を身近に感じる機会が失われつつあるのではないかと感じています。さきに申しましたが、土佐和紙の最大の魅力は、原料、道具、職人がそろい、世界に通用する技術を持って生み出された上質な和紙が我々の生活に溶け込んでこそ、その価値が形成され、広く周知がなされるものと思います。そこで、県民運動としての土佐和紙文化の必要性をここに提唱したいと思います。技術・生産の保持並びに文化の継承・発展、この両輪を捉えた施策が今まさに必要であります。 そこで、土佐和紙の文化継承・発展のために、県として土佐和紙にさらに親しむことの意義をどのように考えるのか、商工労働部長にお聞きします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) かつて、土佐和紙の産地では、身近に土佐和紙の原料を扱っている方や紙すきの職人、紙問屋など土佐和紙にかかわる方が大勢おられました。そうした環境の中で、子供のころから周りの大人たちのすばらしい技術を見て、土佐和紙のよさや魅力に気づき、またそれに携わる人に憧れて自分も土佐和紙職人となり、やがて同じように職人として活躍をするようになるといったような形で、土佐和紙の技術がこれまで受け継がれてきたものと思います。 仁淀川流域では、少なくなったとはいいましても、土佐和紙の川上から川中、川下にかかわる方々がいらっしゃいますし、紙とあそぼう作品展などの紙をテーマとしたイベントが開かれています。また、紙の博物館や土佐和紙工芸村などで土佐和紙をすく体験ができる環境も整っておりますので、これらを活用して土佐和紙に親しんでいく機会をふやしていくことは、土佐和紙の伝統を後世に伝えるために大きな意義があると、そのように考えています。
    ◆9番(横山文人君) そこで、技術・生産の保持並びに後継者の販路確立・自立化につなげるためにも、土佐和紙の県内外での消費拡大をどのように図っていくのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 消費拡大につながる新たな市場を開拓するため、高知県手すき和紙協同組合では図書の修復需要に向けた新商品の開発に取り組んでおり、県としましても企画の段階からマーケティング、PRなどを支援しております。また、県内ではものづくり総合技術展において、そこでの展示や紙関係事業者を招聘した商談会などを実施するとともに、県外では首都圏において和紙専門店と連携した土佐和紙展の開催や、国際展示場で行われるギフトショーへの出展などを行っております。さらに、大手時計メーカーの腕時計の文字盤に土佐和紙が採用された事例のように、魅力のある商品とのコラボにつながるような、紙産業技術センターの技術支援も行いながら、引き続き土佐和紙の消費拡大を支援してまいります。 ◆9番(横山文人君) また、和紙文化の継承、発展には、次世代を担う子供たちが、本県の宝であり伝統産業である土佐和紙の歴史を学び、体験し、活用するなど、土佐和紙を身近に感じてもらうことが肝要だと考えますが、教育現場ではどうか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(田村壮児君) お話にありましたように、土佐和紙を初め本県の、また地域の伝統的な産業や工芸を継承、発展させていくためには、身近にこれらの産業や工芸を感じ、その伝統を学習していくことが肝要と思います。このようなことから、小中学校では地域の伝統的な産業や工芸、技術について学習をしております。特に、いの町や土佐市など土佐和紙に関係する市町村の小中学校では、手すき和紙づくりや和紙を使った美術作品づくりなどが行われ、自分がすいた和紙で卒業証書を制作する学校もございます。 高等学校では、芸術科目や家庭科の授業などにおいて素材として活用するほか、幾つかの高等学校においては土佐和紙の魅力をPRする活動を行っております。いの町の伊野商業高校では商業技術部メンバー有志が、土佐和紙を愛しちゅうはちきんズとして、土佐和紙の世界遺産認定を目指し、県内外におけるPR活動や商品開発に取り組んでおります。 このように各校種、各学年のさまざまな場面で土佐和紙に触れ、学習する機会を設けているところでございます。 ◆9番(横山文人君) そこで、今後土佐和紙文化の維持、発展のため教育現場でさらにどう取り組んでいくのか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) ただいま申しましたように、さまざまな年代、場面で土佐和紙を初めふるさとの伝統技術や工芸品の魅力に触れるとともに、地域の伝統や文化、産業に関する学習を通じて地域への愛着や誇りを持つ心を育んでいるところでございます。また、新学習指導要領においては、グローバル化の進展に伴い、これまで以上に日本やふるさとの伝統文化の学習を充実させ、その価値を大切にする心を育むことの重要性が述べられており、こうした取り組みをさらに充実させていく必要があると考えております。 こうしたことから県教育委員会といたしましても、ふるさとを大切にし、郷土を愛する心を育む教育の重要性を周知しているところでございます。今後、土佐の工芸品である土佐和紙についても、その伝統や歴史を学び、先人の思いや苦労を知り、これを大切に守り育てていくことの必要性について、関係する市町村ともしっかりと話し合い、このような教育が各学校でさらに推進されるよう支援してまいりたいと思っております。こうした取り組みを進めていく中で、土佐和紙に興味、関心を持つ子供たちがふえるとともに、その中から将来の土佐和紙を担うような人材が出てくることを期待しております。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございます。 それと例えば、現在も使われているとは思いますけれども、表彰状や県の特別な行事などから手すきの土佐和紙を利用する機会をもっとふやしていってはどうか、商工労働部長にお聞きします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 現在、私ども商工労働部では、表彰状や名刺のほかに海外の要人などへの贈呈品として、ちぎり絵や土佐凧など土佐和紙を使用した商品を選定するなど、積極的に利用させていただいております。観光振興部では、龍馬パスポートの殿堂入り達成プレゼントとして、土佐の匠に認定されている手すき職人の商品を採用しております。 来年度は、全国豊かな海づくり大会のような大きなイベントもありますので、そうした機会に各部局でも積極的に名刺や贈答品として活用することや、ふるさと納税の返礼品などに手すき和紙を使用するなど、庁内での利用促進に一層努めてまいります。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございます。 また、あわせて土佐和紙文化を県民に広く知らせるためには、新たにオープンするオーテピア高知図書館の展示やスペース等の活用もすべきではないかと考えますが、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) これまでにも県立図書館では、関係機関と連携して土佐和紙に関する企画展示などを開催し、図書館を利用される方に紹介を行っております。さらに、7月に開館するオーテピア高知図書館では、高知県にゆかりのある図書や資料などを高知県関係資料として幅広く収集することとしており、多くの利用者の方に土佐和紙に関心を持っていただき、よさを知ってもらえるよう提供していきたいと考えております。 あわせまして、関係機関と連携して、ホールや展示スペースなどを利用した企画展示やパンフレットの配布を行うほか、土佐和紙を使った製品などを展示し紹介することで、個人や団体、企業の取り組みや活動を後押ししていきたいと考えております。 ◆9番(横山文人君) また、県内の歴史的・文化的施設も積極的に活用すべきではないかと思いますが、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 土佐和紙につきましては、これまでも高知城歴史博物館において、古くから土佐の特産品として活用されてきていることを紹介してきておりますし、講座などでは保存専門の学芸員から、文化財の修復に土佐和紙が用いられていることなどを紹介もしております。また、この博物館の1階の和室の天井や壁の一部などに土佐和紙を使用し、土佐の伝統が生きる建築物として、土佐和紙をパンフレットや展示パネルなどで紹介をしております。 ことし5月には高知城歴史博物館と紙産業技術センターと連携した土佐和紙の講座の開催も予定しておりますが、今後におきましても、土佐和紙やその文化などについて紹介を行うなど、活用に努めてまいります。 ◆9番(横山文人君) さらに、本県には研究開発や技術支援を担う高知県紙産業技術センターがあります。この紙産業技術センターは、日本で随一の調査研究施設であり、そのポテンシャルは高く、生み出した技術は世界的な絵画の修復などにも活用されております。 今後、同センターを技術・研究面だけではなく、対外的なPRの場としても磨き上げ、広く知らしめていくことが重要だと考えますが、商工労働部長にお聞きします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 一昨年の11月にルーブル美術館の修復責任者の方が、土佐和紙の性質や製造工程を学ぶために紙産業技術センターを訪れるなど、センターが持つ文化財の紙の分析や手すき和紙製造の高い技術は、世界の専門家に認められております。本年6月には文化財保存修復学会が本県で開催されますので、そういった専門家の方々にセンターの技術力を知っていただけるよい機会だというふうに思っております。 また、こうした専門家以外の方々へのPRについても、専門性が高い分野をわかりやすく説明する工夫もしながら、毎年実施している一日公開デーなどで、より多くの人にセンターを知っていただけるよう努めてまいります。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございます。 そこで、普及啓発、販路拡大の事業実施主体として高知県手すき和紙協同組合があるわけですが、現状本県としては、高知県伝統的工芸品産業支援事業費補助金にて土佐和紙振興事業を支援しておりますが、今後さらに組合の普及活動が進展するよう、どのように連携し取り組むのか、商工労働部長にお聞きします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 高知県手すき和紙協同組合は、これまで伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく第6次振興計画を策定し、これに基づいて商品開発や販路開拓に取り組んでおられます。現在の計画は、平成26年から5年間で手すき和紙職人の技術・技法の承継や需要の開拓、認知度向上などに取り組むもので、県もその計画の策定から実施までを支援しているところでございます。 来年度末で現在の計画期間が満了をしますので、組合では次期振興計画の策定に向けて準備を進めていくというふうにお伺いをしております。県としましても、現在の振興計画の取り組み内容をしっかりと検証した上で、組合の新たな振興計画を検討段階から実行まで一貫して支援していきたいと考えております。 ◆9番(横山文人君) ここで、土佐和紙文化の保存と継承において、世界的な評価、つまりはユネスコの無形文化遺産登録に積極的に取り組んでいただきたいとお願いをするところであります。 平成26年11月に国連教育科学文化機関ユネスコが、「和紙:日本の手漉和紙技術」の無形文化遺産登録を決定したのは記憶に新しいところでございますが、この登録において、島根県の石州半紙、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙が選ばれ、土佐和紙は対象から外されることとなりました。なぜという声が出ている中、ポイントは国の重要無形文化財を保持、継承する団体の有無であったとされています。 知事も、同年11月28日の記者発表において、技術保持団体の有無が差を分けた、ユネスコ登録の問題では文化継承・発展における組織的な対応の重要性を再認識させられた、今後関係団体と話し合い、皆さんのお気持ちも大事にしながら我々としても積極的に対応していきたいとの旨を述べられております。 もちろん、ユネスコ登録だけが伝統文化の継承、発展ということではないでしょうし、保存団体としての活動の大変さ、どれくらいの活動期間で前が見えてくるのかという現実的な問題もあります。しかしながら、歴史と伝統ある土佐和紙が対象外という事実は、我々紙業王国高知県としても深く重く受けとめなければいけない問題であると考えます。 そこで、土佐和紙の無形文化遺産登録への決意を知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) このユネスコの無形文化遺産登録の中で、日本の手漉和紙技術が登録されたとき、高知が選に漏れたということを知ったときのことは、いまだに明確に覚えております。あれぐらい悔しかったことはありませんし、その後も大変厳しいお声を県民の皆さんからたくさんいただいたところであります。私も10年知事をやらせていただいておりますけれども、思い出したら眠れなくなるぐらい頭にくる案件というのが何個かありますが、そのうちの典型的な一つがこれでありました。私は、本当にこれを何とかしたいという思いを持たせていただいているところでございます。 御案内のように、国の重要無形文化財の指定が前提となるわけでありまして、そのためにも技術保持団体がなければならないということであります。このことについて、ぜひぜひ進めていくべく、今後も文化庁の皆さんをお招きしたりして、いろいろ研修の機会とか持たせていただいたりとか、そういう努力をさせていただきたいと思っています。ただもっと言いますと、なぜ技術保持団体をしっかりとした形でつくっていけないのかということを考えましたときに、この後の御質疑にもかかってこようかと思いますが、川上、川中、川下、それぞれにおいて大変厳しい状況があるから、そうなっているのだという、より大きい背景があるということなのだろうと、そういうふうに思っています。 やはり大きい背景も含めて、トータルとしての土佐和紙の振興の取り組みをしっかり進めていく中で、次のステップとしてこういうものに進んでいけるということになっていくのだろうと、そういうふうに考えているところです。これは、もう私としても決意を持って取り組みたいと、そのように思います。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございます。知事の熱い思いを聞かせていただきました。 そこで、土佐和紙の魅力は、先ほども申しましたけれども、全てにおいて地元のものでつくられていることでありまして、これは比類を見ないものであります。しかしながら、国の重要無形文化財の指定に当たっては、まず技術保持団体の認定を受ける必要がありますが、このことについてどう取り組むのか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 国の重要無形文化財は、個別の紙の種類と製作技術を特定して指定することになっております。そして、現に生産している事業者、3者以上で、今お話にありました技術保持団体を結成し、技術伝承のための研修などの取り組みを計画的かつ継続的に行っていくことが必要でございます。 土佐和紙は、昭和55年に5つの種類の和紙をすく技術を県の無形文化財に指定しておりますけれども、典具帖紙、土佐清帳紙以外の和紙については、技術の伝承が完全に途絶えている状況でございます。技術が今日に伝承されている和紙につきましても、生産者が3者に達していないことから、国の重要無形文化財の指定に向けましては、まず取り組む和紙を特定して、次に取り組む生産者を決めていくことが必要となりますが、当面は県指定の和紙の生産技術を再確立することが重要であるとの認識を生産者と共有した結果、技術保持団体の母体となる組織として土佐和紙保存会が平成28年4月に発足しております。この保存会では、研修会の開催や広報・普及活動などを通じて、重要無形文化財の指定に向けた機運の醸成に努めているところでございます。 教育委員会といたしましても、保存会に伺って文化財指定の仕組みや課題を共有するとともに、機運醸成のために無形文化遺産に登録された岐阜県や重要無形文化財に指定された福井県など、先行している他の和紙産地の情報を収集し、技術保持団体になるために必要なプロセスなどの情報提供を保存会に行ってきておりますけれども、今後とも保存会の皆さんと文化財として伝承する和紙の選定と研修体制の確立などの検討を進めていきたいと考えております。 なお、技術保持団体として継続的に活動していくためには、選定した和紙の販路の確保など、生業として成り立つことが重要でありますことから、商工労働部とも連携しながら必要な支援を考えていきたいと思っております。 ◆9番(横山文人君) 本県の宝である土佐和紙の保存・継承と文化の発展・維持は、定性的にも定量的にも喫緊の課題であります。一方、仁淀川流域では、2月2日付の高知新聞に掲載されておりましたが、高齢ながらも原料産地を守ろうと頑張る、いの町吾北の地域活性化グループの皆さんや、そのグループと連携を図る手すき職人さんたち、また地元紙産業の若手グループ、わしみらいの会なども一生懸命活動してくれております。さらに、先ほど教育長の答弁にもありましたように、県立伊野商業高校2年生女子4名でつくる土佐和紙愛しちゅうはちきんズが、イベントの街頭で土佐和紙に親しんでもらうため、さらにはユネスコ登録への機運醸成を呼びかけ、ポケットティッシュを配るなどの活動をしてくれました。 このように県民の誰もが親しみ、触れて、なじむことのできる土佐和紙の発展のために、引き続き仁淀川流域を挙げて取り組んでいただきたいし、そのためにも県が先頭に立って、川上、川中、川下全てに汗をかいてもらいたいと強く願うところであります。 そこで、この項最後に、今後の土佐和紙戦略のグランドデザインをどのように描いていくのか、知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 先ほども申し上げましたように、例えば技術保持団体をどのように育成していくか、そういう取り組みなどをしてきたわけであります。また、販路開拓なども、それぞれ取り組まさせていただいてまいりました。地域アクションプランとして指定をさせていただいて、産業振興計画の枠組みの中で応援させていただくとか、さらには文化芸術振興ビジョンの中にも位置づけて、文化的に応援させていただくと、そういう取り組みをしてまいりましたけれども、今回この御質疑を受けて、川上、川中、川下、それぞれの問題点について改めて再認識をさせていただく中において、やはりグランドデザインをより本格的に描いていく必要があるなということを、つくづく痛感させていただいたところでございます。 ぜひ土佐和紙振興のための総合戦略をつくらなければならない、まずは庁内にPTをつくって、来年度この総合戦略をつくっていきたいと、そのように思います。その際、さまざまに関係の皆様から御意見を聞かせていただく、そういう機会も設けさせていただければと、そのように考える次第です。 ◆9番(横山文人君) ありがとうございます。 本日、私は土佐和紙について質問をするに当たりまして、質問原稿を土佐和紙でつくってまいりました。私は、土佐和紙の維持・発展については、決して仁淀川流域だけの問題ではないという意味で、県民の宝と述べてきました。他方、これまで川上から川中、また技術から文化までベクトルを合わせた土佐和紙の戦略、グランドデザインについては深い議論がされていなかったように感じます。確かに、さまざまな産業や生活面において機械化、IT化がなされ、使い勝手のよい、またすぐに取りかえのきく廉価なものが普及し、我々の周りにはあふれております。しかしながら、幕末・明治期の先人より、たくみのわざを実直に受け継ぎ、一つ一つ丁寧に、また丹精込めてすき上げられた土佐和紙の魅力、その触れた人誰もが感じる絶対的な温かみは、現代においても全く色あせるものではありません。 今、尾崎知事初め、県全体で新たな価値の創造に取り組まれておりますが、土佐和紙のような時代を超えた普遍的価値を守ること、言いかえれば、先人が生み出してくれた宝を次の世代につなげていく取り組み、このことが先ほど知事の述べられた土佐和紙のグランドデザインであり、プロジェクトチームなんだろうと、その意義を感じるところであります。これまで、そしてこれからも頑張る関係各位との連携・協働を大いに図っていただきますことをお願いしまして、また進展を御期待しまして、次の質問に移りたいと思います。 続きまして、農業基盤整備についてお聞きをいたします。 農水省は2023年度までに担い手への集積を8割に高める目標を掲げ、農地の維持や構造改革に取り組んでおります。農地は、食料の生産基盤で、長い年月をかけて整備されてきた貴重な社会資本であり、食料自給率向上に欠かすことのできない土台であります。また、本県においては、基幹産業である第1次産業をさらに加速化させるためにも、地域農業の担い手確保とともに実態を踏まえた農地の集積が重要となってまいります。 一方、農地の利用を担い手に集める国の取り組みは難航しており、2016年度の集積率は54%、1年間に集積できた面積は6万2,000ヘクタールで、前年度より2万ヘクタール減少、目標達成に必要な面積15万ヘクタールの4割水準にとどまっております。これには、特に食料生産の4割を占める中山間地域の条件不利地や果樹園での集積が進んでおらず、中山間地域での集積が政府目標を達成する鍵を握るとの指摘がなされております。 このような現状を受け、中山間地域の多い本県の実情を尾崎知事が積極的に国へ訴えた結果、従来の面積要件1カ所当たり10ヘクタール以上を、中山間地域では0.5ヘクタール以上、全体で5ヘクタール以上と面積要件が大幅に緩和されました。これまでの農地集積は広大な農地の大規模化を主眼にしたものであり、中山間地域のような条件不利地は集積せよと言われても大変な苦労があったと思われます。政策実現において、知事初め担当部局の皆さんや関係自治体の御努力、また県選出の国会議員の御支援も大変大きいと敬意を表する次第であります。 2月6日付高知新聞朝刊では、北川モデルとして紹介されておりましたが、これは中山間地域の多い本県において、高知モデルとして全国に先駆けて展開するものと期待するところであります。同時に、今後の本県の取り組みは全国的に注目されることと思います。したがって、本県としてはこれを好機と捉え、今後の中山間農業のモデルケースにしていただきたいと思うところであります。 そこで、新たに要件緩和された農地中間管理機構関連農地整備事業を本県においていかに展開していくのか、知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 日本の農業の4割は中山間地域が占めているわけでありまして、農業における生産性革命を行っていくためにも、この狭隘な中山間の農地をいかに効率的に使える状態に持っていくか、これは非常に大きな課題であります。特に、高知の場合はこれが非常に大きな課題となるわけでありまして、この農地集積に係る国の事業についての要件緩和というのを訴えてきたところでありますが、本当に国会議員の先生方にも大変御尽力をいただく中、本当に多くの皆さんの御尽力によって、この要件緩和ということがなし遂げられたわけであります。これはまさに高知の農業振興にとって非常に重要な産業でありますので、積極的に事業を展開していくというスタンスで臨まさせていただきたいと、そのように思っています。 特に、これは農業者からの負担を求めずに県営事業として実施することができるという利点もございますので、これは大いに進めていきたいと、そのように考えています。 ◆9番(横山文人君) その知事の意気込みを受けて、県内においては北川村が先駆けて取り組んでいくとのことですが、他の市町村の動きや検討状況はどのようなものか、農業振興部長にお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 新たな基盤整備事業の推進に当たりまして、昨年8月から県内でキャラバンを実施し、全ての市町村との意見交換を行ってまいりました。市町村からは、農家負担がゼロというのは画期的で魅力がある、事業要件も大幅に緩和され、農地の少ない中山間地域でも実施の可能性が広がったなど、この事業を評価する声が多くございました。 こうした中、宿毛市や本山町などでも事業着手に向けた計画策定に来年度から取り組むなど、他の市町村でも事業実施の機運が高まっている状況でございます。 ◆9番(横山文人君) そこで、課題としては、農地集積バンクに農地を出す所有者との、理解と納得を前提とした合意形成であります。中山間地域では、地縁、血縁などの意識が色濃く、先祖代々の土地を貸し出すことに後ろ向きになることも多いと思います。このような現実的課題にどう向き合うのか、農業振興部長にお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 本事業では、対象となる全ての農地を15年以上、農地中間管理機構に貸すことが要件となっております。一方、所有者の中には、長期にわたって貸し付けた場合、期間満了時には貸した農地を速やかに返してくれるのか、借地料はきちっと払ってくれるのかといった、個人同士の貸借の中で発生するトラブルについて不安を持たれている方もいることは承知しております。 農地中間管理機構は国から認可された公的機関であり、安心して機構に貸し出していただけるよう、事業実施に向けた所有者への説明会の中でも丁寧に説明することで、円滑な合意形成を図ってまいります。 ◆9番(横山文人君) どうもありがとうございます。要件である集団化のことについてもお聞きしたいと思いましたけれども、時間の関係上、割愛させていただきます。 次に、土地改良事業についてお聞きをしていきます。 現在、多くの改良区において施設の老朽化が問題となり、地元に行くと水路の補修や排水機場の改修などの要望をお聞きいたします。他方、土地改良事業においては、平成21年度の5,772億円から、民主党政権になり予算は激減、平成24年度は6割減の2,187億円にまで落ち込みます。現在は、平成29年度補正予算と平成30年度当初予算を合わせて5,800億円まで回復したものの、なかなか地域のニーズに応え切れていないのが現状であります。 そのような中、国は非公共事業ながら、新規の事業として農業水路等長寿命化・防災減災事業を組み立て、200億円を政府予算として概算決定しております。この事業は、きめ細やかな長寿命化対策と機動的な防災・減災対策を主な内容としており、小さな改良区の多い本県にとって大変ありがたい事業であると考えます。こういった小規模ながら、しわを伸ばす事業こそ農家が求めているものであり、今後の継続とさらなる拡大を引き続き国へ働きかけてもらいたいと思います。 そこで、国として今後各都道府県のニーズの把握、要望調査に出ると思われますが、本県としてしっかり予算が獲得できるよう、実施主体である市町村や改良区との連携をどう図るのか、農業振興部長にお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 本事業は、県営や団体営事業で造成された施設を対象に、1地区当たりの事業費が200万円以上、受益者数も2名以上であれば実施可能と、大変きめ細やかな事業でございますが、その前提として長寿命化計画を策定しておくことが必要となっております。しかし、現状では市町村や土地改良区が管理する農業用水路などは、そのほとんどが長寿命化計画を策定していない状況でございます。 本事業の予算を獲得していくためには、まずは長寿命化計画を策定することが必要でございますので、耐用年数が経過し、老朽化が進行している施設については早急に計画を策定するよう、市町村や土地改良区に対し指導や助言を行ってまいります。 ◆9番(横山文人君) どうもありがとうございます。土地改良事業につきましてもどれぐらいの地域でやっていきたいのか、また市町村のマンパワー不足に対してどう県が支援していくのかというような御質問も構えておりましたけれども、済みません、これも時間の関係上、割愛させていただきます。 そして最後に、次世代を担う青少年育成の観点より、非行防止と立ち直り支援についてお聞きします。 全国の少年非行の情勢は、刑法犯少年の検挙人員が減少傾向にあるものの、人口比では成人の2倍以上であります。その背景には、少年自身の規範意識の低下やコミュニケーション能力の不足、少年の規範意識の醸成を担ってきた家庭や地域社会の教育機能の低下、少年がともすれば自分の居場所を見出せず孤立し、あるいは疎外感を抱いているという現状等が指摘をされております。 このため、次世代を担う青少年の健全な育成を図るためには、こうした問題に社会全体で取り組む必要性が叫ばれております。問題を抱えた少年の支援など、非行少年を生まない社会づくりに関しては、その取り組みの拠点として全国に少年サポートセンターが設置され、本県も平成11年に少年補導職員5名、警察官2名の計7名で発足し、ことしで20年近くを迎えるに至っております。 また、平成25年3月には尾崎知事を筆頭とする知事部局、県教育委員会、警察本部の関係機関等で構成された非行防止対策ネットワーク会議を立上げ、平成26年度から少年サポートセンターの体制が強化されました。現在は、警察官4名、少年補導職員2名、教員4名、警察OBのスクールサポーター1名、福祉司、心理司それぞれの児童福祉職員2名の13名体制で取り組んでいます。また、高知家の子ども見守りプランにも少年サポートセンターの体制強化が挙げられており、同センターでは、面接、心理検査、学習支援、食育支援、体験活動などの立ち直り支援と、少年や保護者が自由に立ち寄ったりつぶやいたりできる居場所づくり、トークルーム道草の設置など、センターを核として学校や児童相談所、地域社会が一体となり、社会全体で青少年を守り支え育てる大変有意義な仕組みづくりを継続しているところであります。 ここで、非行防止対策ネットワーク会議の立ち上げから、少年サポートセンターの体制強化、また部局間連携に対して強いリーダーシップを発揮してきた知事に、今後の非行防止と立ち直り支援について意気込みをお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 本県におきます刑法犯少年の非行率は、平成21年から23年までの3年間でワースト1位でありました。これを何とかしないといけないということで、先ほどお話のありましたようなネットワーク会議を立ち上げたり、高知家の子ども見守りプランを策定したりということで取り組んできたわけであります。 最新のデータでありますけれども、平成29年にはワースト28位ということでありまして、随分改善をするようになりました。 しかしながら、再犯率が高いとか、無職少年がおいでになるとか、まだまだ課題があるわけであります。教育行政、警察行政、そして県行政、この三位一体となって取り組みをさらに進めていくべく努力を重ねていきたいと、そのように思っています。 ◆9番(横山文人君) 土佐和紙の質問、また農業基盤、土地改良、青少年育成と立ち直り支援、さまざま御質問させていただきました。いっぱい質問を構え過ぎまして、全て質問できなかったことを改めておわび申し上げますけれど、思いというものは伝えさせていただけたかなというふうに思っております。 今後とも県勢発展に向け取り組んでいただきますように、心からお願いを申し上げまして、私の一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、横山文人君の質問は終わりました。 ここで10時55分まで休憩といたします。   午前10時51分休憩-----------------------------------   午前10時55分再開 ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 橋本敏男君の持ち時間は35分です。 27番橋本敏男君。 ◆27番(橋本敏男君) おはようございます。県民の会の橋本敏男でございます。早速、通告に従いまして質問に入らせていただきます。簡明な答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。 文部科学省が去年の4月に公表した2016年度の教員の勤務実態調査によると、2006年度の前回調査に比べ教員の勤務時間が増加し、国が示す過労死ラインに達する週20時間以上の残業をした教員が多いことが明らかになりました。それを受け、中央教育審議会は教職員の長時間労働の実態は看過できない状況にあるとしています。さらに、問題はそうした長時間勤務のせいで教育の質の確保、向上や、教員自身の自己研さんの充実が図れず、学校教育の根幹が揺るぎつつある現実を重く受けとめなければならず、単に教職員だけの問題ではなく、子供たちの健全な育成のためにも取り組まなければならない重要かつ喫緊の課題でもあります。 今議会においても、多くの議員から、学校における働き方改革について質問が行われました。計上されている教員の働き方改革関連予算において、出退勤時刻の記録の負担軽減を目的として、全県立学校53校にICTを活用した勤務時間把握システムを導入し、出退勤を正しく把握することは、教職員の働き方改革の一丁目一番地、必須条件であると思います。 県教委によると、ICT等を活用した勤務時間把握システムの導入は、県下3分の2の市町村立学校198校が実施予定とのことでありますが、残り3分の1の市町村立学校が導入に踏み込むことができなかった理由について教育長の答弁を求めます。 ◎教育長(田村壮児君) 市町村教育委員会からお聞きをした内容といたしましては、財政上の理由を挙げているところが一番多いわけです。そのほかにも、ちょうど今、県教育委員会が音頭をとりまして、市町村が共同で利用する統合型校務支援システムの導入を検討しているところですけれども、その中で導入を考えたい、あるいは市町村の首長部局が導入を検討しておりその動きにあわせたい、それから特定の学校で先行的に導入をした上で広げていきたいと、そういうようなお話がございました。 ◆27番(橋本敏男君) 教育長の答弁によりますと、要は、市町村の財政的な問題が踏み込むことができなかった最大の理由ということになります。そもそも論で言うと、ICTシステム導入の背景には、多忙な教職員の負担軽減と勤務実態を正しく把握するためで、大事な県の教職員の健康と命を守る政策策定のためのデータ取得であります。そう考えると、県下全てひとしく学校勤務の実態を正しく把握する必要は、論をまたないというふうに思いますが、残り3分の1の市町村立学校における導入見通しについて教育長の答弁を求めます。 ◎教育長(田村壮児君) 残っております市町村につきましても要請を続けておりまして、来年度中にタイムカードなどを含めて何らかのシステム導入を考えたり、補正予算で計上したいという市町村もございますので、さらに導入は進むものと考えております。今後ともさらに働きかけをしていきたいというふうに考えております。 ◆27番(橋本敏男君) 粘り強く市町村にお願いし、できるだけ早い時期に導入をしていただくということを頑張って要請するということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。 2001年厚生労働省は、使用者に労働者の労働時間を適正に把握する責務があることを改めて明確にし、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準を策定しましたが、全国的にも周知が徹底しておらず、約9割が出退勤時刻を記録していない現実があります。このことからもわかるように、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を示しても、それを現場が受け入れて活用しなければ、システム導入は猫に小判、絵に描いた餅となります。 まずは、正しいシステム活用の徹底を図り、県下全ての教職員の出退勤の実態を正確に把握しなければなりませんが、どのように指導していくつもりか、教育長の答弁を求めます。 ◎教育長(田村壮児君) 中教審の働き方改革に関する中間まとめにおきましては、勤務時間管理は働き方改革の手段であって目的ではないと示されておりまして、何よりも管理職に対して校長会、管理職のマネジメント研修などの機会を利用して、勤務時間を把握することの趣旨や目的を理解してもらうことが大事だと思っています。その上で、教員に対しては過少申告などが行われないよう、管理職が勤務時間管理の意義やセルフマネジメントの必要性を説明するといったことで、正しい出退勤管理ができるようにしていきたいと考えております。 ◆27番(橋本敏男君) 教育長からの答弁をいただきました。ぜひとも正しく実態把握ができるように努めていただきたいというふうに思います。 例えば、ICTシステム、タイムカードを押して、それから部活動をやったり、そしてもう一つは非常にこんなことを言ってはなんなんですが、タイムカードを押したままで残って仕事をしたり、それから家に持ち帰って仕事をしたりということが、私はあると思うんですね。そういうことについても、しっかり精査をしていただければありがたいというふうに思います。これは要請をしておきたいと思います。 文科省の教員勤務実態調査では、過労死ラインと言われる月80時間を超える教職員が、中学校では6割にも達していると報告されております。労働安全衛生法で、医師等による教職員の心理的な負担の程度を把握するための検査、ストレスチェック制度が2015年12月より義務化され、年1度実施することを学校の設置者に義務づけられてはいるものの、教職員数50人未満の学校では当分の間、努力義務とされていますが、本県の実態はどのようになっているのか、教育長に答弁を求めます。 ◎教育長(田村壮児君) ストレスチェックにつきましては、県立学校は全学校で実施をしております。市町村立学校におきましては、9市町で実施をされておりまして、そのうち努力義務とされている50人未満の学校を含めて全学校で実施をしているのは8市町でございます。 ◆27番(橋本敏男君) 市町村立学校のストレスチェックの実施状況については、極めてよくないなというふうに言わざるを得ないと思います。これは、要は教員の健康、そして命にかかわる問題でもございます。しっかりとストレスチェックを受けさせるという形を指導していただきたいというふうに思います。 労働安全衛生法では、過労死ラインと言われる月80時間を超える教職員は、産業医などの面接指導を行うことが定められていますが、県立学校では2015年1人、2016年0人とほとんど受けていないのが実態です。このことから市町村立学校の実態について、産業医の面接指導は有名無実化していることが想像できますが、県は、多くの教職員が過労死ラインを超える勤務を行っている実態を認識していながら、なぜ労働安全衛生法に定められている産業医等の面接指導の活用を進めなかったのか、疑問に感じます。 この面談制度については個々の申し出が前提なので、できないのか、しないのか、させないのかわかりませんが、事は県が雇用し人事をしている大事な教職員の健康と命にかかわることでもあり、見て見ぬふりをすることは許されません。学校現場に制度の周知を徹底させることを含め、管理職による具体的な指導を行うべきだと考えますが、教育長の答弁を求めます。 ◎教育長(田村壮児君) 学校現場への制度の周知は、昨年4月に全教職員に配布をいたしました、活力ある学校づくりの中で、過重労働による健康障害のリスクや医師による面接指導の制度について説明をしております。また、年度当初の県立学校長会議で、このパンフレットを活用して管理職から制度の説明をするよう依頼をしております。その結果、今年度につきましては17人が面接指導を受けているところでございまして、その内容を見ますと、やはり学校に偏りがあるということが見えてまいります。やはり管理職の姿勢が重要だというふうに感じております。 これからはICTを活用した勤務時間管理により、勤務状況を把握しやすくなることから、管理職が教職員に対してしっかりとマネジメントを行い、面接指導の該当者に対して、制度を周知するとともに、受診を勧めることにつなげていきたいと思います。また、このことは年度当初の教育長面談等の中でも指導していきたいと考えております。 ◆27番(橋本敏男君) 教育長から答弁をいただきました。今年度は17人が面接指導を受けるということになっているということですけれども、産業医の面接指導を管理職が対象職員にしっかり勧奨して、そして受けていただく、そういう形の指導を行うべきだというふうに思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 2017年8月に中央教育審議会で、休養日を含めた適切な活動時間の設定など、部活動の適正な運営について緊急提言がなされました。これに先立ち、県教委では部活動の活動時間の制限を定め、現場に通知していると聞いていますが、残念ながら徹底し切れていないように思われます。 中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会の緊急提言のとおり、速やかに施策を講じ、具体的に業務削減を進めていかなければならないと考えますが、県教委はどのように対応していくのか、教育長の答弁を求めたいと思います。 ◎教育長(田村壮児君) これまでの通知によりまして、部活動の休養日については、既に全ての学校においてほぼ取り組みが行われているというふうに受けとめております。一方、県では提言の実現に向けまして、本年度中に国の、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインが出されますので、これに即した高知県運動部活動ガイドラインを策定し、リーフレットも作成した上で、全ての教員にガイドラインの周知を図ってまいりたいと考えております。 さらに、来年度は、管理職への趣旨の徹底、運動部活動指導者ハンドブックの作成、部活動コーディネーターとなる教員などに対する研修会などを行うこととしておりまして、こうしたことを通して、休養日や練習時間の設定などを含めた適切な運動部活動の運営を徹底していきます。その際には、これまでの運動部活動支援員の派遣に加え、新たに単独での指導や引率ができる運動部活動指導員の配置を充実するなど、業務削減の取り組みも進めてまいりたいと考えております。 また、ガイドラインに沿った運動部活動を進めるためには、保護者の理解が不可欠でございますので、PTA・教育行政研修会などにおいて県のガイドラインの趣旨を説明し、理解と協力を求めてまいりたいと考えております。さらに、来年度新たに設置をいたします高知県運動部活動改革推進委員会において、PTAの代表にも参加していただき、これからの運動部活動のあり方について協議を深め、学校、家庭、地域、行政が一体となった取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆27番(橋本敏男君) 御答弁いただきました。部活動の業務削減に向けた対応というのは、教員の多忙化のやっぱり一丁目一番地でありますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、エネルギーの地産地消について質問させていただきたいと思います。 再生可能エネルギー普及に向けた固定価格買取制度、いわゆるFITがスタートして5年、電力の小売自由化から約2年がたちました。この間、国内における再生可能エネルギーの導入量は約2.5倍に膨らみ、2016年度には全エネルギーの15%を占めるようになりましたが、国民負担となるFIT賦課金は2017年度で約2.1兆円、標準家庭で月額686円、年間8,232円となっています。 国は、2030年度には再生可能エネルギーの比率を22%から24%まで高める目標を立てていますが、再生可能エネルギー拡大とあわせて国民負担の抑制も同時に行っていかなければなりません。2010年度に策定した高知県新エネルギービジョンにおいては、国のFITなどのエネルギー政策と、東日本大震災を契機に木質バイオマス発電や太陽光発電の導入が急速に進み、県の豊富な地域資源とも相まってエネルギー政策も順調に推移をしてきました。しかしながら、国のエネルギーを取り巻く環境が大きく変化したことに加え、送電網の脆弱性による事業化の断念など、多くの課題も同時に見えてまいりました。 このようにFITの価格が下がり、多くの課題も見えてきた中で推進していくことは、非常に厳しい環境にありますが、県は2015年度に改定した新エネルギービジョンの中で、新エネルギー電力の導入目標を設定し、さらなる挑戦を行うとしています。その中期目標達成の見通しについて林業振興・環境部長の答弁を求めます。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 平成27年度に改定しました新エネルギービジョンでは、5年後の新エネルギーの導入設備容量の中期目標を60万8,645キロワットとしております。この中期目標に対しまして、平成28年度末の導入設備容量は41万966キロワットと、基準としました平成26年度末の27万1,744キロワットから、2年間で約14万キロワット増加しており、おおむね順調に推移していると考えております。 現在、県内において系統への接続が制約される地域がふえているという課題はございますけれども、既に設備認定を受けているものの、まだ稼働していない発電施設を中心にこのまま順調に導入が進めば、中期目標の達成は可能ではないかと考えております。 ◆27番(橋本敏男君) 力強い答弁をいただきました。非常に、新エネルギーを取り巻く環境というのは厳しい環境にあるにもかかわらず、本県の場合は順調に推移をしていくというようなことでございますので、本当に厳しい状況ではあると思いますけれども、さらなる挑戦をぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。 2017年版環境白書では、各地域のエネルギー代金の収支について分析しており、我が国におけるエネルギーの大半が化石燃料のため、支払ったエネルギー代金のほとんどが海外に流出しています。本県の実態については、2011年の産業連関表で見てみますと、石油・石炭製品の県際収支は約マイナス930億円で、これは1次産業の移輸出分に匹敵する規模になります。このように、化石燃料費におけるエネルギーコストは多額の資金を費やし、その多くが国外の資源国に流れていると見込まれ、言いかえれば、1次産業で稼いだお金全てが高知県から化石燃料代として流出しているということになります。 高知県内の消費電力量に対する新エネルギーによる電力自給率は、2016年度末で15.3%、また水力発電を含む再生可能エネルギーの電力自給率は70%となっています。連関表からは、電力、ガス、熱供給の県際収支は読み取ることはできませんが、新エネルギー電力が高知県に経済的効果をもたらすものについて林業振興・環境部長に示していただきたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 新エネルギー電力のうち木質バイオマス発電については、県内の森林資源を生かした木質バイオマスを調達することにより、燃料代が県内で循環することになるとともに、林業の振興にもつながっていくと考えております。 さらに、木質バイオマスを初め風力や太陽光といった新エネルギーによる発電事業は雇用の創出にもつながりますし、県内事業者によりつくられた電気が地産地消という形で使用されれば、化石燃料によるもののように燃料代が県外へ流出することがなく、電気代が県内で循環するという効果も出てこようかと思います。 ◆27番(橋本敏男君) 次の質問を先取りされたみたいな言い方をされましたけれども、一応産業の振興に大きくかかわってきているということは答弁いただきました。 改定前の新エネルギービジョンでは、FITの追い風もありまして、こうち型地域還流再エネ事業スキームによる発電事業や、木質バイオマス発電所建設など新エネルギーの導入が大幅に促進されました。結果、2015年の目標数値219メガワットを大きく上回り、349メガワットと達成率159%を記録いたしましたが、大規模な設備容量の事業主体は県外業者が多く、実際の新エネルギー普及は本県が目指す理想形とはほど遠いと言わざるを得ません。 地方創生、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、地域経済好循環拡大に向けた取り組みとして挙げられているのが、分散型エネルギーの推進であります。分散型エネルギーの開発、利用の推進は、防災、エネルギーセキュリティー、雇用供給などさまざまな面からも重要であると思います。 本県の豊富な新エネルギー資源を地域振興に生かすためには、分散型エネルギーを推進し、地域内資金循環による地域経済の活性化や雇用の創出を図っていくことが求められますが、どのようにイメージしているのか、林業振興・環境部長の答弁を求めたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 分散型エネルギーは、大規模災害時のエネルギーの供給リスクを低くする観点から重要で、その推進には太陽光のような地域にある新エネルギーを活用することが効果的であると考えており、加えて先ほども申し上げましたが、地域の事業者がその新エネルギーを活用してつくる電気や熱が地域内で使用されれば、地域経済の活性化や雇用の創出にもつながるものと考えています。 しかしながら、他方で一定の広さの地域において太陽光や風力といった新エネルギーによりつくる電気の地産地消を行う場合は、太陽光や風力が自然条件に左右される不安定な電源でありますことから、安定した電力を供給するためには、大規模な制御システムや蓄電池の整備などを行う必要がございます。しかしながら、現在これらについては技術面、コスト面で課題がございます。このため県としましては、こうした課題を解決するための今後の技術の進展等を注視しつつ、当面は新エネルギーによりつくり出した電気や熱を、住宅や事業所において自家消費する形での地産地消の促進を図っていきたいというふうに考えてございます。 ◆27番(橋本敏男君) 答弁のとおりでございまして、分散型エネルギーの推進イコールエネルギーの地産地消につながっていくというふうに思います。地域内資金循環をしっかりと整えるための非常にいいツールになるというふうに思っていますので、ぜひとも進めていただきたいと思います。 多種多様な再生可能エネルギーが推進される中、地域経済成長につながる木質バイオマスエネルギーの熱利用が広がっています。木質バイオマスからつくり出す熱は、地産地消型エネルギーとして注目されており、エネルギーの地域経済循環を実現できる切り札とも言われています。高知は全国一の森林県、その資源を生かした産業振興計画を策定し、木質バイオマスの有効活用に尾崎知事は取り組んできました。特に、木質バイオマス発電と並んで、園芸用木質バイオマスペレットボイラー設置を政策的に進め、252台が導入され、9,238トンのペレット需要を創出できたとしています。しかしながら、2014年時のペレット自給率は39.6%と低く、エネルギーの地産地消や地域への経済波及効果の観点から、ペレット自給率の向上が求められていました。 現時点においてペレットの自給率向上は図られたのか、林業振興・環境部長に答弁を求めたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 木質ペレットにつきましては、平成27年1月に宿毛市の木質バイオマス発電施設に併設されております製造施設が稼働を開始したことによりまして、自給率は平成28年度には70%に向上しております。 ◆27番(橋本敏男君) 自給率が70%というふうに今答弁がございました。幾ら自給率が上がったといっても、それをしっかりと生産者の皆さんに使っていただかなければ非常に意味がないことになります。 御承知のとおり、このペレットボイラーについては燃油、要は石油の価格と大きくやっぱり連動します。それは事業で使うものですから、当然費用対効果の高いほうにやっぱり行ってしまうという懸念もあります。そういうことも含めて、さらなる導入に向けたチャレンジをしていただければありがたいというふうに思います。 それから、木質ペレットの受け皿として政策的に導入してきた木質バイオマスボイラーの稼働実態について、先ほど私がちょっと言いましたけれども、林業振興・環境部長に示していただきたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 過去5年間に国の補助事業を活用して導入された木質バイオマスボイラーにつきまして、稼働状況の調査を実施しましたところ、平成28年度の稼働率は平均で75%となっております。 ◆27番(橋本敏男君) 75%の稼働率ということですので、逆に言うと25%が稼働されていないということですので、ぜひとも残りの25%の稼働も含めて前向きに進めていただきたいというふうに思います。 次に、木質バイオマスエネルギー変換効率については、一般的に発電が20%程度に対し、熱利用は約80から95%とされており、まきストーブのように小型であってもエネルギー効率は80 %近くなると言われています。木質バイオマス発電は収益性を追求して、スケールメリットや発電効率を追求した大型化が進んでいますが、大型発電事業は大量の木質燃料が必要となり、膨大な未利用の残材を集めなければなりません。その結果、カスケード利用せず、建築、家具製作などに用いることが可能な材、すなわちA材まで燃焼化される懸念もございます。 それに比べ、熱利用は地域でも取り組みやすい形態を選択できることから、地域が容易に無理なく取り組むことができ、エネルギーの地産地消を進める上で適していると言えると思います。何か、エネルギーイコール電力という思い込みが強いですが、電気エネルギーの最終消費の半分以上は、暖房、給湯、調理、工場での熱利用に使われています。 高知県は森林率84%と言われておりますが、その35%は広葉樹で雑木林と呼ばれています。それは、私たちに最も身近でシンプルなエネルギーとして、昔からなれ親しんだ里山にある木質資源で、この利活用を図ることは、地域分散型エネルギーを推進することにつながります。新エネルギーの小規模分散型システムの構築を進めていくためには、ペレットボイラー補助事業に加え、民生レベルで木質バイオマス利用が可能な、まきストーブやペレットストーブなど、木質バイオマス燃焼機器の導入を支援することにより、安定的に低質材の利活用がなされ、エネルギーの地産地消、さらには外商へとつながっていく可能性があります。 県内でも既に取り組んでいる佐川町や梼原町などの自治体もあり、県の支援が少しだけあれば、この取り組みが県内に広がっていく可能性もあります。既に県レベルで助成制度を整えている自治体も3都県あり、私はそのうちの一つである滋賀県で研修させていただきました。滋賀県では、民生レベルでの木質燃焼機器に上限5万円を市町村の取り組みに上乗せ補助金として、年間60基を見込んで300万円の事業を行っており、カーボンニュートラルな地域資源の活用とエネルギーの地産地消の推進に向き合っています。 本県においても、木質バイオマス燃焼機器の導入を支援することにより、木材及びエネルギーの地産地消を進め、地域の木材産業を活性化させ、地域経済の循環を図ることができると思いますが、林業振興・環境部長の答弁を求めたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 木質バイオマス燃焼機器の導入につきましては、これまで施設園芸を中心にペレットやチップなど利用量が多い木質バイオマスボイラーの導入を支援してまいりました。個人や事業所が導入するまきやペレットなどを利用したストーブにつきましては、地域の木材需要の拡大やエネルギーの地産地消などにつながると考えますので、それらのストーブへの支援につきましては、市町村や住宅建築業者などを通じてニーズや燃料供給体制等の調査を行いますとともに、地域への波及効果や支援の内容などについて精査を行うなど、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆27番(橋本敏男君) ありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 最後に知事に、まきや炭というのは、昔から最も身近でシンプルなエネルギーとして利用されてきましたが、化石燃料によるエネルギー改革の中で、その需要を徐々に失ってまいりました。しかしながら近年では、カーボンニュートラルの地球に優しいエネルギーとして注目され、地域、中山間振興の切り札とも言われています。 現在でもまきの需要は、ストーブやボイラーは無論のこと、キャンプでの利用、風呂のたきつけ、パンやピザの石窯、かつおぶしやメジカ節の燃焼材としての利用など多岐にわたり、多種多様な用途がございます。また、林産業については針葉樹ばかりに目が行きがちですが、高知県の森林の35%は広葉樹林で、この雑木林を利活用することは、広葉樹林の保全にもつながってくるものであると思います。 まきビジネスが地域の産業として根づいていくと、自伐林業の活性化や集落活動センターの収益事業としても有望で、何といっても自分の裏山がお金になるかもしれず、中山間振興にも大きく寄与するものであると思います。さらに、まきにかかわる関連産業も高知で根づいており、須崎のおのストーブさんや四万十町の井上鉄工さん、私の地元の小磯鉄工さんなど、既にまきストーブを製作している事業者が存在しています。その事業者のつくるまきストーブ、ペレットストーブは、燃焼効率にもすぐれ、デザイン性もすばらしく、まさにたくみのきわみでございます。 広葉樹林の保全と雑木林を利活用することによる中山間振興、そして関連産業の押し上げなどが期待できる、まきビジネスについての知事の所見を求めたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) かつて広葉樹は主に紙パルプの原料として、本県でも大体20万から30万立方メートルぐらい利用されていたそうでありますが、伺いますと、近年は2万立方メートル程度まで落ち込んでいるということだそうです。逆に言いますと、利用していないわけでありますから、非常に資源が成熟をしているということだそうでありまして、ということであれば、これをしっかりと活用して中山間振興に生かすということは、確かにおっしゃるとおりだと、そのように思います。 まきというのは加工度が低く、ゆえにもってして多くの人が比較的容易に取り組みやすいということでありますので、集落活動センターなんかでも、よき収益源になり得ることが考えられようかと思います。また、さらにストーブとセットにして外商するという道も考えられるのではないかと、確かにそのとおりかと思います。実際にふるさと納税なんかの返礼品として取り上げられている例もあると伺っていますので、この点について少し検討を進めさせていただければと、そのように思います。 ◆27番(橋本敏男君) ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきました。 実は私、土佐清水からこの市内のほうに来るときに、ずっと何回か通り道にまきビジネスをしている方がいらっしゃいます。黒潮町佐賀の旧消防署跡を使ってまきをビジネスとして扱っている、その責任者の方と少し話をする機会がございまして、その方に、どうよという話をすると、ぼちぼちですという話が返ってきました。これは当たり前の話なんですが、でも今ちょっと違いますよということで、さっき知事がおっしゃられたふるさと納税の返礼品としての形というのがある、それは年間どればあ出るがという話をすると、400万円と言っていました。ああそればあかえとそのときは言ったんですが、後で考えてみると、すごいなと思いました。そういうような、ビジネスということにもつながるということがあります。ぜひともこのまきビジネスですね、高知の中山間の一つの大きな起爆剤になるかもわかりません。ぜひとも強力に推進のほどお願いを申し上げまして、私の全ての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、橋本敏男君の質問は終わりました。 ここで暫時休憩いたします。   午前11時30分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 土居央君の持ち時間は50分です。 7番土居央君。 ◆7番(土居央君) 自由民主党の土居央でございます。今議会では、地方創生を軸に質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、今、政府は地方創生を掲げ、2015年からの5カ年計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略で、東京圏への転入、転出を2020年に均衡させる目標を掲げています。しかし、昨年の総務省の人口移動報告によりますと、東京圏への一極集中はさらに加速している実態が浮き彫りとなっております。今後、東京オリンピックやリニア新幹線の開業など、東京圏の求心力がますます増大する中で、本県が人口を維持し、地域を活性化していくためには、地方創生の具体的施策の実効性を上げ、成果を出していけるかどうかにかかっています。 今、国会において安倍総理は、学びの場としても、働く場としても、若者が地方にこそチャンスがあると飛び込んでいける地方創生を進めていくとして、1,000億円の地方創生交付金による支援の継続、そして特に地方大学に関して、地方への若者の流れを生み出す、先端科学、観光、農業など特定の分野で世界レベルの研究を行う、きらりと光る地方大学づくりを応援するとして、地方大学、自治体、企業の共同事業体の取り組みに対する、1件当たり最大10億円、交付期間5年間と言われる大規模な交付金の創設を目指しています。安倍総理の施政方針演説において、この交付金制度創設のくだりで、高知県と高知大学、そして学生の取り組みが、地方大学振興による地方創生のモデル的な取り組みとして取り上げられたことは、大きなアドバンテージになるものと期待します。 県としては、これをチャンスと捉え、県内大学や企業と連携し、新しい交付金の選定を目指した取り組みを進めるべきと考えますが、産業振興推進部長の見解をお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) 地方大学の振興と若者の雇用創出を図る新たな交付金の活用につきましては、プロジェクトの先進性のほか、将来の事業の自立性などが求められております。このため、この交付金の導入に向けましては、本県の強みであります施設園芸をテーマに、現在高知大学や高知工科大学の先生方に参画をいただきまして、環境制御技術を、AIやIoTの技術を活用してNext次世代型システムへと進化させるプロジェクトの計画を練り上げているところでございます。採択は全国で10カ所程度と狭き門ではありますが、選定に向けまして努力をしてまいります。 ◆7番(土居央君) 県の積極的な姿勢に期待をするところです。人口減少が続く中で、県も大学も、生き残りをかけた取り組みが始まっております。高知県にとりましても、この大学の存在意義も大きく、その振興による地方再生は非常に重要だと思います。ぜひとも力を結集して取り組んでいただきたいと思うところでございます。 さて、安倍総理は特に次世代型こうち新施設園芸システムに注目し、その成果を、県と高知大学による世界レベルの研究として評価されております。この交付金はぜひとも目指すべきでございますけれども、いずれにしましても、高知県がこれから目指すNext次世代こうち新施設園芸システムの開発に当たっては、さらに高知大学を含めた県内大学の力をかりていかなければならないと考えますが、連携をどう図っていく考えか、農業振興部長にお聞きをいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) Next次世代こうち新施設園芸システムの開発には、高知大学を初め、高知工科大学や県内外のIT企業などとの連携が重要であると認識しています。現在、大学とともに研究課題の絞り込みを行っており、今後課題ごとにチームを編成し、互いの得意な分野でリードし合いながら、民間の先進的な技術を組み合わせた開発に取り組みます。具体的には、LEDを活用した増収技術、ロボットやAI、IoTを活用した収穫作業の省力化技術などの開発を行ってまいります。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。具体的な取り組みの話もいただきました。ぜひとも前に進めていただきたいと思います。 次に、地方創生とRESASについてお聞きいたします。 RESASにつきましては、同会派の依光議員が過去に何度も質問しておられますので、御承知のとおりと思います。なお、RESASとは、経済産業省と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が運用する、各種産業や人口動態などに関する、官民のいわゆるビッグデータを集約して可視化し、インターネットで無料提供されている地域経済分析システムでございます。平成27年4月より供用開始され、随時更新されながら運用されています。主は、地方創生の実現に向け、地方自治体が、客観的なデータに基づく形で地域の現状や課題を把握し、総合戦略などの施策に活用することを意図しておりますが、行政関係者以外も多くの機能を利用できますので、地域活性化に関心を持つさまざまな分野の方によって、効果的な計画の立案、実行、検証のため広く利用されています。供用開始から3年、当初は課題も多かったとお聞きいたしますが、更新を重ね改善もされてきたのではないかと思います。 そこで、本県はこれまでRESASをどのように活用してきたのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) 県では、RESASの企業間取引の地域別データなどを活用しまして、外商先を検討した事例などがございます。また、データを誰にでもわかりやすくグラフなどで示すことができるといったRESASの特徴を生かしまして、昨年度からはお話にありましたように、学生の方々が地域の課題を探り解決のためのアイデアを考える、高知家地方創生アイデアコンテストを開催しております。加えまして、今年度は、高知の魅力を引き出しますアプリケーションの開発を短期間に集中して行い、それを競うイベントであります地方創生ハッカソンにも活用しております。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。 行政にとどまらず、民間での幅広い活用、これに今後も期待するところでございますが、まち・ひと・しごと創生本部では、ワークショップやフォーラムなどの開催、そして平成27年度から開催しております、地方創生政策アイデアコンテストによりまして、RESASを活用してみずからの地域を分析し、地域を元気にするような政策アイデアを全国募集するなど、地方創生につながる利用拡大を図っています。私もこれらのイベントを拝見しましたが、大変すばらしい内容でございます。その後、地方創生加速化交付金の対象になり、事業化された例もあるようでございます。 本県では、このコンテストとは別に、独自で高知家地方創生アイデアコンテストを開催しておりますけれども、これもまたすばらしい内容です。これまで2回開催しておりますけれども、このコンテストの意義と期待について産業振興推進部長の御所見をお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) このコンテストは、客観的なデータを活用して、学生の方々みずからが地域の課題解決策を立案し地域への理解を深める中で、郷土愛や地域に貢献する意識が醸成されることが大きな意義であると考えております。参加した学生さんや学校関係者の方々からも好評をいただいておりまして、今後も継続する予定ですが、回数を重ねていく中で、地域に関心を持つ若者がふえ、県内への定着に向けた意識が高まることを期待しております。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。私も同感でございます。 自分のふるさとの活性化のために子供たちが一生懸命考えた地方創生プランを、ぜひとも結実させてあげたい気持ちでございます。また、そうすることで、子供たちのやりがいにもつながると思いますし、そういう機運を生むことは地方創生に大きく貢献するものと考えます。 そこで、優秀なアイデアの実現に向けて、県としてどう後押しをしていくのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) コンテストに応募されたアイデアは、いずれも若者ならではの夢と郷土愛にあふれた作品が多いと感じております。昨年度、アイデアの実現に向けて、関係する市町村や企業の方々などによりますワークショップを開催し、優秀なアイデアの磨き上げを行いました。その結果、山田高校の皆さんが提案した、避難場所としての学校を地域住民の方に身近に感じてもらうために、備蓄食品などを活用した料理の提供を行う防災食堂を開設というアイデアが、地域の方々の協力を得て昨年秋の文化祭で実現をいたしました。 今後とも、学生の皆さんの思いをしっかりと地域で受けとめてもらい、実現できますよう、アイデアの発表や磨き上げの場づくりなどを通じまして、後押しをしてまいります。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。 それでは、その地方創生と教育についてお聞きをしていきたいと思います。 御承知のとおり地方創生とは、地方の活性化こそ日本の発展には不可欠であるという考えのもとで、東京一極集中を是正し、地域の均衡ある発展を目指す一連の政策群であり、人、地域、仕事、産業、情報などの創出と育成を地方において活性化させ、地方で安心して子供が生まれ、育ち、そして働き、暮らし続けていけるような、自律的な好循環を生み出すことを大きな目標としています。人口減少による負のスパイラルの克服を目指す本県にとりましても、極めて重要な政策であります。 地方創生は、そうした自律的な好循環を維持していくことが重要であり、そのためには地域を支える人材を育て続けていくことが求められます。その点で、私は、地方創生と教育は密接に結びついており、地方創生に果たす教育の役割は極めて大きいと感じています。 そこで、教育長は地方創生に果たす教育の役割についてどう認識されておられるのか、まずお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) お話にありましたように、地方創生は、地域で誇りと志を持って働き、次世代を担う若者の活躍なしにはなし遂げられないものであり、未来を担う人材となる子供たちを育てる教育の役割は極めて重要でございます。 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、学校を核として、学校と地域が連携・協働した取り組みや地域資源を生かした教育活動、地域に誇りを持つ人材の育成を推進し、地域力の強化につなげていくことが提言されております。 本県の教育大綱におきましても、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材の育成を基本理念に掲げておりまして、多くの高等学校では、地元企業や地域と連携した地域協働学習などの実践的な取り組みを行っております。このような取り組みを通じ、地域の産業を担い、地域の将来のためにみずから行動できる人材を育成する教育は、まさに地方創生に直結しており、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。ぜひともそういう教育を推進していただきたいと思います。 それでは、教育現場でそういう教育への期待に応えていくために具体的にどうするのか、あるいはこれまでの取り組みの実効性をいかに高めていくのかということを考えたときに、私はRESASを教育現場でもっと広く、もっと有効に活用するべきと考えています。地方創生政策アイデアコンテストや、内閣府地方創生推進室の主催するRESASフォーラムを見ていますと、全国では学校の授業の一環としてRESASを効果的に活用しています。 例えば、福岡県うきは市では、公立中学校において、RESASを活用して身近な地域課題を調査する授業を実施しています。新潟県佐渡市では、市職員が中学校、高校に対して出前講座を実施するなど、RESASの普及活動を実施しています。また、長野県松本県ヶ丘高校と松本工業高校では、平成28年度よりRESASを活用した授業を、総合的な学習の時間のカリキュラムとして1年生全クラスで実施し、RESASデータを使った地域の分析・課題発見を学習しています。そのうち長野県松本県ヶ丘高校の生徒が、昨年度の地方創生政策アイデアコンテストの最優秀賞を受賞しましたが、その背景には、学校教育におけるRESASを活用した探究学習の充実があることは明白です。 そこで、本県の教育現場におけるRESASの活用状況について教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 本県の教育現場におけるRESASの活用状況につきましては、かなりの高校において、情報の授業や総合的な学習の時間などの中で活用されております。例えば、山田高校では地域課題解決学習で、また中村高校では授業の中で高知県の課題を英語で発表するに当たり、さらに伊野商業高校では情報処理の授業で、それぞれ課題発見や地域課題の解決の根拠データとしてRESASを活用し、地域の実情を踏まえた実践的なプランの作成などが行われております。これらの学校のRESASを活用した取り組みについては、高知家地方創生アイデアコンテストで受賞するといった成果も見られております。 また、小中学校においては、RESASを活用した授業や学習はこれからという状況でございまして、全体としては、学校におけるRESASの認知度はまだ十分ではないという現状でございますので、今後一層広めていく必要があると考えております。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。御答弁のとおり、今議会でたびたび取り上げられました本県の山田高校、これはRESASを有効に活用している学校の好事例だと思います。また、御答弁にありました中村高校、伊野商業、こういったところも活発に利用されているところの代表だと思います。 ただ、県全体を見ますと、平成28年度のアイデアコンテストへの参加校数、これ学校単位に直しましたら、県立高校6校でございます。また、29年度は1校減りまして、5校にとどまっている現状があります。こういった学校間での濃淡があるわけでございます。 そこで、繰り返すようでございますが、教育現場におけるRESAS活用の意義を教育長はどう捉えておられるのか、御見解をお聞きいたします。 ◎教育長(田村壮児君) RESASは、地方創生に必要な多種多様で膨大な情報を網羅したビッグデータでございまして、そこには人口、産業、観光に関する信頼性の高い統計資料がそろっております。また、それらのデータをグラフやモデル図として可視化でき、物や人などの動きや関係を直感的に把握することができるという利点もあります。 本県の小・中・高等学校においては、現在総合的な学習の時間を中心として、生徒が地域の抱える課題に正面から向き合い、いろいろな人とかかわりながら解決策を見出していく、地域課題解決学習に取り組む学校がふえてきております。この学習は、課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現という探究の過程が繰り返されることにより、学びが深まっていくのが特徴であり、この過程において、地方創生に必要な多種多様で膨大なデータを備え、かつ地域ごとの分析も可能なRESASが大きな力を発揮するものと考えております。 また、RESASなどの活用により、このような地域課題解決学習に取り組んだ生徒から生まれたアイデアが、実際の地方創生のヒントになることも期待をしているところでございます。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。私も同感でございまして、御答弁から、中学校、小学校でも地域課題解決学習の重要性といったことをお触れになったと思います。 ただ、私がここで御紹介したいのは、これまでの地方創生政策アイデアコンテスト、高校生以下の部で、最優秀である地方創生担当大臣賞は、昨年度が先ほど申しました長野県の高校生ですけれども、一昨年の第1回目は中学生、昨年末に開かれた今年度の最優秀賞は、何と福島県の小学生のグループとなっております。このことを見ましても、全国では、RESASを有効活用した教育を既に小学生段階から実践している実態があります。 このプレゼンテーションを拝見いたしましたが、大変すばらしいものでございます。地元を元気にしたいという地方創生への意識の高さに強い感銘を受けました。この小学生を見て私が強く感じましたのは、これからの人材育成には、みずからが生まれ育った地域の歴史、文化、産業、自然などを深く理解するだけではなくて、グローバルな視点から客観的に把握すること、そして客観的データに基づいた課題認識、その上で解決に向けた手法を考えるというプロセスを、できるだけ幼少期から身につけさせることが、これからの時代、非常に重要だということでございます。RESASは、そうした探究型学習を通じた人材育成、つまりこれからの高知県の地方創生の主役を育てるために非常に有効なツールだと考えます。 こうしたことを踏まえ、私は県内の教育現場で、より広くRESASを活用した学習を充実させるべきと考えますが、教育長の見解をお聞きいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 現在、小学校の総合的な学習の時間におきましては、地域や環境などをテーマといたしまして、課題を明確にし、データや資料を集め、整理して、解決方法を友達と一緒に考えるような学習が行われております。また、中学校社会科においては、情報や情報手段を適切に活用する技能を培う観点から、コンピューターや情報通信ネットワークなどを積極的に利用することが求められております。そして、授業においては、地域の過疎・過密の現状を産業の動向などと関連して捉え、地域活性化のためにどのような取り組みが行われているのかを調べる学習も展開されております。 このような探究的な授業にあっては、多種多様で地域ごとの分析も可能なビッグデータを持つRESASの活用により、大きな教育効果が得られることが期待をされます。今後、小中学校においては、校長会などの機会を通じ、RESASの意義や内容についての周知を図るとともに、授業での活用については研究主任会などでも事例を多く紹介してまいります。そして、児童生徒がRESASを活用して、地域の課題解決策などを追究する授業づくりを進めてまいります。 また、高等学校においては、今後も学校と地域との連携・協働のもとで、探究的な学習が広がっていくよう取り組んでいくこととしておりまして、その中で、全ての県立高校から担当者などが参加する協議会において、先進校におけるRESASの活用事例などを紹介することなどを通じて、活用を広げてまいりたいと考えております。 ◆7番(土居央君) 非常に教育長の前向きな姿勢を感じる御答弁、ありがとうございます。私は、RESASによる探究学習が広がることで、高知県の将来の産業人材の育成やUターンなどにつながる可能性を強く感じております。また、ビッグデータへのアクセスは、最新技術を活用する新たな時代に役立つ、情報リテラシー教育の充実にもつながると思います。具体的に進める中で、RESASの指導力不足、こういったことにどう対応するのかというような課題もあろうかと思いますけれども、的確に対処しながら、ぜひとも推進をしていただきたいと思います。 次は、観光政策とナイトタイムエコノミーの振興についてお聞きをいたします。 ナイトタイムエコノミーとは、昼間に行われる一般的な経済活動に対し、日が落ちて以降、すなわち夜から朝までの時間帯に行われる経済活動の総称で、非常に幅広い活動を含んでおりますが、今回の質問では、特に観光客などの夜間消費活動を喚起し、地域活性化につなげる経済活動と捉えて質問をいたします。 これまで、夜の経済活動のイメージの悪さからか、提唱者である木曽崇さんの著書によると、ナイトタイムエコノミーというのは、必ずしも行政や社会から正当な評価を受けてこなかったといいます。確かに、その木曽崇さんの著書もまた、夜遊びの経済学というセンセーショナルな題名でございまして、内容について誤解を生みそうな気もしますが、中身は非常に真面目で、示唆に富んだ経済書でございます。 この書によりますと、近年諸産業におけるナイトタイムエコノミー振興の必要性が世界的に重要視され始めており、日本においてもその手法に注目が集まっています。夜の繁華街での消費活動、ショッピング、定着したハロウィンなどのイベントのように、ナイトタイムエコノミーの活性化による経済効果はすさまじく、その振興による新たな経済成長戦略を探る取り組みが世界中で始まっています。訪日外国人観光客と年間消費額がともに過去最高を更新する中、東京オリンピックを控える東京都と観光庁が、来年度に東京の訪日客の夜間動向とニーズ調査を実施し、訪日客の消費拡大の鍵を握っているとして、夜間観光の活性化に乗り出そうとしています。結果を分析し、夜間も楽しめる観光ルートなどを発信したい考えのようでございます。 このように、経済活性化策の新たな視点として注目が集まっておりますが、そこでまずナイトタイムエコノミー振興の必要性について県はどう考えておられるのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) 夜間の観光を楽しんでいただく手法は幅広く考えられ、県内においても、夜の植物園やナイター競馬、ドリンクラリー、県内各地でのキャンドルイベントの開催など、既にその効果をにらんだ取り組みが数多くあると考えております。さらに、夜間の観光を意識した効果的な取り組みを展開することで、外国人観光客はもとより新たな国内観光客の誘客の動機づけともなり得るなど、消費の拡大はもとより多様な効果が期待できると考えており、積極的に取り組んでいく必要があると考えております。 ◆7番(土居央君) 県は、2025年度の県外観光客470万人、観光総消費額1,410億円との高い目標を掲げ、観光クラスターの形成や、ポスト幕末維新博を見据えた、自然やスポーツなど体験とアクティビティーを重視した観光新戦略を描いています。また、インバウンド観光につきましては、知事は今議会の提案説明において、外国人の延べ宿泊者数は伸びてはいるものの、伸び率が四国全体に比べて低い状況にあり、取り組みの抜本強化を図る必要があるとの見解を示され、海外重点市場における効果的なプロモーション、国際線とのアクセス改善、自然型観光への外国人受け入れ環境の整備などの施策を打ち出す方針です。第3期産業振興計画ver.3においても、外国人の延べ宿泊者数の大幅増の実現を目指しているところです。 私は、観光振興による地域経済の活性化という大きな目的を考えたとき、真に重視すべきは観光客数よりも観光消費であり、観光消費の拡大にこそ、より政策的関心を向けるべきと思います。消費活動が拡大してこそ地域経済への波及効果も拡大するからであります。 さきに御紹介をいたしました木曽崇さんの著書では、本県が得意とする自然観光や歴史観光などは消費活動を生みにくい観光資源として捉えられており、本県の観光振興策を考える上で大変勉強になったのですが、それを踏まえまして、私は、県が観光政策を進めながらも、高く掲げた観光総消費額の目標を実現していくためには、これまでの取り組みで強化された食や歴史、自然の観光基盤を生かしつつも、さらにもう一押し、消費を喚起、拡大する仕組みづくりに、もっと積極的に取り組む必要があると感じます。私はそのために、昼と夜をつなげる仕掛けが必要であり、それぞれの観光施策にナイトタイムエコノミーの視点を盛り込んでいくことが非常に有効ではないかと考えています。 以上のことから、私はナイトタイムエコノミーの振興策を新たに観光戦略に加え、その充実強化策を市町村や民間関係者らと連携して講じていくべきだと考えますが、観光振興部長に御見解をお聞きいたします。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) 現在開催しております「志国高知 幕末維新博」におきましては、磨き上げた歴史資源とそれぞれの地域ならではの食、自然とを一体的に結びつけ、市町村や民間事業者が連携して観光クラスターを形成することで、観光客の滞在時間の延長や消費の拡大につなげるとともに、博覧会終了後も持続可能な観光地づくりとなるよう取り組みを進めているところです。 こうした観光クラスターの取り組みに、ナイトタイムエコノミーの考え方を加えることで、本県ならではの魅力がさらに付加され、周遊の促進や消費の拡大につながるものと考えます。本県の特徴を生かしたナイトタイムエコノミーの方策については、国の動向も注視し、市町村や観光関連事業者・団体とも情報共有をしながら、積極的に研究、検討を進めてまいります。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。本県では、外国人観光客の1人当たりの消費額は全国でも上位にあるというような情報もお聞きしました。それに加えて、ナイトタイムエコノミーを振興する施策により、さらにそれも拡大していけるのではないかと期待をしているところでございます。 繰り返しになりますけれども、県外観光客470万人、観光総消費額1,410億円との高い目標の達成には、朝も昼も夜も高知の魅力を磨き上げてつなげる、24時間を意識した観光戦略が求められるのではないかと思います。 高知市を中心とした、いわゆるおまちの磨き上げ、また郡部でも、山、川、海、空の自然と温暖な気候を生かしてのナイトタイムエコノミーの創出も図れるのではないかと思いますが、知事は本県におけるナイトタイムエコノミーの実力とポテンシャルをどう評価しているのか、この項目の最後にお聞きをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 観光総消費額は極めて大事だというふうに考えております。かつて300万人観光ぐらいだったときというのは、高知県、750億円ぐらいが観光総消費額でありましたが、現在1,100億円を超えるぐらいになってきているということでありまして、昔に比べて450億円ぐらいふえてきています。やはり経済効果は大きいということだろうと思います。 ただ、議員御指摘のとおり、さらにこれを拡大していくためにも、さまざまな形で、より消費機会を持っていただけるような仕掛けというのを講じていくことが大事だろうと思います。ナイトタイムエコノミーというのは極めて大事だと思っていまして、よく日本全体でも、比較的早い時間に観光客の皆さんがホテルに帰ってきておられるんではないか、もう一段夜を生かす取り組みができないか、海外では例えばフラメンコを見せたりとか、いろんなショーがあったりとかしているわけでありますが、そういう工夫をもう一段できないのか、そういうことが課題になっておるところだろうと思います。ぜひ生かしていきたい、これがナイトタイムエコノミーということかと思います。 その点、本県の場合、おきゃく文化があるということもありまして、夜におきゃく文化を楽しんでいただいている観光客の皆さんも多いという意味においては、比較的生かしている県ではないかなとは思いますが、ただまだまださらに生かしていける、もっと大きなポテンシャルを持っている、それが高知だろうと、そういうふうに思います。 先ほど部長からも御答弁いたしましたけれども、歴史、自然、食のよき周遊コースをつくろうとしているわけですが、この中において、しっかりナイトタイムのさまざまなイベントでありますとか、そういうものも仕込んでいくことが大事かと思います。例えば中山間なんかにおいては、自然を見ていただいた後に夜は伝統芸能を見ていただくような、例えばお神楽とか、そういうのを見ていただくような仕掛けを1つかましていくことで、劇的に経済効果というのは大きくなる、そういうことも考えられようかと思います。御指摘の点をよく踏まえて、もう一段観光消費額がふえていくような仕掛けに力を入れていきたいと、そのように思っています。 ◆7番(土居央君) ありがとうございました。まさに知事の御答弁にもありましたけれども、昼の観光資源からいかに夜の観光資源につなげていくか、その仕掛け、仕組みといったことを意識しながらの観光戦略が大事ではないかと思います。御答弁にありましたとおり、私も高知県とナイトタイムエコノミーは、おもてなしの積極性とかおきゃく文化とか、非常に相性がいいんではないかと思っておりまして、そのポテンシャルをフルに発揮できるような環境づくりに取り組んでいただきたいと思います。 次は、オリンピック文化プログラムと全国高等学校総合文化祭高知大会を生かした文化振興と地域振興についてお聞きします。 オリンピック憲章は、スポーツと文化と教育の融合を掲げています。意外と知られていないようでございますが、オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典でもあります。政府は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、大会関連行事として開催する文化プログラムを、地域活性化や観光客誘致につなげる好機と期待をしていますが、共同通信社が昨年末に公表した全国1,741市区町村への調査結果によりますと、大会関連行事として開催する文化プログラムに意欲を持つ市区町村は全体の27%にとどまっており、オリンピック文化行事に対する機運の醸成が課題となっています。 この文化プログラムに関しましては、本県では昨年3月に改定した高知県文化芸術振興ビジョンにも掲載されておりますが、あと2年、あるいはその先を見据え、文化的レガシー創出に資する有意義な企画により、本県の文化芸術を国内外に発信し、観光や交流、移住など地域活性化につなげていくべきと考えます。 そこで、まず県内ではこれまでどのように文化プログラムに取り組んできたのか、文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた文化プログラムは、次世代に誇れるレガシーの創出を図るための取り組みで、日本文化の魅力を発信する多様性・国際性に配慮した事業や活動が対象となっております。 本県では、これまでよさこい祭りやまんが甲子園などの7事業がこのプログラムの認証を受けておりますが、市町村や民間への広がりが十分でないという課題がございます。こうした課題に対応するために、さまざまな機会を捉え、市町村や民間団体に対して文化プログラムへの参画の要請を行ってまいりました。また、昨年9月に県が文化プログラムの認証組織となり、県内の市町村や文化芸術団体などがより身近に認証手続が行えるようにしたほか、くろしおくんとコラボした本県独自の認証マークも作成するなど、文化プログラムへの参画、登録の促進に努めております。 ◆7番(土居央君) 御承知のとおり2020年、本県では全国高等学校総合文化祭が初めて開かれます。教育委員会の試算では、全国から高校生2万人、観覧者は10万人、経済波及効果25億円という一大イベントが、8市町1広域連合で展開されることになります。つまり、2020年を軸に、県下全域で文化芸術活動を盛り上げる絶好の機会が訪れるものと期待をしています。 こうした好機を捉え、幅広い地域、幅広い世代で文化プログラムが開催できるよう、県としても市町村との連携を強化し、文化プログラムを一層推進する必要があると考えますが、文化生活スポーツ部長に見解をお聞きいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 県では、平成28年度に高知県・市町村2020年東京オリンピック・パラリンピック活用協議会を設置し、市町村との連携体制を構築して、オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた国の動きなどの情報共有を行ってまいりました。オリンピック・パラリンピックの文化プログラムは、本県の伝統文化を初めさまざまな文化を国内外に発信するまたとない機会ですので、県では、この協議会の場などにおいて市町村の積極的な文化プログラムへの参画を促しますとともに、文化芸術活動に携わっている方々への周知にも取り組んでまいりました。 お話にもありましたが、2020年には本県で全国高等学校総合文化祭が開催されますので、高校生の文化芸術活動もますます活発になってまいります。こうした動きにもあわせて、文化プログラムに参加していただく機運の一層の醸成に、市町村とも連携をいたしまして取り組んでまいります。 ◆7番(土居央君) よろしくお願いいたします。 さて、私は、この好機を生かして、地域に根差した伝統的な文化芸術の活動をもう一度活性化させ、各地域で持続的に振興される流れを復活できないかと考えています。特に、中山間地域の多い本県では、高知県文化芸術振興ビジョンの基本理念にもうたわれているように、過疎対策においても文化芸術の果たす役割は小さくなく、県内津々浦々において、それぞれの歴史と自然によって培われた伝統の文化芸術が維持され、後世に引き継がれていくことも重要です。 しかしながら、そうした過疎地域では、特に文化芸術の担い手、継承者が不足し、伝統文化を支える基盤は年々弱体化しており、このままでは集落や地域コミュニティーの弱体化とともに、地域に根差し、人々の生活と心を支えてきた伝統的な文化芸術も次々と失われていくのではないかと危惧をする次第です。 そのような中、高知県の文化芸術施策の柱である高知県芸術祭におきましては、協賛・共催行事が徐々に減少し、また約9割は中部に集中しているなどの課題もあります。そうした状況や課題も踏まえ、いかに幅広い地域、幅広い世代の参加をふやしていくかなど、高知県芸術祭の充実に向けた取り組みについて文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 高知県芸術祭のさらなる充実を図るためには、県内各地域で幅広い世代の方々に文化芸術への関心を高めていただき、より多くの県民の皆様に文化芸術活動に参画していただく必要があると考えております。このため、地域資源を生かした文化芸術活動への支援やさまざまな分野での発表機会の創出、さらに文化芸術の担い手の育成などに努め、より多くの方に芸術祭に参加していただけるよう取り組んでまいります。こうしたことにより、県内各地で文化芸術活動が活発になり、芸術祭で県全体が盛り上がるよう努めてまいります。 ◆7番(土居央君) よろしくお願いいたします。 さて、私は、幅広い地域という点で、各地域における主体的な文化活動の基盤を強化する体制に関して意見があります。地域の文化芸術活動を主催、支援する民間文化団体として、各地に文化協会があります。そして、各地域の文化協会が所属する高知県文化協会は、地域を含めて県全体の文化芸術の基礎、基盤を強化するために、各地に散らばる文化協会を束ね、情報収集や情報交換、各地の文化活動への支援など、本県の文化芸術団体の取りまとめ役としての役割を果たしています。 今後、さらに地域の文化芸術の基礎、基盤を強化するためには、主体的に活動を行う民間文化団体同士のネットワーク化による連携強化と組織強化が必要だと思いますが、県は、その旗振り役として高知県文化協会をもっと評価し、さらに連携を深めるべきと考えます。 そこで、高知県文化協会に対する期待について文化生活スポーツ部長に見解をお聞きいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 高知県文化協会は各市町村の文化協会等で構成されておりますが、これまで各地域の主体的な文化芸術活動を支援していただいておりますほか、県芸術祭開催への御協力もいただいております。 県としましては、本県の文化芸術のさらなる振興に向けては、高知県文化協会との連携を深めていく必要があると考えておりますし、協会の活動がこれまで以上に活発に行われ、県民の自主的な文化芸術活動が促進されることを期待しております。 ◆7番(土居央君) ありがとうございます。御答弁をいただきましたが、文化振興策として、各地域における民間の自主的な文化活動をいかに喚起していくかということは大きな課題です。私は、高知県文化協会のような既に一定の役割を果たしている民間の地域横断的な文化組織を、効果的に支援し、言い方は悪いかもしれませんけれども、ある意味活用していくということも必要だと思います。これは今まで以上にということでございます。各地域での文化支援は、基本的に各市町村が担っていることかもしれませんけれども、それを補完する視点で、県としてできることをもう一度考える時期に来ているのではないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。 最後に、田村教育長にお聞きします。伝統的な文化芸術にかかわる人材育成については、幼少期からその文化芸術に触れておくことが重要だと言われます。特に伝統文化の場合は幼少期の経験がなければ、大人になったときに伝統文化の意義を理解できず、評価することができない状況に陥る可能性があるとの懸念を県内文化団体の幹部の方からお聞きいたしました。 高知県文化芸術振興ビジョンでは、幼少期から文化芸術に触れる機会の充実、また児童生徒の文化芸術活動の促進を掲げておりますが、これには学校の理解と協力が不可欠です。教育委員会としてどう協力していく考えか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 平成18年に改正されました教育基本法におきましては、伝統と文化を尊重する態度を育てることの重要性がうたわれております。各学校では、郷土や我が国の伝統文化についての学習を充実し、その価値を大切にする心を育む教育が実践をされております。このようなことから、学校行事の中で、地域や文化芸術活動にかかわる方々の協力を得て茶道や華道、地域の伝統芸能を体験する学習を行う学校もございます。 県教育委員会といたしましても、児童生徒の文化活動を推進する教育文化祭行事を実施し、また文部科学省が実施する、伝統芸能や日本舞踊など本物の芸術家派遣事業に賛同し、各市町村教育委員会に周知するとともに学校に働きかけております。高等学校におきましては本年度より文化活動サポート事業を実施し、専門的な指導者が文化部活動の指導に当たることができるよう支援をしております。 さらに、御紹介いただきましたように、平成32年には本県を会場に全国高等学校総合文化祭が開催され、県内各地で文化芸術に関する全23の部門の発表、展示が予定されております。本大会を契機に、学校とさまざまな文化団体や地域の方々との連携を強め、児童生徒の芸術性や主体的かつ組織的に取り組む態度、課題解決力などが育つ文化的な土壌を一層豊かなものとし、本県の文化芸術のさらなる振興につなげたいと考えております。こういったことに幼少期から取り組んでまいりたいというふうに思います。 ◆7番(土居央君) ありがとうございました。 今回は、大学の振興につきましても、RESASにつきましても、また観光振興、ナイトタイムエコノミーにしましても、またこの文化振興にしましても、大きく地方創生がテーマの質問をさせていただきました。随分手応えも感じる御答弁もありました。これからの取り組みに期待をしております。 以上で質問を終わりますけれども、最後に、今議会をもって退職される皆様の長きにわたる県への御貢献に心からの感謝と敬意を申し上げまして、全質問といたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(明神健夫君) 以上をもって、土居央君の質問は終わりました。 ここで午後1時55分まで休憩といたします。   午後1時48分休憩-----------------------------------   午後1時55分再開
    ○副議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 前田強君の持ち時間は30分です。 28番前田強君。 ◆28番(前田強君) 質問のお許しをいただきました、県民の会の前田強でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。 外国人技能実習制度についてお伺いをいたします。 この制度は国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れまして、実習などを通じてその技能、これを移転することを目的とし、平成5年に創設されました。昨年11月に法施行もございまして、新たな制度の適切な運用に向けて取り組んでおります。 そんな中、高知県警が把握しております、高知県内における外国人技能実習生の行方不明者数を調べてみますと、平成27年1月1日から12月31日までの期間が21人、そして平成28年、同じ期間で16人、平成29年では31人となっております。この行方不明者届の警察における保存期間は、高知県警では25年間と定めておりまして、またこの外国人技能実習制度が開始されたのも約25年前でございます。しかしながら、平成26年以前の数字は明確になっておりません。 さて、平成30年3月2日の高知新聞朝刊において、2017年12月に発生しました、元外国人技能実習生を含む4人組の外国人窃盗団が、土佐市の量販店で約23万円の万引きをしたとして逮捕された事件に関連し、高知県内における平成22年から29年までの外国人技能実習生と失踪者の推移が報道をされました。この報道された内容が、先ほど私が申し上げました事実と異なっておりますけれども、この件についてどのようにお考えなのか、警察本部長の小柳誠二さんにお伺いをいたします。 ◎警察本部長(小柳誠二君) 議員から御指摘のありましたとおり、高知新聞に掲載されました、県内の外国人技能実習生の失踪者に関する記事の中で、失踪者数の一部に誤りがございました。これは、高知新聞の取材に対し、外国人技能実習生の行方不明者届を受けた者のうち、届け出を受けてすぐに発見された者などを除いた数を回答したために、実際に届け出を受けた数と異なった数字が掲載されたものでございます。高知新聞に対しましてはこのたびの事情を説明した上で、訂正をさせていただいたところでございます。 今回、誤った回答をしたことによりまして誤解を生じさせたことについては、大変申しわけなく思っているところでございます。県警察といたしましては、今後こうした誤りが生じることのないように努めてまいります。 ◆28番(前田強君) ぜひとも、今後このようなことがないように取り組んでいただければと思います。 では、平成29年内の高知県内における県内居住者の犯罪検挙状況から見る犯罪率、これはどのくらいになっているのか、警察本部長の小柳誠二さんにお伺いをいたします。 ◎警察本部長(小柳誠二君) 平成29年中の高知県内における県内居住者による刑法犯、特別法犯の検挙人員は1,164人でありまして、これを平成30年1月1日現在の高知県の推計人口71万2,357人で割りますと、約0.16%となります。 ◆28番(前田強君) では、同じように昨年の高知県内におきまして、外国人技能実習生による犯罪率、これはどのくらいになりますか、警察本部長の小柳誠二さんにお伺いをいたします。 ◎警察本部長(小柳誠二君) 平成29年中、高知県内に居住をしている来日外国人で、在留資格が技能実習の者による刑法犯、特別法犯の検挙人員は1人でありまして、高知労働局発表の平成29年10月末時点における外国人技能実習生の数1,405人で割りますと、約0.07%となります。 ◆28番(前田強君) ちなみに、先ほどお伺いしたのは平成29年でございまして、その1年前、平成28年に関してはたしか0件だったと思います。決して外国人技能実習生の犯罪率が高いわけではないということが明確になったと思うわけでございます。 そんな外国人技能実習生でございますけれども、ハローワークの集計によります新規求職者数の推移を見ますと、平成26年度から28年度までを比較していきますと、就職率は確かに改善傾向にはございますけれども、新規の就職件数は年間500件程度ずつ減少をし続けている一方、高知県内における外国人技能実習生の数は、近年で比較いたしますと年間250人ずつふえている計算になります。 この外国人技能実習生、その数や国籍別、地域別、産業別の雇用状況について調べる際、高知県商工労働部から高知労働局に問い合わせをしていただきました。産業別に見ますと、平成29年10月末時点で、建設業が140人、製造業が505人、卸小売業が70人、宿泊・飲食サービス業が1人、その他13人、合計729人とのことでございます。先ほど警察本部長からの御答弁にありましたように、全体の数字が1,405人でございます。数が足りない、そういうことが起きているわけです。農業・漁業分野の技能実習生の数、これが抜けていたわけでございます。なぜ労働局は持っているデータを高知県に対して非公開にするのか、全くもって私は理解ができませんでした。 そこで、私は、労働局を所管する厚生労働省にも間接的にお問い合わせをさせていただき、そしてまた改めて高知労働局に対しまして、正確な情報をいただきたい、その旨の電話をさせていただきました。すると、その当日の夕方には、農業分野で501人、漁業分野に141人、合計で642人という新たな情報を追加資料として共有化していただきました。しかし、先ほど数字が明らかになっていなかった分の676人に対しまして、このたび新たに明らかになった数が642人とのことでございますので、まだ34人がどの分野で技能実習を受けているのか、私も含め高知県にとっても不明である状況でございます。 高知県として、この高知労働局とのやりとりをする中で、この数字が合致しない、そのような情報共有のあり方でよいのでしょうか、商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) お話がありましたデータ、これは秘匿性といったようなこともありましょうけれども、その背景にある事情というのは私どもちょっとわかりかねますけれども、およそ、私どもも含めまして行政に携わる者として、正確な事実、データ、そういった情報をもとにして、政策の立案でありますとか判断をするということが必要であろうかと思いますので、情報の把握、伝達に関しましては、慎重かつ丁寧に行うべきものであるというふうに思っております。 ◆28番(前田強君) 次に、高知県内におけるこの外国人技能実習生に対する賃金の不払い、長時間労働、セクハラやパワハラなどの不正行為の件数はどのようになっているのか、商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 法務省の資料によりますと、平成29年に賃金の不払いや人権侵害などの不正行為を行ったというふうに入国管理局が認めて、技能実習生の受け入れを認めないとした機関の違反件数は、全国で299件でございます。法務省に問い合わせましたところ、都道府県別の数字は公表していないということでございました。 なお、県内の監理団体を指導しております高知県中小企業団体中央会に問い合わせをしましたところ、平成29年度の訪問指導の中で、時間外手当の割り増し賃金を適正に払っていなかったということで、入国管理局から受け入れ停止処分を受けた事例が1件ございました。 ◆28番(前田強君) 先ほどお話をさせていただきました3月2日の高知新聞にもありましたように、この労働環境の改善が行方不明者数の減少、改善につながっていくのかという点でいくと、先ほどの御答弁にありました違反件数1件ということでございますので、やはりこの行方不明者数の背景、原因というものはまだまだ不明なところがどうしてもあるなというふうに思うわけでございます。そういう点でいきますと、やはり情報収集や実態の把握というものがネックになってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。 そんな中、2月23日でございますけれども、この外国人技能実習生の諸課題を改善すべく、国の中央協議会が開催されました。その際、意見交換や情報共有が行われたわけでございますが、話し合われた議事については、3月末に香川労働局を通じて高知県にも情報共有がされる予定でございます。また、本年6月ごろには、四国ブロックでの協議会が開催予定でございまして、高知からは高知労働局を初め高知県、そして高知県警が、関係機関としてこの協議会に臨むことになっております。 この協議会における高知県の果たすべき役割とは一体どのようなものでしょうか、商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) お話のございました地域協議会は、構成員が相互の連絡を図ることにより、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に有用な情報を共有する、そして構成員の連携の緊密化を図るとともに、その地域の実情を踏まえた技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する取り組みについて協議をするというふうに法律に書かれております。昨年11月に施行されましたこの技能実習法では、地方公共団体について特段の権限等は定められておらず、総括的な責務規定のみとなっておりますので、まずこの法律に基づいて県として行うべきことを、この協議会を通じて確認する必要があろうかというふうに思っております。 また、国際協力を基本とするこの法律の目的、そういった観点でも県としてできることがあるのではないかなというふうにも考えております。そのため、この協議会に参加いたしまして、国の考え方をまずはしっかりお聞きするとともに、国あるいは関係機関、そしてまた他の都道府県の取り組みの情報などを注視してまいりたいと思っております。 ◆28番(前田強君) この実習生の派遣元でございますけれども、これは監理団体と申しますが、高知県にもございます。先ほどお話にありましたように、それらを指導する立場が高知県中小企業団体中央会でございまして、こちらのほうにも私は問い合わせをさせていただきました。すると、先ほどお話にありました、県内で発生した31人の外国人技能実習生の行方不明者数に対しまして、この県内の監理団体を通じた外国人技能実習生の行方不明者数が13人でございます。残りの18人が県外の監理団体を通じて高知県内で実習を受けられた方でございます。この発生率で見てみますと、県外の監理団体のほうが県内の監理団体よりも約1.5倍多い現状がございます。 先ほどお話にございましたように、県内においては高知労働局や県警、そして高知県が、まさしくこの高知県中小企業団体中央会とも連携をしながらになりますけれども、この県外の監理団体との、どうしても連携がネックになってくるのではないかなと思います。どのように連携をしていくおつもりなのか、商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) お話のとおり、県は、県内の監理団体に対しまして中小企業等協同組合法に基づく許認可権を有するという、そういう立場から中小企業団体中央会を通じた指導ということを行っております。権限の及ばない県外の監理団体に対する指導ということになりますと、これは国あるいは外国人技能実習機構のほうに対応していただくということになろうかと思います。 一方で、県内の外国人技能実習生に限らないことですけれども、在住される外国人が地域で安全に生活をできるようにしていくということは、これは行政の当然の役割ということでもありますので、今後県内の実情を把握しました上で、必要に応じて市町村などとも連携した取り組みを考えていきたいと考えております。 ◆28番(前田強君) ぜひともよろしくお願い申し上げます。 外国人技能実習生のまさしく負の側面といいますか、ネガティブなところのお話を冒頭させていただいたわけでございます。しかし一方で、 外国人技能実習生全体から見ると、この行方不明者等の割合は約2%でございまして、本当に多くの外国人技能実習生は真面目にそれぞれの現場で汗を流しながら実習を受けている、そういう現実があることにも目を向けなければならないと思うわけでございます。 先日、私は、四万十町などに足を運びまして、ショウガの生産、出荷、加工などの現場を視察させていただき、ベトナムからの技能実習生、19歳の男性でございますけれども、直接話を聞かせていただきました。彼は、無駄遣いをなるべくせずに、いただいたお給料を節約しながら、3カ月分として24万円を母国のベトナムにいる御両親に送金したということでございました。ベトナムでの大学生のアルバイトの平均時給は100円以下でございまして、とても大きな金額であるわけでございます。そんな彼の夢がございまして、日本での3年間の研修を終え、母国ベトナムに帰国をした後は、この高知で学んだ技能、そして日本語を生かしながら大学の先生になりたい、そんな夢を持っておられます。このように多くの外国人の若者が、みずからの夢を実現させるべく志を持って、この日本で、この高知で技能実習生として働いている、実習を受けている、そんな現実があるわけでございます。 そんな中、昨年の話ではございますが、彼を含む5人のベトナム人技能実習生を受け入れるに当たって、受け入れ先であるこの会社、事業者でございますが、担当者が頭を悩ませた事案がございました。それは住居の問題でございます。空き家は、このショウガの畑の近隣にも数軒ございましたが、家主さんに外国人が居住することを理由に入居を断られたり、または家主さんは理解を示してくれても近隣住民から反対の声が上がり、断念せざるを得なかったことでございます。まさしく、全国的にも、外国人技能実習生に対しましてのマスコミ等の報道の影響もあってなのか、ネガティブなイメージがどうしても先入観につながっているこの問題は、実習生の受け入れ企業にとっても大きな課題でありました。 そこで、この企業は自社の土地に、近隣に自社の土地があったわけでございますが、家を建てるしかなかった、しかし農地だったので家を建てられない、そのため苦肉の策としてトレーラーハウスを設置し、住居として役場に申請をすることになったわけでございます。このトレーラーハウス、中を見せていただいたんですけれども、正直な感想で申し上げますと、とてもすばらしい住環境でございました。トイレも2つ、シャワーも2つ、無線Wi-Fiも完備され、5人のベトナム人実習生が快適に暮らすことができるものでございました。しかし一方、この住居対策にかかった費用は、土地の整備、そしてトレーラーハウスを含め約2,000万円とのことでございます。 この実習生の住居確保問題の改善に向けまして、高知県として市町村や不動産団体と連携しながら何とか支援をすることはできないのか、土木部長の福田敬大さんにお伺いをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 外国人技能実習生の入居に当たりましては、不動産事業者や空き家所有者、周辺の住民の御理解を得ることがポイントと考えます。技能実習制度においては、実習生が入居する際、個人契約ではなく、受け入れ企業等との法人契約となります。さらに、日本の生活習慣を指導する生活指導員を、受け入れ企業側が配置することとなっております。これらのことが十分に周知されず、空き家所有者等が実習生の入居に対して不安を感じることが課題の一つではないかと考えます。 本県では、高齢者や障害者などの住居確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援することを目的に、官民の住宅と福祉の関係者から成る高知県居住支援協議会が平成25年に設立をされております。先ほど課題と申し上げました、受け入れ企業等が行う生活指導の取り組み等について、この居住支援協議会を通じまして不動産団体から個々の不動産事業者等に周知することで、空き家所有者の不安を払拭できるのではないかと考えております。 また、市町村が空き家を借り上げるなどして公的住宅として再生、活用する取り組みを県が支援しておりまして、実習生の住居としても活用可能であることを市町村に周知してまいりたいと考えます。 ◆28番(前田強君) ぜひともよろしくお願いを申し上げます。 また、外国人技能実習生や受け入れ企業にとっての最大の課題、これは言うまでもなく言語の違いによるコミュニケーションの問題でございます。実習生は、ベトナムを出国する4カ月前から日本語の勉強をされた、そして入国してから1カ月間日本語の勉強をし、あわせて5カ月間の日本語の勉強をして、この高知にやってきているわけでございますけれども、やはり言語の壁、これが実習生と受け入れ企業の双方にとって解決、改善することが必要であるわけでございます。そのことについて何とか支援をすることができないのか、そのようなことを思うわけでございますが、商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 言語の問題、この受け入れ企業に対する支援ということで申し上げますと、技能実習生の受け入れをする総合支援機関であります公益財団法人国際研修協力機構、こちらの支援メニューに電話あるいはメールでの日本語指導に対する相談対応というサービスがございますので、こういった専門機関の支援策の活用をぜひしていただければというふうに思うところでございます。 また、技能実習生御本人といいますか、当事者が生活をしていく上で課題となっている、日本語学習あるいは多言語表記といったような課題に対しましては、在住外国人へのサポートを行っております、高知県国際交流協会あるいは民間のボランティア団体が実施しております日本語講座といったもの、それから直接的に日本語講座ということに限らず、地域の住民の方との交流のイベント、そういった地域になじむというような機会も御案内をできるのではないかなというふうに考えています。 ◆28番(前田強君) この外国人技能実習生でございますけれども、移動手段が主に自転車とか徒歩になってくるわけでございますので、どうか居住地の近くで、仕事終わりなどの時間にこの日本語研修を受けられたらなあというような話を聞いたわけでございます。外国人技能実習生、先ほどお話しさせていただきましたように3年間ぐらい、最長で5年間ぐらいこの現場にいるわけでございまして、少しでもコミュニケーション、言語の壁というものが解消されて、この高知のことをより大好きになってほしいなという側面も私はあると思うわけでございます。 次に、外国人技能実習生を積極的に受け入れている、または受け入れようとしている企業にとって、申請書類が、報告書類も含めてですけれど、すごく難しくて、煩雑さという言葉で言いあらわすわけでございますけれども、頭を抱えております。どのように記載をすべきなのか、またこの記載で正しいのかなどなど、派遣元である監理団体等に相談をしたら、即違反扱いになってしまって、そしてその企業は特に違反の意図はなかったそうなんですが、そんなことはお構いなしに入国管理局のほうから、それ以降の実習生の受け入れはだめですというようなことになってしまったと。相談窓口といいますか、こういうものに何とか高知県としましても対応していくべきとは思うんですが、この件につきまして商工労働部長の中澤一眞さんにお伺いをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 外国人の技能実習生の受け入れに関するさまざまな御相談については、先ほど申し上げました国際研修協力機構がやはり最も的確な助言を得られる相談機関であるというふうに思っております。 現在、既に受け入れをしておられる既存の監理団体あるいは受け入れ企業、こちらに対しましては国際研修協力機構が、戸別訪問をするというような形で相談対応を行っておられるというふうにお聞きしております。 また、今後新たに実習制度を利用されようとする皆さんに対しましては、そういう方々の御要望をまずお聞きした上で、制度の周知でありますとか申請書の作成に関するセミナーですとか個別の相談、これを国際研修協力機構に、高知県内でもこういうことが受けられるように要請をしていきたいと考えています。 ◆28番(前田強君) ぜひとも進めていただけましたらと思います。 この外国人技能実習制度、本来の趣旨、目的は言うまでもなく国際貢献でございまして、その最前線で協力をしてくださっているのが、この実習先である企業や個人事業主の皆様でございます。そしてまた、高知県内の企業の中には、この実習生が研修を終えまして母国に帰られた後、この実習生を通じまして現地法人を立ち上げ、海外へ事業展開を進めている、そんな企業もございます。 尾崎正直知事におかれましては、地産外商、そして国際貢献、外国人技能実習生に対して寄り添っているような高知の企業などを応援する意味でも、ぜひともこの高知県としての支援のあり方を検討していただきたいと思うわけでございますが、お考えをお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) ここ4年で技能実習生の数が倍増するなどしておりまして、技能実習生制度、本県でも着実に広がりを見せてきていると思います。そういう中で、前田強議員からお話のありましたように、この技能実習生制度については、国際貢献とともに産業振興という観点からも意義深いものになってきているということかと、そういうふうに思います。 受け入れをしていただいている企業の皆様方に対する支援のあり方について、そもそも技能実習法では、地方自治体はさまざまな必要な施策を推進するよう努めなければならんことを定めておりますが、他方で権限は定められておりません。しかしながら、そうはいっても、先ほど来お話にありましたように、例えば、制度をもう一段しっかり周知すべきではないかとか、やっぱりさまざまなセミナーや研修とか、JITCOの方々にいろいろそういう機会をもっと設けてもらうようお願いすべきではないかとか、いろいろとやれることがあるだろうというふうに思います。多くの方が来られるようになってきていますから、そういう現状を踏まえまして、どういう支援策があるかということについて検討させていただきたいと、そのように思います。 ◆28番(前田強君) ありがとうございます。この外国人技能実習生の問題--そして一方で、高知県のさまざまな現場で実習を受けられている。しかし、先ほどお話しさせていただいたように、やはりネガティブなイメージ、そういうものもつきまとっているわけでございますので、先ほど知事がおっしゃられましたように、ぜひ高知県もしっかりと支援をしていくという立場の中、ネガティブなイメージが少しでも和らぎ、ポジティブなイメージに変わっていくようなことが望ましいと、私も強く期待をするところでございます。 そして、少し時間もございますので、お話をさせていただきたいんですけれども、例えば長崎県の上五島のほうでは、外国人技能実習生を活用するなどしてミャンマーから外国人の看護助手という形で活動されておられたり、先ほどの日本語研修に関しましては新潟市等で、または愛知県のほうでも行政が日本語研修をやっていたりとか、一定のバックアップといいますか、そういうものが県民にしっかりと伝わっていく。そのことが、やはり企業においても国際貢献をしておられるわけでございますので、その企業が国際貢献をすることによって、その企業イメージがよりアップするような、そんなことにつながっていってほしいなというふうに思うわけでございます。 知事を初め執行部の皆様から答弁をいただきました。本当にありがとうございます。また、この質問をするに当たりまして、関係各位、たくさんの方面の方に資料をいただかなければ質問をすることができませんでした。本当に多くの皆様に御協力をいただきましたことに、この場をおかりいたしまして御礼を申し上げます。 最後に、我々がまさしく生まれ育った、このふるさと高知で暮らす皆様お一人お一人に私も寄り添いながら、この高知県の政治や行政が前へ強く進みますように、今後も微力ながら私も尽力をさせていただくことをお誓い申し上げまして、私からの質問を全て終了させていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(明神健夫君) 以上をもって、前田強君の質問は終わりました。 ここで午後2時30分まで休憩といたします。   午後2時24分休憩-----------------------------------   午後2時30分再開 ○副議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 下村勝幸君の持ち時間は40分です。 1番下村勝幸君。 ◆1番(下村勝幸君) 県議会自由民主党会派の下村勝幸です。 それでは、早速質問のほうに入らせていただきます。まず、県職員並びに教員に対する国際人材教育について御質問をさせていただきます。 昨年の11月に、初めてINAPの会合に参加させていただきました。開催国スリランカのコロンボにおいて、高知県職員の皆様が、とても手際よく参加国の意見をまとめられながら、見事に調整していく姿を見せていただき、私は非常に感動いたしました。 そこで思ったのは、ここに参加していないほかの県職員にはどういった国際教育がなされているのだろうかということであります。急速にグローバリゼーションが進む世界で、こうしたダイバーシティー環境、いわゆる多様性に対応できるような感覚を持った職員の人材育成が、高知県では着実に進んでいるのだろうかということを考えたわけです。これからさらに観光事業に力を入れ、インバウンド客の増加を目指したり、農林水産業においても海外への輸出振興に力を入れている高知県として、そういった外国と対等に渡り合える県職員の重要度は増すばかりであります。 さきに述べたグローバルな時代が進展しているこの日本で、特に県職員において、グローバル感覚を持った人材を育てることは急務であると考えますが、これまでの国際人材育成の観点から、県職員に対する取り組みの現状はどのようになっているのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) お話にありましたINAPに加えまして、県経済の交易の範囲の拡大などによりまして、県職員には国際感覚が求められつつあるというふうに認識をしております。こうした中、国際感覚を育む観点からは3つの点、1つ目には海外を含む関係機関に職員を長期派遣する、2つ目にはOJT--オン・ザ・ジョブ・トレーニングの一環として海外に関係する業務に従事させる、3つ目に海外で実施される短期の研修に参加をさせるということによりまして、人材の育成に取り組んでおります。 1つ目の職員の派遣につきましては、自治体国際化協会の海外事務所や県貿易協会シンガポール事務所、国際観光振興機構香港事務所といった、海外の事務所へ職員を派遣するほか、海外出張や海外との取引などの実務を経験する機会のある民間企業、あるいは海外観光客の受け入れなど国の政策を担っている観光庁、海外ビジネスを担っている日本貿易振興機構への長期派遣研修を行っております。 2つ目の海外に関係する業務への従事につきましては、文化生活スポーツ部の国際交流課のみならず、輸出の分野では産業振興推進部や商工労働部など、国際観光分野では観光振興部、オリンピック・パラリンピックの事前合宿などのスポーツ分野では文化生活スポーツ部、ポートセールス分野では土木部など、多くの部局におきまして国際感覚が求められる業務を行っているところでございまして、このうち輸出や国際観光、スポーツの分野については、近年その体制の充実強化を図っているところでございます。 3つ目の短期研修につきましては、国際協力機構や自治体国際化協会、韓国・全羅南道の研修へ職員を参加させているところでございます。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。 同様に、そうした人材の基礎を育てるべき小中学校及び高等学校の教員がグローバル感覚を持つことも、非常に重要であると考えております。 小・中・高等学校の教員が国際感覚を身につけるため、教育委員会としてはどのような取り組みを行っているのか、教育長に現状をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) グローバル化が進展する中、教員が国際感覚を身につけて教育に当たるということは大変重要だと思っております。そのため、国の制度も利用いたしまして、長期、短期の海外派遣を行っております。 また、これは主役は生徒でございますけれども、スーパーグローバルハイスクールや海外姉妹校との交流において、教員も国際的な経験を積むということもしております。 また、教員の採用に当たりまして、平成28年度からは国際バカロレアの教員資格の認定者に対し、また来年度からはJICAなど海外での社会貢献活動を経験した者に加点をするなど、国際感覚を持った人材の採用にも力を入れているところでございます。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。 私は、今教育長、それから総務部長からお話がありましたが、ここで求められる人材教育は、単に交流であったり会話をメーンとする教育ではなくて、グローバルな思考力と課題解決能力を兼ね備えた人材を育成するためのものにすべきであると考えております。 その中で、特に現在も県として交流が続いている国であったり、また今後戦略的にアプローチをしていこうとしている国に関して、それらの国の文化や歴史、また日本や本県との関係性や習慣等について県職員へ教育を行っていくことが、将来における信頼感のある人的ネットワークを構築するためにも特に重要であると考えます。これらに対する御所見を総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 本県は、幅広い国や地域と継続的に交流を行っております。具体的には、海外との姉妹友好交流の取り組みでは、中国の安徽省やフィリピンのベンゲット州、韓国の全羅南道、県人が移住された土地である南米、ミクロネシア連邦と、またINAPの取り組みではフィリピン、スリランカ、韓国、中国、インドネシアの港湾と、よさこいを介した取り組みでは台湾の新竹県などと、園芸農業の取り組みではオランダのウエストラント市などと、それぞれ交流を行っております。 今後は、東京オリンピック・パラリンピックをにらんで、本県がホストタウンとなっておりますオランダ、シンガポール、オーストラリア、チェコ、トンガ、ハンガリーに対して、さらには県産品の輸出や国際観光を推進するという観点からは韓国、台湾、タイ、シンガポール等に対して、戦略的にアプローチしていく必要がございます。 県職員が、文化や習慣など、これらの国にアプローチする上で留意する視点を持つことが重要と考えておりまして、そのための人材育成を行っております。例えば地産地消・外商課では輸出振興の取り組みにおいて、日本貿易振興機構、ジェトロ高知等と連携しまして、貿易入門から応用までを学ぶための貿易セミナー・講座等を開催しているほか、販路開拓に取り組む東南アジア等の国について、商習慣やアプローチする上での留意点を学ぶ機会を設けております。また、国際交流課では、希望する職員に国際交流員が、英語や韓国語について、その国の文化に触れながら学ぶ講座などを実施しております。さらに、港湾振興課ではポートセールスの取り組みにおいて、各国の文化的行事の時期や土産物が文化的に問題がないかなど、国際交流員や県内の外国人に確認を依頼しているところでございます。 ◆1番(下村勝幸君) 次に、当然ながらこうした取り組みは、県から市町村へと国際人材育成のための裾野を広げることが、今後の高知県として重要であると考えております。そこで、各市町村においてはどういった人材育成の体制が組まれているのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 各市町村におきましても、国際関係業務に従事させることによって、国際感覚を養う人材の養成に取り組んでいるというふうに承知をしております。姉妹都市等の提携をしている市町村が12市町ありますほか、海外出身の国際交流員を設置している団体が11市町村、オリンピック・パラリンピック東京大会のホストタウンに登録をしている団体が7市町、教育委員会マターになりますけれども、外国語指導助手、いわゆるALTを設置している団体が24市町村ございます。ほかには、全国の市町村職員向けの研修所として滋賀県に全国市町村国際文化研修所がございまして、そこに職員を派遣している市町村もあるというふうに承知をしております。 ◆1番(下村勝幸君) 今御紹介ありましたが、県内では12の市町が17の国外の町との姉妹提携等を結ばれているというふうにお聞きをいたしました。今後は、前述の市町を含め、県内の市町村職員に対する教育への支援も必要になるのではないかと考えますが、総務部長の御所見をお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 全国的にも国際交流の取り組みがますます進んでいる中で、県内市町村職員がより国際感覚を身につけていく機会を充実させていくことは有意義だと考えております。このため県といたしましては、先ほどお答えしました全国市町村国際文化研修所における研修など、全国的に行われている国際感覚養成のための研修を、引き続き市町村に紹介してまいりたいと考えております。 さらには、例えばオリンピック・パラリンピックのホストタウンにつきましては、これまで市町村としても手を挙げていただけるように、積極的な対応を県として促してきたところでございますが、ほかの分野におきましても、県において国際的な業務を実施する中で、市町村と連携をして国際感覚を養っていただけるように努めていきたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。 高知県では、平成29年3月につくられた高知県人材育成基本方針の中で、グローバル人材の育成として、海外での勤務や研修の実施を政策的に位置づけておられます。県の政策をより確かなものにするためにも、国で行われているグローバル人材を育成する事業のようなものを活用し、高知県職員や高知県教育関係者に積極的に参加していただくことにより、高知県の財政負担を少なく、グローバル人材の育成をすることができると考えますが、前述したように、これからは海外での研修も質が求められる時代に入っております。 今後は、海外での研修等を希望する職員がより積極的に参加することが可能となるよう、取り組みを強化すべきと考えますが、これに対しては総務部長及び教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 海外勤務や関係機関への派遣に当たりましては、派遣を希望する職員を庁内で公募するジョブチャレンジという仕組みを適用しておりまして、意欲ある職員を後押ししようというふうにしているところであります。 御指摘いただきました、国などが実施しておりますグローバル人材を育成する事業につきましては、現在職員を派遣しております機関や研修よりも効果が大きいというふうに判断できるのであれば、職員の派遣について積極的に検討してまいりたいと考えております。 ◎教育長(田村壮児君) グローバル化する中で、先ほど申し上げましたとおり、現在教育委員会では、国などが実施する海外の日本人学校への教員派遣や、短期の海外派遣研修について派遣を行っているところでございます。 具体的に申し上げますと、教員の長期海外派遣といたしまして、国が実施をしている海外の日本人学校への教員派遣を実施しておりまして、昨年度は2名、今年度3名を公募により新たに派遣しております。また、今年度において短期の海外派遣として、外務省が実施する若手英語教員米国派遣事業や、独立行政法人教職員支援機構が実施する英語教育海外派遣研修などに対し、公募によって5名の教員の派遣を行ったところでございます。 今後とも、こういった機会を利用して、積極的に教員を派遣してまいりたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。ぜひ調査を行った上で、本当に効果が出るような、そういった研修にしていただけたらと思います。 それでは、次の質問に移ります。次に、新学習指導要領で規定された小学生のプログラミング教育についてお伺いをいたします。 近年のグローバル化や急速な情報化、情報活用能力調査結果などを受けて、小学校及び中学校の新学習指導要領では初めて情報活用能力が規定され、小学校では平成32年度、中学校では平成33年度から、このプログラミング的思考の育成をするための教育を全面実施することになっております。 海外や日本の一部の小学校では、実際に小学生の段階でプログラミング、いわゆるコーディング等を教えている学校もあるようでありますが、この新学習指導要領では、そういったことを学習するような考え方はないと伺っております。 ここで言う、小学校の新学習指導要領に基づくプログラミング的思考の育成とは、具体的にどういった方法を用い、何を習得させるための教育なのか、また高知県内の小学校ではどういった考え方で進めるのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 議員お話しのとおり、小学校におけるプログラミング教育は、プログラミング言語を覚えたり、コーディングを習得することを目指したものではなく、プログラミング的思考力などを育成するものでございます。このプログラミング的思考力とは、自分が意図する一連の活動を実現するためにどのような動きや指令が必要か、またそれらをどのように組み合わせると意図した活動となるのかといったことを論理的に考える力のことでございます。 プログラミング教育の実施に当たっては、プログラミングという特別な教科や授業を設定するものではございません。現在行われている各教科などの中で、子供たちのプログラミング的思考力を育成していくものでございます。このため例えば、算数ではコンピューターを活用して正多角形などの図形をつくる学習を行ったり、理科においてはセンサーを使って発光ダイオードの点灯を制御するプログラミングを学習したりいたします。このように、各教科などの中でそれぞれの特性に応じて計画的に取り組んでまいります。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。 さらに学習効果を発揮させるためには、教員への十分なトレーニングが必要であります。そこで、教材の効果的な活用や、教材をうまく駆使してわかりやすい授業を展開できるだけの研修等が重要であると考えますが、こういった学習教材の準備や、教員への研修のための計画をどのように考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 御指摘のように、プログラミング教育を効果的に実施していくためには、県教育委員会としても学習教材の準備や教員の研修が必要だと考えております。 学習教材については、教員が直接開発するというのはなかなか難しいと思っておりまして、文部科学省や総務省、経産省と民間企業などが連携して設立された、未来の学びコンソーシアムなどで開発の検討が行われており、こういったことの活用でありますとか、あるいはウエブ上での民間企業とのマッチングなどによって教材提供を受けることなどが検討されております。こういう学習教材の活用を検討してまいりたいと考えております。さらに、県内大学や高専などの機関にも御協力いただき、教材開発について検討したいとも思っております。 また、研修については、教育センターがプログラミング教育に関する内容を取り扱う研修を行うことにしております。具体的には、初任者研修における教育課程に関する研修や、希望する教員に対する専門研修である情報教育セミナーにおいて、子供たちにプログラミング的思考を育むための学習活動の内容や取り扱いについての講義、演習を実施する予定でございます。 なお、今後は、プログラミング教育の内容を取り上げた教育課程の研修教材を、オンデマンドで配信していくことも検討していきたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) さらに、学校間のプログラミング教育の質のばらつきをなくし、県全体の教員の指導力のレベルを上げるためには、定期的に学校に対して指導を行っていく体制が必要であると考えますが、対応策をどのように考えているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) プログラミング教育について、学校間格差を生じさせないための対策としては、各教育事務所による定期的な学校指導を実施してまいります。各教育事務所におきましては、毎年度管理職や教務主任を対象とした教育課程についての協議会や研究主任会を実施しておりますが、この中において先ほどお答えしたような学習教材の紹介を行ってまいります。同時に、それらの活用がプログラミング的思考力の育成につながるよう、プログラミング教育の理論と授業づくりについての研修を実施してまいります。 また、各学校が実施する校内研修の中に、プログラミング教育に関する事項を設定し、教育事務所の指導主事による演習や指導を行ってまいります。さらに年度末には、各学校を対象とした、新学習指導要領の周知に関するアンケートにおいて、プログラミング教育についての理解と実施の状況を調査し、課題を明らかにして、学校指導や取り組みの改善を行うようにしております。 このような指導体制により、小学校教員の指導力を高め、各学校のプログラミング教育の質の向上を図ってまいります。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。初めての取り組みですので、どうかスムーズに進むようによろしくお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。高知県の医療・介護現場での、ICT技術を活用した業務改善等について御質問をいたします。 介護事業所における福祉機器等の導入支援の強化予算等に関して、前年度比倍増の予算づけがなされております。介護現場における職員の負担軽減と業務効率化のためにも、このノーリフティングケア予算等の充実は非常にありがたく思います。また、この予算づけに関しては、介護現場からの反響も大きく、新聞を見られた方から、とても励みになりますとの声を多数いただきました。こうした方針を決めてくださった知事の英断に改めて感謝を申し上げたいと思います。 さて、私は昨年12月議会におきまして、介護事業所認証評価制度の中で、特にノーリフティングケアの普及に関して質問をいたしました。これに対しては、県内外の事業者の皆様や各県の福祉行政に携わる皆様が、今後の高知県の介護現場について大きな期待と関心を持って、取り組みを注視している状況のようであります。 さて、多くの介護事業所では、介護人材の確保がなかなか進まず、限られた人員の中、業務を遂行するために、人のやりくりにおいて非常に苦労をなさっている実態があります。本来であれば、訪問介護者の報告書をまとめたり、人の配置等を調整する仕事がメーンであるはずの中小介護事業所の責任者も、現場に出ねばならず、そうした責任者が訪問介護を終わらせた後に全ての報告書をまとめるなど、かなり無理な業務実態があるようであります。特に中小の訪問介護事業者は、本来業務以外に、今述べたような報告等のペーパーワークに忙殺されている現状があります。 そうした中、私は12月議会において、第4次産業革命に向けた県の取り組みに対しての質問をいたしました。発達するICT技術を駆使すれば、福祉や医療・介護現場におけるさまざまな課題を解決することが可能となります。私は、こうしたルーチンワークの業務改善こそ、これからさらに発達するであろうAIやIoT技術を存分に生かすことのできるフィールドであると考えております。 そこで、まず1点目の質問でありますが、こうしたICT技術等を活用した介護や医療現場でのネットワーク化のために、県と高知大学で開発された高知医療介護情報連携システムがあると思います。平成29年度から普及に向けた取り組みが始まっているとお聞きしておりますが、高知医療介護情報連携システムの県内事業者への普及状況はどのようになっているのか、健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 医療・介護の関係者がタブレット端末を用いて、在宅患者の情報をリアルタイムに共有できる高知医療介護情報連携システムは、本年2月末現在で9つの市町の医療機関、訪問看護ステーション、介護事業所などの計55事業所での活用にとどまっていますが、本システムは医療・介護の連携を進めていくための有効なツールであるとして、事業所からは、患者の状態を画像等で速やかに多くの職種で共有することにより適切な対応につながった、患者情報を他の職種に連絡する手間と時間が軽減され連絡漏れも防げるなど業務の効率化に役立っているとの御意見もいただいており、もっと多くの医療機関や事業所等で活用していただきたいと考えています。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。今お聞きしましたら55事業所ということで、全体とすればやはり少ないんじゃないかなと思います。 このように普及が余り進んでいないとするならば、その普及のための阻害要因になっているもの、言いかえるなら県としての課題についてどう捉えているのか、健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 多くの職種・事業所間での情報共有を行うものであることから、導入を各地域で進めるためには、関係機関の合意形成や運用に当たってのルールづくりに時間を要すること、毎月の利用料や端末の導入経費といった一定の負担が生じること、またこれが最も大きいと思いますが、タブレットやスマートフォンといった情報端末の操作に苦手意識があり、そもそも扱うことに消極的な従事者がおられることが課題ではないかと考えています。 ◆1番(下村勝幸君) 私、実はその後聞こうと思っていたんですが、そのあたりのこと、もう一度確認させてください。 介護現場には御高齢のヘルパーさんが多く、さらなる労働者の確保のために、今後県では、高齢者や女性のパート従業員の方たちにもこうした現場に参画していただくということになっておりますが、そのときには、今開発されているこのシステムがこういった方たちにとって利用しやすいものとして開発されているのか、本システム開発の支援を所管している健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) システムの利用しやすさについては、事業実施主体である高知大学が、開発段階において、医師会を初め看護協会やホームヘルパー連絡協議会などの各職能団体等で構成される運営協議会のもとに、現場で実際に利用していただけるであろう方々で構成するワーキンググループを設置して意見を聞き、タブレットやスマートフォンといった情報端末の操作にふなれな従事者にも使いやすくなるように、シンプルな画面構成にするとともに、直感的な操作ができるような工夫を行い、また運用開始後も利用者の意見を取り入れシステムの改良を行うなど、利用者にとってより使いやすいシステムになるように取り組んでいるとお聞きをしています。 ◆1番(下村勝幸君) そういった使いやすいものになっているのであれば、さらにそれをモデル的に皆さんに見せてあげるとか、本当に使える形をぜひ普及していっていただけたらと思います。 私が訪問した事業所では、それぞれの事業所ごとに自分たちが使いやすいように工夫したシステムを利用し、情報共有を行っておりました。県内には、こうした中小の事業所がいまだ数多くあると思います。私は、前述したように、県で開発された統合システムが県内全域で利用されることが、喫緊の課題である人材不足を補い、今後の福祉業務の改善に確実につながると考えております。そのためには、このシステムをさらに普及し、県内全域に着実に広める努力が必要であると思いますが、今後どのように普及させていかれるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) とにかく使っていただくことが大切だと思っておりますので、今年1月には重点地域を定めるとともに、タブレット端末を20台用意し、関係機関への説明会に合わせて無償で1カ月間試していただけるようにしており、今後とも高知大学と連携しながら普及に取り組んでいきたいと考えています。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。ぜひ本当に皆さんが使えるように、どんどん普及させていっていただけたらと思います。 それでは、この項の最後に、システムの話からもう一つの課題に移りたいと思います。2015年の法改正時から、軽度の方を対象とした通所・訪問介護は総合事業として提供されることとなりましたが、こうした軽度の方たちを受け入れる大手の介護事業者が少なくなり、そうした方たちの受け入れ先が少なくなってきている現実があると伺っております。県内にある中小の介護事業者の皆様は、経営的な不安を抱えながらも、道義的な責任の中でこうした方たちを受け入れている現実があるようであります。今後、こういった課題に対して県としてどう対応していかれるのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 介護事業所の行います総合事業サービスの基本報酬につきましては、国が定める基準単価を上限に、地域の実情に応じて市町村が定めることとなっております。平成30年度の介護報酬改定では、通所介護について生活機能向上連携加算の創設や、訪問介護の単価見直しがされたところでございまして、総合事業の単価についてもこの改定を踏まえて見直しがされております。 加算の創設など改定内容については市町村にお知らせをしたところでございますが、県としましては、今後行います市町村担当者会などにおいて、今回の改定内容を改めて周知し、市町村が単価や基準を設定するに当たっては、事業者の採算に対する影響などを十分検討するように要請してまいりたい、そのように考えております。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。ぜひ本当にその方向でよろしくお願いをしたいと思います。 それでは、次の質問に移ります。県内各地域に残る伝統文化の継承についてお聞きいたします。 来年度、文化芸術とスポーツの振興を行う中で、文化芸術を産業に生かすことのできる人材の育成を目指し、文化人材育成プログラムを実施することになっております。私は、こういった貴重な文化を経済と融合させるといった視点は非常に重要であり、インバウンド客が増加する中、高知県が今後目指すべき姿であると非常に高く評価したいと思います。 そこで、私がお聞きしたいのは、すぐには産業に生かすことはできないかもしれない文化的財産の継承についてであります。先ほどの土居県議の御質問にもありましたが、県内各地域には、お祭りなどで披露する伝統的な歌や踊りが口伝によって受け継がれております。しかしながら、少子化の影響もあり、子供に引き継ぐべき内容がうまく継承できなかったり、地域の若者が流出してしまったために、若者へ継承すべき文化的遺産がうまく引き継げなかったりする状況が生まれつつあります。 そこで、お聞きしたいのは、今すぐには継承できなくとも将来継承できる対象ができたときに、スムーズな復活を目指す、そのためのデジタルアーカイブとして、高知県の文化的県民遺産を残しておくべきと考えます。これは待ったなしの状況で、早急に対応しなければ継承の機会を永遠に失ってしまう事案が多数あると思われます。県として、こうした事案にどう対応されるのか、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 地域に伝わる文化の継承は、高知県文化芸術振興ビジョンの基本方針にも掲げてございますように、非常に重要でございます。この継承においては、映像等での記録、保存、活用は大変有効だと考えております。県では、これまで歴史民俗資料館において、例えば香美市物部地域のいざなぎ流などを映像として記録するとともに、展示室や視聴コーナーで公開するなどの取り組みを行ってきておりますが、こうした地域に伝わる文化の保存、活用に当たっては、地元市町村のかかわりが重要でございますので、今後におきましても市町村と連携して、映像など適切な方法で収集、保存、活用に努めてまいります。 ◆1番(下村勝幸君) 今答弁いただきましたが、現在はスマートフォン等が普及し、写真や動画撮影が非常に容易にできる状態になっております。そういった貴重なデータをデジタルデータとして収集、保存することが比較的容易にできると思います。県内各市町村の皆様にも、お話がありましたように御協力いただき、こういった取り組みを進めるべきだと思いますが、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 地域の民俗芸能などをデジタルデータとして記録する取り組みについて、近年普及しておりますスマートフォンなどの携帯情報端末を活用することは簡易で有効な手段であると考えられます。 一方で、撮影されたデータの個人情報の取り扱いやデータを収集、保管する仕組みなど、整理が必要な課題も考えられますので、お話にございましたデジタルアーカイブなど、まずは課題を整理して、市町村の御意見もお伺いしながら、どのように進めていけるのか検討してまいりたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。ぜひやっぱり引き継ぐべき内容がたくさん県内にあると思いますので、そういった方向でよろしくお願いをしたいと思います。 それでは次に、南海トラフ地震対策の中の津波避難タワー等へ避難された後の対応についてお伺いをしたいと思います。 南海トラフ地震対策の中で、まずは命を守るという政策において、県内の高台や避難ビルのない地域では、緊急的に避難するための津波避難タワー等の整備が順調に進んでまいりました。 そうした中で、私の地元の住民の方から、津波等がおさまった後で、避難した津波避難タワーから無事におりることができるのであろうかという質問をいただきました。そこで、黒潮町の防災担当者を通じ、津波避難タワーの設計者に確認をしていただいたところ、津波避難タワーの本体部分は、確実に現在想定している水圧に耐えられる設計になっているが、階段やスロープ等が想定の水圧に耐えられるのかどうかについては、はっきりと回答ができないということでありました。 考えてみれば、津波の中に巻き込まれた流木や破壊された家屋の残骸、また漂流船等がぶつかる可能性もあり、そうした場合、階段等がそのような漂流物によって流されてしまったり、逆に流木等が挟まってしまったりするなど、さまざまな状況が考えられ、階段やスロープ等が残っていたとしても下におりられない可能性はゼロではないと思います。ヘリコプターによっての空からの救出も考えられますが、1基に二、三百人が避難している津波避難タワーが県内に何基もあれば、当然のことながら、物理的に対処することは難しい状況になります。 そこで、まず1つ目の質問を行いたいと思います。今述べたようなことも想定される津波避難タワーでありますが、県としてどのように考えておられるのか、まず危機管理部長にお伺いいたします。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) 本県の津波避難タワーは、津波によってタワー本体が傾いたり転倒したりすることのないよう設計されていますが、階段やスロープは本体ほど丈夫につくっていないものもあるという状況でございますので、議員御指摘のとおり、津波から命を守った後にタワーからおりることが困難になることも想定されます。こうした場合に備え、タワーから安全におりることも検討していただく必要があると考えております。 ◆1番(下村勝幸君) 今、危機管理部長から御答弁いただいたように、地域ではいろいろと対策を練られている例があるようでございます。現在、津波避難タワーを設置している自治体や、各地域の自主防災組織では独自に、万が一津波避難タワーからおりられなくなった場合を想定し、どうやって避難者をおろそうかと検討している事例があると伺いました。例えば、滑車やロープ、さらには担架や人が乗れるようなかごのようなものを最上部に用意しておき、いざとなった場合はそうしたものを利用して対処することができないか、またビル火災などにおいてビルから避難をするために使用するシューターのようなものをあらかじめ設置しておけないかなどと、検討を開始した事例もあると伺っております。 当然費用のかかることでもあり、こうした事前準備の動きに対して、県として何らかの支援を行わなければならないと思いますが、財政支援や技術的アドバイス等の支援策はあるのか、危機管理部長にお伺いいたします。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) 既に、階段などが使えなくなることを想定し、滑車を使って避難者をおろす設備や、らせん状の袋内を滑っておりる救助袋などを整備していただいている市町村もございます。今後、そうした設備や資機材を整備するに当たって、地域防災対策総合補助金が活用できることを周知していきたいですし、また既に整備した事例を紹介するなど、情報提供を行う支援もしていきたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。地域では本当にこういったように皆さん自主防災組織が動いていく中で、それから必要に感じるものとか必死に考えておられるところがたくさんありますので、どうかそういった意味での御支援をよろしくお願いしたいと思います。 それでは最後に、四国の新幹線整備実現に向けた県民運動の展開について御質問をさせていただきます。 ことしの2月9日に愛媛県で行われた新幹線シンポジウムに、同僚県議とともに参加させていただきました。現在、具体的な新幹線の整備計画がないのはこの四国だけであります。しかし、岡山を起点とし終点を高知市とする四国横断新幹線と、大阪を起点とし終点を大分とする四国新幹線の2つの新幹線基本計画が、昭和48年に決定をされております。平成26年には基礎調査が行われ、岡山市から高知市、また徳島市から高松市を経由し松山市へ続く、四国を十字に通る総延長302キロメートルのルートでは、概算事業費1.57兆円、経済波及効果は4県で年169億円、費用対効果をあらわすBバイCも1.03となっております。さらに言えば、現在整備されている北陸新幹線や北海道・東北新幹線と比べ、1キロメートル当たりの沿線人口はおよそ2倍弱もあります。こうした状況を考えてみても、できるだけ早く整備計画格上げに向けた国の調査を実施してもらうことが非常に重要であります。 平成29年9月議会において、久保県議が非常に詳しく新幹線の必要性や建設の方法にまで言及され、知事においても、官民を挙げて四国全体で一致団結した取り組みを全力で進めてまいりたいという、非常に力強い答弁もいただいているところであります。私も久保県議と同様に、今始めなければそのタイミングを完全に失ってしまうのではないかと非常に危機感を覚えております。 これまでにも、4県の知事会や国会議員レベルでは何度も陳情等を行ってきておりますが、県民の中にはこうした情報も知らず、四国には新幹線は無理だろうと最初から諦めている人も多いと思います。中には、税金を使って無駄なものをつくるなと言う方も実際おられます。しかし、高松市から高知市まで、わずか36分で結ばれれば、インバウンド客が新幹線を利用し高知市まで足を延ばすということは容易に想像することができますし、大阪から高知市までが約1時間半程度で結ばれるようになれば、さらに多くのインバウンド客の来訪が予想されます。現在運営努力を続けておられる土佐くろしお鉄道などの在来線にも、多くのインバウンド客の流入が予想され、経営の安定化にも貢献してくれるでしょう。 しかし、私はいま一つ県民の間での盛り上がりを感じることができません。今述べたようなきちんとした情報が伝わっていないことに、一番の原因があるのではないかと思います。 そこで、まず質問したいのは、県民にこうした情報をきちんと伝えると同時に、どうしても整備すべきだという意思表示をしてもらうための何らかの行動をとる必要があると思いますし、今こそその時期だと思います。 今後、県として、四国新幹線の実現に向けてどのように県民へ周知し、誘致へ向けての機運を醸成する計画なのか、中山間振興・交通部長へお伺いいたします。 ◎中山間振興・交通部長(樋口毅彦君) まず、全県的な推進組織として設立しました、県内55の団体で組織をします期成同盟会、これを通じて一層の浸透を図ること、それから2つ目として、去年から県が行っております、県職員が講師となって四国の新幹線の意義や必要性、妥当性などわかりやすくお伝えする出前講座の積極的な実施、それと機会を捉えたマスメディアを活用したPRといった取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆1番(下村勝幸君) 最後に、知事のほうにお伺いしたいと思います。四国4県から熱い県民運動として、新幹線を四国にということをどういうふうな方法で盛り上げようとされているのか、ぜひ知事のほうから御所見をいただきたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 私も、いろんな県民の皆さんとお話をさせていただいたりしていて感じますのは、それはもう当然のことだと思いますが、非常に厳しい経済状況の中で、県民の皆さんは、今の高知県のこの経済をいかに元気にするか、その点にやはり関心を強く持っておられるということなのだろうと思います。新幹線の整備、やっぱりこれは、10年、20年、もっとなるかもしれません、そういうタームで考えていくべき仕事なのでありまして、まさに今の地方創生にかかわる課題ではない、そういうことなのだろうと思います。 しかしながら、今後早ければ20年後には東京と大阪がリニアで結ばれる、そういう時代が来ます。そのときに四国に新幹線さえもないという状況であれば、ますますこの四国は条件不利地になって、さまざまな形で格差の拡大ということにつながっていくかもしれない。まさに10年後、20年後をにらんで、もっと言うと30年後をにらんで、今まさに取り組みをスタートしなければならないのが、この四国新幹線整備に向けた取り組みということなのだろうと、そういうふうに思っているところです。ですから、やはり20年後、30年後をにらんだときのこの意義というのをしっかりお伝えしていくということが1つ。ある意味正直にです。今の課題ではないが20年後の課題なのだということで、正直にその点をお伝えしていくということが非常に大事。 そして2点目、どうせ無理だろうと思われている向きが非常にあるように思います。しかしながら、先ほど来お話してありますように、沿線人口の数、これは他の整備新幹線の整備されている地域に比べても遜色ないわけでありまして、例えばこういうこともしっかり訴えていきながら、無理では決してないんだということをお伝えしていくと。さっき申し上げた期成同盟会などの取り組みを通じてこういうことをしっかり進めたいと、そう思います。 ◆1番(下村勝幸君) ありがとうございます。知事から本当に力強いお言葉をいただきました。やはり県民の皆さんにきちんとした情報を伝えて、やはり将来はこうあるべきだということを御理解いただけたら、私はもっともっと県民の皆さんが盛り上がって、この新幹線整備、また今8の字ネットワークもどんどん延長していますが、そういったことも含めて、この四国にとって、またこの高知にとって、この交通インフラをいかに整備していくか、みんなで盛り上げていける、そういった形ができるんじゃないかなと思います。 いろいろと内容が多くなりまして、大変早口になりましたが、これで一切の私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(明神健夫君) 以上をもって、下村勝幸君の質問は終わりました。 ここで午後3時30分まで休憩といたします。   午後3時10分休憩-----------------------------------   午後3時30分再開 ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 野町雅樹君の持ち時間は40分です。 2番野町雅樹君。 ◆2番(野町雅樹君) 自由民主党の野町です。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。知事初め執行部の皆さん、どうかよろしくお願いをいたします。 それでは、早速質問に入ります。 まず、本県におけるグローバル人材の育成についてお伺いをします。 先ほど下村議員から同様のテーマで質問がありましたけれども、私のほうからは、特に本県の学校におけるグローバル教育について質問をさせていただきます。本県の経済成長を持続的な拡大再生産の好循環につなげていくため、第3期産業振興計画を成長の壁を乗り越える、成長に向けたメーンエンジンをさらに強化するなど、3つの側面からバージョンアップすること、また成長の壁の中でも担い手の確保がますます緊迫度を増していることは、今議会の質問戦の中でも多くの議論があったところであります。 私も昨年の6月議会において、産業振興の担い手育成の観点から、本県の産業教育のさらなる推進について質問をさせていただきました。今回は、バージョンアップした産業振興計画における重要施策の一つである輸出の本格展開を踏まえたグローバル人材の育成についてお伺いをします。 昨年11月、自民党県議団では坂本孝幸議員を団長として、シンガポールでの政務調査を行いました。現地では、高知県シンガポール事務所などに大変お世話になり、本県からの輸出品を扱う量販店や企業などを訪問し、その実態を調査することができました。各店舗では、ユズ製品はもとより土佐酒やその他の加工品、水産物など多くの商品が定番化をされ、ユズ果汁については、国内最大の飲料メーカーで高品質ユズジュースとしてブランド化をされており、今後KOCHI YUZUのロゴの使用やマレーシアへの販路拡大などが検討されています。また、ジェトロ・シンガポール事務所では、本県の、ユズを契機とした一点突破の輸出拡大への取り組みが、全国の優良事例として紹介をされるなど、県内企業や県職員の皆さん方の地道な取り組みの成果が着実にあらわれていることを実感してまいりました。 平成28年の本県の食料品輸出額は約7億2,000万円となり、平成21年の14倍となっております。今後、さらに防災関連製品などを含む県産品の輸出拡大を図るに当たっては、商品の磨き上げや輸出の継続性、また情報発信力の強化などはもちろんでありますけれども、最も重要なことは、そこに携わる国際的な視野や感覚を持った若い人材を県内で育成することではないかというふうに考えます。 そこで、まず知事に、本県の学校教育におけるグローバル人材育成の必要性についてお伺いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) ますますグローバル化が進展していく中におきまして、やはりグローバル人材の育成というのは、御指摘のとおり極めて重要だろうと、そのように思います。幅広い教養をもとにした高いコミュニケーション能力を身につけるということが第一、そしてまたさらに言えば、グローバルな文脈の中で外国の方々を相手に課題発見や課題解決を行っていけるような力、こういうものがこれからの日本人にも求められていくということなのだろうと、そのように考えているところです。 こういう力というのは生涯をかけて身につけていくべき力だろうと思うわけでありますが、そのためにも学校教育の段階でその基礎をしっかりと身につけることができるようにすることは非常に大事だろうと、そのように考えているところです。学校教育においてもそのような観点、単に英語教育ということにとどまらず、より幅広い観点からのグローバル人材育成のための取り組みというのが求められるだろうと、そういうふうに考えております。 ◆2番(野町雅樹君) どうもありがとうございました。 次に、平成27年度にスーパーグローバルハイスクールに指定をされ、3年目となる県立高知西高等学校における国際教育の取り組みについてお伺いをします。総務委員会の現地調査や2年次までの成果を取りまとめました研究開発実施報告書を拝読させていただき、その取り組みに大変感銘を受けました。生徒の皆さんはもちろんでありますけれども、教職員や県教育委員会など関係者の皆さんの御努力に敬意を表する次第であります。 当校のSGH構想では、グローバル教育が目指すべき人材を、郷土を愛し、その発展に貢献できる人材や、高い志を持ち高知から世界へチャレンジできる人材とし、また開発構想のテーマを、食を生かした地域創生と定めております。まさに本県の産業振興計画が目指す方向性や担い手育成の目的と合致をするすばらしい構想だというふうに思います。さらに、昨年実施をされました中間評価においても、全国の指定校の中でも大変高い評価をされているというふうにお聞きをしております。 そこで、県立高知西高等学校におけるスーパーグローバルハイスクール指定事業のこれまでの成果について教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 御紹介いただきましたように、高知西高等学校では平成27年度に文部科学省からスーパーグローバルハイスクールの指定を受けまして、食を生かした地域創生をテーマに研究を行うことにより、グローバル人材の育成に取り組んでいるところでございます。 1年次は県内の企業や役場の訪問学習を行い、生徒みずから本県の地域創生モデル案を作成し発表を行っております。2年次はグループで、3年次は個人で、関心のあるテーマから課題を設定し、シンガポール、香港、台湾、タイなど海外でもフィールドワークを実施しながら、リサーチペーパー、論文にまとめ、発表を行っております。 英語による生徒発表会や、大学教授と生徒によるシンポジウムを開催することで、発表者自身、英語で、また大勢の前でスピーチする能力が身につくだけでなく、同じクラスの友人が堂々と英語で発表する姿に感銘を受けたといった感想があるなど、ほかの生徒にもよい刺激となっております。 こうしたことによりまして、目的意識を持って学ぶ姿勢が身につくとともに、生徒同士で議論を行い、自分の考えをまとめ、英語で発表するといった能力が身につくことで、大学のAO入試、推薦入試の合格者数が増加するなど、進路実現にもつながっております。また、直接的な効果ではございませんけれども、関連するものとして、普通科1年生の英語技能検定準2級の合格率も大幅に上昇しております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 次に、本年4月に開校する高知国際中学校は、定員60名に対して受験者数237名という大変な人気ぶりであり、この数値からも県民の皆さんの当校、そして3年後に開校する高等学校に対する期待度の高さがうかがえます。 そこで、新たな学習指導要領のもと、国際バカロレア校の認定を踏まえた、県立高知国際中・高等学校におけるグローバル人材育成の目標について教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 高知国際中学校・高等学校が行う国際バカロレア教育では、多様な文化的、歴史的な背景を持つ外国の人々とも密接にコミュニケーションを図りながら、高い志を持って主体的、協働的に課題解決を図るとともに、新しい価値を創造していく姿勢や能力を持った人材、国際的な視野を持ち、かつ国際共通言語である英語を駆使して、地域や国際社会の発展に貢献できる人材の育成を目標としております。これは、生きる力の理念のもと、学力の3要素の充実に向けて重要となる主体的・対話的で深い学びを実現するという、次期学習指導要領が目指す方向性とも一致をしており、これからの教育を先取りしたものであり、高知国際中学校・高等学校には、県全体のグローバル教育や探究型学習の牽引役として、リードしてもらうことを期待しております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 シンガポールでの高知県人会の皆さん方との懇談の中でも、外国では当たり前の愛国心や日本人また社会人としての道徳心などが話題となりました。真の国際人には、国や地域を愛する心や道徳心が備わっていなければならないというふうに考えます。 そこで、同校において道徳・主権者教育にどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 高知国際中学校では、国際バカロレア教育のプログラムを用いまして、文部科学省の学習指導要領に基づいた学習を行いますので、道徳や公民の授業の中で年間指導計画のもと、道徳や主権者教育に取り組んでいくことにしております。 また、高知国際中・高等学校では、目指す人物像を国際バカロレアの10の学習者像とし、人類に共通する人間らしさと地球をともに守る責任を認識し、よりよい、より平和な世界を築くことに貢献する人間を育てることとしており、日々の授業はもちろんのこと、学級活動、課外活動といった教育活動全体を通じて、道徳教育、主権者教育を行ってまいります。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 県は、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿の誘致に向けて、シンガポールなどに積極的に招致活動を行っておりますけれども、シンガポールにおける我々の調査に対応していただきましたスポーツ庁のリムCEOからは、スポーツでの交流をきっかけに経済、文化、教育などあらゆる面での交流につなげていきたいとの、さらに先を見据えたお話をいただきました。また高知県人会の皆さんからは、シンガポールは国際感覚を養うためのステージとして最適であるとのアドバイスもありました。 県では、これまでもSGH指定事業の一環として、シンガポールでの海外リサーチや学生交流などにも取り組んでいるというふうにお聞きをしておりますけれども、バドミントンなどのスポーツ交流を契機として、さらなる人的交流の充実を期待するところであります。 そこで、今後のSGH指定事業や本県でのグローバル教育において、シンガポールとの交流をどのように進めていくのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 高知西高校のスーパーグローバルハイスクール事業では、課題探究に関するフィールドワークのためにシンガポールを継続的に訪れておりまして、平成28年度にはシンガポールにある日本企業の商談に同席したり、本年度はシンガポール国立大学や南洋理工大学を訪れ交流を図っております。今後ともこうしたシンガポールとの交流を深めてまいります。 また、県教育委員会では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンの取り組みの一環として、平成28年にシンガポールスポーツスクールとの間で、バドミントン、卓球の選手交流の協定を締結しております。このシンガポールスポーツスクールは、国際バカロレア教育についても高いレベルで実施をしている学校でありますから、交流の範囲をこの国際バカロレア教育にも広げていくことを考えております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 一方、本県産業の将来の担い手という観点から考えますと、優秀な人材ができる限り県内で活躍できるような環境整備も必要であります。もちろん、世界で活躍する人材が育つことは望ましいことであり、目指すべきところではありますけれども、県内にとどまり、あるいは県外から戻ってきて、活躍できる国際的な広い視野を持った人材の育成こそ、今後の本県にとって重要な視点ではないかというふうに考えます。 そこで、県内産業振興の担い手という観点から、グローバル教育を受けた優秀な学生たちが県内で活躍できる仕組みづくりについて教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 生徒が将来本県産業の担い手として活躍するためには、県内の産業や企業に魅力を感じ、また地域に愛着を感じて地域に貢献したいという志が必要でございます。高校では、地域の魅力や課題を探り、活性化策を考える地域課題解決学習などの探究的な学習の機会を拡充していくことに加えて、来年度からは新たに全県立学校で県内企業の見学を実施するほか、企業との情報交換会を対象を広げて開催するなど、地域経済を支える県内企業を知ってもらう取り組みをさらに強化したいと考えています。国際中・高等学校においても同様でございます。 今後、高知国際中学校・高等学校では、実際に経験することで学ぶサービス・アズ・アクションや、放課後や休日を活用して行う創作活動・スポーツ・ボランティア活動、CASと呼びますけれども、これを通して地域とかかわり、また興味、関心に応じた事柄について研究するパーソナルプロジェクトや、課題論文を作成するエクステンデッド・エッセーを通じて、みずから課題解決を図る教育を行ってまいります。このような教育を受けた生徒が高い志を持ち、地域の発展に貢献するリーダーとなって活躍してもらえるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございました。 今回は、中・高等学校の教育に焦点を絞った質問となりましたけれども、来年度からの小学校での英語教育の導入や、現在高知大学で取り組まれている地方創生推進士認証制度、さらに言えば、県内の商業高校などの先生方有志がその立ち上げに御尽力をいただいているとお聞きをしておりますけれども、地方創生推進士ジュニア認定制度との連携なども視野に入れれば、より広い視点で、郷土を愛しその発展に貢献できるグローバル人材の育成、そして若者の県内定着にもつながるのではないかというふうに思いますし、そうした若者が誇りと志を持って活躍できる高知県を目指していただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問項目に移ります。農業の労働力確保対策についてお伺いをいたします。 この問題につきましては、先日の武石議員の質問に対します農業振興部長の答弁において、来年度から新たに農作業サポート隊の設置や農作業アルバイターなどの受け入れ体制の強化への支援などが示され、各地域や県域での積極的な対策が進められておりますことを高く評価いたしたいというふうに思います。その中でも触れられましたように、農業と福祉分野が連携をし、ひきこもりなどの症状に長年悩まされ、社会とのつながりが希薄になっていた方々が、ナスや畜産などの農業現場やJA集出荷場などで働く機会が広がっているというふうにお聞きをしております。 そこで、県内での農福連携の取り組みの現状について、地域福祉部長にお伺いをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 県内のJAでは、44人の障害のある人が就労しており、集出荷業務や精米作業などに携わっています。また、障害者施設の利用者が、施設職員とともにトマト栽培や集出荷業務の現場へ出向いて作業を担い、習熟度等が向上することで、集出荷場やトマトハウスなどで雇用される人も徐々にふえています。 お話にありました安芸福祉保健所管内では取り組みが進んでおり、現在、11人の障害のある人が7軒の農家で雇用され、ナスの栽培などの現場で働いていますし、本年度は、安芸市と農業振興センター、福祉保健所が連携をして研修会や交流会を開催することで、受け入れ農家のさらなる開拓や地域で顔が見える関係づくりに取り組んでいるところでございます。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 お話にありましたように、安芸福祉保健所管内では、医療機関、警察署、社会福祉協議会、就労支援事業所、弁護士など多くの関係機関が参加をする自殺予防ネットワークが組織され、日ごろから障害者の社会復帰や自立支援などのケース対応に当たっており、今回の農福連携の取り組みのきっかけになったというふうにもお聞きをしています。 一方で、受け入れ農家を含む関係者の皆さんからは、その課題として、当事者の特性に合わせた受け入れ先や作業内容の選定、またトラブルが発生をした場合の対応窓口や専門的かつ迅速な対応などが求められております。特に、今後こうした取り組みを広げていくに当たっては、現場における課題をしっかりと把握し、地域や当事者に寄り添った仕組みづくり、またアフターフォロー体制の充実が必要だというふうに考えます。 そこで、今後こうした取り組みを県域に拡大するに当たっての課題について地域福祉部長にお伺いをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) まず、マッチングでは、受け入れ先となる農家に、本人の特性などに配慮した仕事を提供していただき、その指導方法等を習得してもらうこと、ひきこもり状態にある人お一人お一人の特性や状態に応じて、段階を踏んで支援をすることなどの仕組みづくりが課題として挙げられます。 次に、雇用された後の課題といたしましては、本人及び雇用した農家に対しまして、随時専門的な助言や支援を行う体制の整備が挙げられます。 また、県内に取り組みを広げていくためには、この取り組みを知っていただくとともに、マッチングから定着まできめ細かな支援体制をそれぞれの地域で構築するコーディネートが必要だと考えております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 次に、県域への拡大に当たっての対応策について地域福祉部長にお伺いをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 県域拡大への対応策といたしましては、まずマッチングの課題に対応するために、地域の農家に、実際の雇用事例を、県が開催をいたします発表会などを通じて知っていただくとともに、障害特性などを理解していただくこと、そしてひきこもりの状態にある人などにユズの収穫などを、地域や農家の人とともに体験していただく機会を創出すること、こうした体験を通じて理解が深まった農家で短期の就労プログラムを実施すること、次のステップとして本人と農家に適した職業訓練を数カ月程度実施し、相性や適性をお互いに見きわめていただくなど、就労に向けて段階を踏んだ対応をしてまいります。 さらに、雇用後は、県内5カ所に設置をしております障害者就業・生活支援センターが中心となりまして、職場訪問や随時の相談に対応した支援を本人、農家双方に行うなど、きめ細かな定着支援を行ってまいります。 こうした取り組みを、来年度新たに配置します農福連携コーディネーターを中心に、農業振興部と連携して実施することによりまして、県域に農福連携の取り組みを広げてまいりたいと考えております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。こうした取り組みは、農業現場の労働力不足と障害者の社会復帰や自立支援といった地域社会の課題を解決するすばらしい取り組みであるというふうに思っております。しっかりと課題を整理して、持続可能な取り組みにつなげていただき、それぞれにとってウイン・ウインの関係が構築されますことを期待いたしております。 次に、外国人技能実習制度についてお伺いをします。 前田議員からもありましたとおり、昨年11月、改正技能実習法が施行され、実習生1人当たりの滞在期間が3年から5年に延長されました。さらに、制度の運用改正により、農家に加えてJAも実習実施者になれることとなり、北海道のJAこしみず、JAびほろ、JA宗谷南の3JAが先駆的に農協方式での制度の活用を始めております。また、県内のJAでも当制度による実習生の受け入れが検討されているというふうにお聞きをしております。 そこで、JAが実習実施者となって外国人実習生を受け入れ、農家での実習とあわせてJA集出荷場や農産物加工場などで実習をするといった、本県での当制度の活用について農業振興部長に御所見をお伺いします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) JAが実習実施者となって外国人実習生を受け入れる場合、実習生は研修計画に基づいた複数の農家での農作業や集出荷場、加工施設での作業が可能となり、個々の農家の負担が軽減される一方、JAには技能実習指導員の配置や監督などの負担も生じてまいります。現在、この仕組みに関心をお持ちのJAとともに、技能実習指導員の監督や農作業の請負方法など、実際に取り組みを行う上で課題となるであろう項目をピックアップして、北海道の先行事例を調査しているところです。 まずは、その調査結果をもとにJAが実習実施者となるメリット・デメリットをJAグループの皆様と整理し、本制度の活用について議論してまいります。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。この制度は言うまでもなく、開発途上国などに農業を初めとする技能などを移転し、その経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度であります。しかしながら、先ほど前田議員からもありましたとおり、本県においても実習生が失綜したり犯罪を犯す事案もふえております。こうしたことを防止するには、よりしっかりとした人間関係の構築や労働環境の整備、また管理体制の充実が必要であり、そうした点でも、地域農業のかなめであるJAでの受け入れが効果的に作用することを期待するところであります。 次の質問項目に移ります。漁港の有効活用と防災対策についてお伺いをいたします。 先ほどの農福連携に関連して、現在安芸市では、地下海水を利用したスジアオノリの陸上養殖事業を安芸漁港内に誘致し、養殖事業者と障害福祉サービス事業者との協働による事業化に向けた準備が進められております。スジアオノリの陸上養殖事業は、高知大学の開発した種苗生産技術を用いて、室戸市で事業化をされました新しい地域産業であります。地域アクションプランにも位置づけられた取り組みで、室戸市以外での事業拡大は県内初ということもあり、ぜひ成功させたいというふうに考えております。 また、安芸漁港内には平成24年にシラス加工業者が進出をするとともに、安芸釜揚げちりめん丼などの御当地グルメを活用した地域活性化が図られ、さらに本年度、新たなシラス加工業者が進出をするなど、さながらちりめんクラスターが形成されている状況にあります。また、漁港ではありませんけれども、昨年7月には中土佐町の久礼港に道の駅なかとさがオープンし、多くの観光客でにぎわい、先日、来場者数が25万人を突破したとの報道もありました。南海トラフ地震による津波などへの不安はありますけれども、漁港などの有効活用は、本県産業の振興にとって有効な手段の一つというふうに考えます。 そこで、県内における漁港内の土地利用の現状について水産振興部長にお伺いをいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 昭和25年の漁港法制定以降、漁業就労者が日常的に利用する荷さばき所、野積み場、道路などの用地整備を進めておりまして、現在、県内88漁港で合計130万平米の用地が造成されておりますが、人口減少や高齢化の進行、漁村の活力が低下していることもあり、未利用地が全体で8.6%ございます。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 国においても、漁港ストックの最大限の活用と漁村のにぎわいの創出を、昨年3月に閣議決定をされました漁港漁場整備長期計画の重点課題として掲げ、各地域が策定をする浜の活力再生プランに基づく取り組みの実施、また直販所や漁業体験施設等の整備などを通じた都市住民や外国人観光客等の誘致、水産業の6次産業化などを推進する方針が打ち出されております。 そこで、今後の漁港の有効活用に関する県の方針について水産振興部長にお伺いをいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 漁港ストックの最大限の活用と漁村のにぎわいの創出の取り組みについて、本県においても、拠点漁港への漁港機能の集約化を図るとともに、地域資源を活用したレストラン、水産物の加工・販売施設、マリンスポーツ、体験漁業などの滞在型観光や漁港内での水産物の蓄養・養殖の実施など、地域の活性化や交流人口の増大につながる漁港の有効活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 一方で、安芸漁港では、南海トラフ地震発生時の防災拠点漁港として、沖防波堤の整備などの対策が進められております。しかしながら、今回新たにスジアオノリの養殖施設が整備をされる漁港の西用地では、平成26年の台風11号に続き、昨年の22号台風でも越波をし、さらに長周期波によるすびき現象が発生をして、濁流となった海水によって漁船が転覆寸前になるなど、日々の漁業活動への影響はもとより、防災拠点漁港としての機能にも支障を来しかねない状況が続いております。 そこで、昨年の6月議会でもお聞きをしたことではありますけれども、安芸漁港内に新たにスジアオノリ養殖施設が誘致をされることも踏まえ、沖防波堤の延伸などの防災対策をどう進めるかについて、改めて水産振興部長にお伺いをいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 安芸漁港では、新たなシラス加工業者の進出に加え、スジアオノリの陸上養殖も予定されていることから、これらの用地の安全性を確保するため、進出企業の用地のかさ上げなど、越波への早急な対応を図ってまいります。 また、昨年の台風襲来時、お話にありましたように、係留されている漁船が岸壁に乗り上げる事故が発生しております。海面変動を低減させるための沖防波堤の延伸など、防災対策工法の実施、検討を行ってまいります。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。私も昨年の台風22号における越波と濁流により、漁船が転覆をしかけた大変恐ろしいさまを目の当たりにし、沖防波堤の延伸などの対策の必要性あるいは緊急性を改めて実感いたしました。また、本日も傍聴においでていただいておりますけれども、漁協関係者の皆さんからは、長年にわたり強い要望が上げられております。このことを踏まえて、しっかりと対応いただきますよう重ねてお願いを申し上げます。 次の質問項目に移ります。農業の土地基盤整備と担い手への集積についてお伺いをします。 本日のトップバッターとして質問された横山議員の質問と重複をするところもありますけれども、御容赦をお願いしたいというふうに思います。山本前農林水産大臣の強いリーダーシップのもと、本県や北川村からの要望を受け、来年度国によって大変画期的な農地整備事業が新設をされることとなりました。それが農地中間管理機構関連農地整備事業であります。本事業では県営事業において、農地中間管理機構を通した担い手への農地集積を8割以上とすることなどを条件として、事業費の農家負担をゼロとし、さらに中山間地域では、事業対象農地面積の下限設定を大幅に緩和し、0.5ヘクタール以上のまとまった農地で、全体面積を5ヘクタール以上としています。 このことは、これまでになく、より中山間地域の実態に即した要件であります。高齢化と耕作放棄地の拡大が加速的に進んでいる農業現場において、ユズなどの有望品目への集約化、また担い手への農地集積を進めるために、当事業は大変有効であるというふうに考えます。 そこで、本事業の活用による土地基盤整備にいち早く取り組む、北川村での事業実施に対する支援について農業振興部長にお伺いをいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 新たな基盤整備事業は、これまで対象とならなかった小規模な面積でも県営事業として実施することが可能となったことから、北川村では、来年度からの事業着手に向け、現在、農地中間管理権の設定や事業計画書の策定に取り組んでいるところです。 一方、本事業では整備した農地の8割以上を農地中間管理機構を通じて担い手に集積することが事業の要件となっておりますが、農業者の高齢化や兼業農家が多い北川村では、担い手の確保が一番の課題となっております。このため県としましては、基盤整備の推進だけではなく、認定農業者や新規就農者などの担い手農家の確保・育成対策にも北川村と連携して取り組んでまいります。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。 次に、県内の中山間地域におけるユズや施設園芸団地の形成などに当事業をどのように活用していくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 来年度から事業着手する北川村ではユズを、また事業着手に向けた計画策定に取り組む宿毛市や本山町などでは、土佐ブンタンや施設園芸での導入を検討しているところです。この新たな事業では、農地面積が狭小で道路や農業用水路なども未整備な条件不利地域におきましても、収益性の高い農業を実現することが可能となりますので、より多くの地域で活用していただきますよう、今後も市町村や農地中間管理機構と連携し、集落代表者や土地改良区など農業関係者への事業の周知や啓発に引き続き取り組んでまいります。
    ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。中山間地域の農業振興を図る上で、農地の基盤整備や集約化は、農業の労働生産性を向上させる上でも、また若い担い手に農業を引き継いでもらうためにも大変重要であるということは言うまでもありません。有効な支援策をフルに活用することで、その取り組みが一層加速化することを期待いたします。 それでは、最後の質問に移ります。JAグループが取り組んでいる大規模直販所を核とした複合施設についてお伺いをします。 質問戦初日の桑名議員の質問にも詳しく取り上げられましたので、私のほうからは関連して1つだけ質問をさせていただきます。 これまでJAグループでは、みずからの事業として、また生産部会や女性部などの活動の一環として、農産物加工品の開発や販売促進に精力的に取り組み、地域に根差した多くの商品が本県の食文化の一翼を担っていただいております。農業振興部の調べによりますと、平成27年のJAグループの加工品の販売額は約37億4,000万円ということであります。 しかしながら、もう少し磨き上げを行うことでヒット商品につながる可能性があったり、情報発信が弱くその価値が地域でしか評価されていなかったり、生産者の高齢化も含め生産体制が整わず少量しか生産できないなど、まだまだ地域に埋もれている商品も多いのではないかというふうに思います。 そこで、JAグループの大規模直販所を核とした複合施設を活用することで、そのアンテナショップ機能を生かし、県内の加工品のブラッシュアップや外商にもしっかりと取り組むべきではないかというふうに考えますが、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 議員のお話にもございましたとおり、地域内でしか販売されていなかった農産物加工品の磨き上げを行い、JAグループが計画している複合施設のアンテナショップ機能を活用することで、今後販売が広がることが期待できます。また、複合施設での販売を目指すといった目標ができることで、生産者の意欲が高まることや、県内外のお客様の反応を直接うかがえることで、さらなる磨き上げにつながることも期待できます。このため県としましては、例えば複合施設内に農産物加工品のテスト販売を行うチャレンジコーナーの設置をJAに提案するなど、この機を逃すことなく販売拡大につなげていきたいと考えております。 ◆2番(野町雅樹君) ありがとうございます。安芸市におきましても、安芸桜ケ丘高校の生徒の皆さんと地元農協あるいは地元企業が協働して開発をしましたなすのプリンが、昨年の商業高校フードグランプリで大賞を受賞しました。先日安倍総理にも御試食いただくなど話題になっております。また、既に定番化をされております安芸釜揚げちりめん丼など、県内各地域には、地元食材を使った、きらっと光る農産加工品がたくさんあるというふうに思います。こうした地域の方々の創意工夫と情熱によって開発された商品が、当施設を介してますますブラッシュアップをされ、高知の食文化として全国発信されることを期待いたします。 少しまだ時間があるようです。それぞれ御丁寧な、あるいは大変前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。少し早口でしゃべりましたので、ちょっと予定より早く終わりますけれども、最後に、本年3月で御勇退をされます田村教育長、また県幹部職員の皆さん方には、長らくの県勢浮揚に向けたそれぞれのお立場での御尽力に心から感謝を申し上げ、今後一層の御活躍を御祈念いたしまして、私の一切の質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、野町雅樹君の質問は終わりました。 ここで午後4時15分まで休憩といたします。   午後4時7分休憩-----------------------------------   午後4時15分再開 ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 弘田兼一君の持ち時間は30分です。 13番弘田兼一君。 ◆13番(弘田兼一君) 自民党の弘田です。議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。 この質問戦も、私を含めてあと2人ということでございます。皆さんお疲れのところではありますが、もう少しおつき合いをいただければと思います。よろしくお願いいたします。 この1月末で室戸病院が廃止となりました。室戸病院は芸東地域、室戸市と東洋町で二次救急を担う唯一の救急病院としての役割を果たしていました。平成26年の6月末、看護師不足のために救急病院から外れ、夜間の外来診療も中止となり、平成28年12月には県外の民間法人に買収され、診療を続けていましたが、今回非常に残念な結果となってしまいました。 病院や診療所は、道路や橋梁、上下水道などと同様に、人が生きていくための大切な基本インフラの一つであると、私は考えています。また、基本インフラを整備していくことは、最終的に行政の責務だと思います。また、地域住民に医療を提供するためには、状況に応じて適切な対応が行政にも求められます。芸東地域の医療の現状を見れば、行政が今以上に手を差し伸べなければならない時期に来ていると、私は思っております。 その思いもあり、私は昨年9月議会で、室戸市の医療体制を確保するためには民間の力も必要ですが、公立の病院、室戸市立の病院が必要ではないかと前置きし、東部地域の医療の現状についてどのように考えているのか、どのように医療の確保をしていくのか、知事の御所見をお伺いいたしました。芸東地域の地域医療を取り巻く状況は、昨年の9月よりさらに悪化しています。 人口減少が続き、民の力のみで医療を提供しづらくなった中山間地域で地域医療を守るためには、行政はどのようにかかわっていくべきか、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 中山間地域で医療を提供するに当たって民間病院がない場合、やっぱり自治体立の病院を確保して、それによって医療を提供する、これが一つの型。高知にはこういう場合が多いというふうに考えられます。また、室戸などのように民間病院によって医療が支えられている場合もあるわけでありますが、ただ御指摘のように、だんだんだんだんとその経営自体も苦しくなってきている地域が多々あるということではないかと思います。そういう中において、住民のためにいかにしてこの医療機能というものを確保していくか、その中において行政の果たすべき役割というのは、だんだん大きくなってきているものだと、そのように思っています。 県としても、そもそも医師確保をしっかりしていくということとか、さらに言えば三次医療、二次医療をしっかり確保していくということがまず一義的に求められるところかと思います。あわせて、それぞれの市町村が取り組まれる、それぞれの地域におけるその医療機能の確保についての公的な役割も、我々県としても寄り添ってしっかりと対応させていただかなければならんと、そういうふうに考えているところです。 ◆13番(弘田兼一君) どうも力強い御答弁ありがとうございました。私は、今回この場に立つのに、ある覚悟を持っております。というのは、室戸、芸東地域にまた救急病院を復活させるという思いで立っております。そういった意味で、私にとっても今の知事のお言葉は非常にありがたいし、それから私と同じ考え方で新たに室戸に病院をつくろうとしている仲間たちにとっても、非常にありがたい答弁であったというふうに思っております。これからもよろしくお願いをいたします。 質問を続けさせていただきます。平成28年12月に、高知県地域医療構想が策定されました。地域医療構想実現のため、構想区域が設定されています。現行の二次医療圏を原則とし、人口規模、基幹病院へのアクセス時間の変化など、将来における要素を勘案して検討し決定されるとなっており、安芸保健医療圏など4つの医療圏が構想区域として設定されております。室戸と東洋町は安芸区域に含まれています。 それぞれの区域において県の果たす役割、市町村の果たす役割があろうかと思いますが、安芸区域では、県はどのような役割を果たしていくのか、市町村ごとにどのような役割を期待しているのか、山本健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 安芸区域において、県は、圏域全体の医療従事者を含めた急性期医療の確保について、関係機関との調整や必要な支援を担います。また、民間病院で担当しがたい二次救急やがん診療等の医療機能については、県立あき総合病院において安定的かつ継続的な提供を行うとともに、医師不足の地域に対して医師の派遣を行っています。 一方、市町村は、一般的な外来・入院医療や在宅医療など住民に身近な日常的な医療について、県を含む関係団体などと連携を図り、その地域の特性に応じた施策の推進に努めることとされています。地域地域で安心して住み続けられるためには、地域医療の確保はなくてはならないものですので、市町村においては、住民や医療関係者の意見を聞きながら、地域に必要な医療水準と規模について十分に議論し、直接の医療提供も含め、その確保に主体的に取り組んでいただきたいと考えています。 ◆13番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。医療の提供は、私も、今部長がおっしゃっていただいたように、直接的にはやはり市町村が担っていただくべきだと考えております。県は、市町村の補完といいますか、高度な医療提供とか、そういった部分で役割を果たしていただければというふうに思っております。今の部長の答弁を心して、これから地域に帰って話をしていきたいというふうに思っております。 質問を続けさせていただきます。安芸区域の中核病院は、県立あき総合病院であることは言うまでもないことです。先日、あき総合病院の広報誌、ひだまりぷらすが送られてきました。産婦人科が常勤医2名体制になったことや、産婦人科でがん検診外来が始まったことなどが載っており、地域の中核病院としての機能がだんだんと充実してきたように感じました。前田院長を初め、関係者の皆様の御努力の結果であります。東部地域に暮らす者の一人として、感謝を申し上げます。 まず、安芸区域の中核病院である県立あき総合病院の医療の提供状況について井奥公営企業局長にお伺いいたします。 ◎公営企業局長(井奥和男君) 県立あき総合病院では、平成26年の新病院としての開院以来、県東部地域の医療を支える中核病院として必要な診療機能の充実強化に努めてまいりました。 救急・急性期医療の面では、救急搬送件数が新病院開院前の1,271件から昨年は1,760件へと、管内の約半数を占めるまでにふえておりますし、手術件数のほうは641件が昨年度は873件へと伸びております。こうした結果、新たな入院患者の合計は、循環器疾患や外科などを中心に2,412人から3,051人へと大幅にふえてきております。 また、急性期後の患者さんの受け皿不足への対応といたしまして、病棟の一部を地域包括ケア病棟へと転換し、リハビリを提供しながら在宅復帰を支援するといった、円滑な在宅療養に向けた機能なども担っております。 ◆13番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。 また、私は、県立あき総合病院には安芸地域の中核病院として、医療の提供だけでなく、地域の医療の質向上のための研修の場の提供など、医療従事者のスキルアップに資する役割を果たしてもらいたいと、そのように考えております。そのためには、今以上に医師や看護師の確保や、施設の充実が求められると思います。 県立あき総合病院が、安芸地域の中核病院としての役割を果たしていくためにも、これからも機能の充実を図っていく必要があると思いますが、井奥公営企業局長の御所見をお伺いいたします。 ◎公営企業局長(井奥和男君) 医療資源が不足している保健医療圏において、地域医療を支えていくために期待される機能の充実強化を図るといったことは、県立病院の重要な役割だと認識をいたしております。このため県立あき総合病院といたしましても、地域の急性期医療を支える機能の充実強化を図るのはもちろんのことですが、地域医療を支えていくといった観点からの公立病院としての役割をしっかりと果たしていく必要があります。 具体的には、回復期病床が不足している地域の実情も踏まえまして、円滑な在宅医療へとつなげるための、地域包括ケア病棟の機能のさらなる充実強化を図りますほか、地域の医療機関への、診療応援のための医師派遣の取り組みの拡充などにも努めてまいります。あわせまして、議員のお話にもありました、医療従事者の育成や確保に向けた、地域が主体となった取り組みをサポートしていくといった役割などについても、積極的に担っていく必要があるものと考えております。 ◆13番(弘田兼一君) ぜひよろしくお願いをいたします。 構想区域の基本的な考え方では、急性期、回復期及び慢性期の機能区分については、できるだけ構想区域内で対応することが望ましいとされています。現在、安芸区域では、急性期医療と回復期医療は県立あき総合病院と田野病院が担っています。かつては室戸病院も担っており、安芸・芸西、そして中芸、芸東地域にそれぞれ1施設、急性期と回復期の機能があり、安芸区域は、県立あき総合病院を中心として中芸と芸東で補完していくという、ちょうどいい病院の配置になっていたように感じます。 室戸病院の閉院に伴い、入院医療・外来医療とも、安芸区域の医療機関は大きな影響を受けています。あき総合病院では、室戸からの急患がふえたそうです。一定の治療を終え回復期に至った患者を高知市の病院に送ることが多いと、前田院長からお聞きをいたしました。室戸に受け入れることのできる医療機関がないからであります。 私は、芸東地域にも一部の急性期と回復期の機能を有する医療機関が必要だと思いますが、山本健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) あき総合病院や中央保健医療圏の医療機関で急性期医療を受けた後は、住みなれた地域の医療機関や居宅で療養を継続することが望ましいことから、室戸市を含む芸東地域で回復期を担う機能が一定必要ですし、短期の急性期医療で安芸や中央まで出かけなくても済むよう、そうした機能を有する医療機関があることが望ましいと考えています。 ◆13番(弘田兼一君) どうもありがとうございます。私もそのように思っております。 次に、私が室戸病院の閉院のことを知ったのは、ことしの1月6日であります。ある市民から、室戸病院の正面玄関の張り紙に1月末で閉院するとあるが本当かとの、電話での問い合わせがありました。私は、県、室戸市、あき総合病院の3者で病院の存続と医療の提供について協議していると聞いている、廃止の話は聞いておりませんと、電話でお答えいたしました。 状況を確認してみると、市長も市役所の担当課も把握していなかったことがわかりました。室戸病院から市役所に事前の連絡もなく、廃止することを知ったのは、病院玄関前の張り紙の情報からです。非常に違和感を覚えます。市長や市の担当課が知らなかったこともそうですが、何より室戸病院が、県や市役所など関係機関に何の前ぶれもなく、廃止の3週間前になって玄関の張り紙のみで告知をしたということであります。 室戸病院には多くの患者が通っていました。民業といえども、地域医療を担っている病院です。患者に対する責任があると思います。また、行政がきちんとした対応をするためには、十分な時間が必要だと思います。今回の室戸病院の対応は、法的には問題がないことかもしれません。しかし、医療の提供は、地域住民の命を守ることに直結しています。 このような場合、報告義務を条例に規定するなど、何らかの対策が必要だと思いますが、山本健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 病院の開設者は、その地域における重要な医療の担い手としての役割を積極的に果たす努力義務を有していますことから、病院の廃止に際しては、入院患者の円滑な転院や他の医療機関への外来患者の紹介などの対応は当然のことながら、それに加えて、地域住民や医療・介護関係者が混乱することのないよう、地元自治体を初め関係者と協議を行うなどの道義的責任があると考えています。 今回、室戸病院が最終的に病院を廃止するに当たって、県等に連絡がなかったことは、県としても大変遺憾と考えております。病院の廃止に係る手続は医療法に定められているため、県独自の義務規定を条例で定めることは考えていませんが、県としても、立入検査などを通じて医療機関の状況の把握に努めるとともに、こうした事例が起こらないよう、必要な指導を行ってまいります。 ◆13番(弘田兼一君) ぜひ指導をよろしくお願いいたします。本当に、私が地域を回っておりまして怒られもしますし、それからいろんな話を受けます。本当に室戸市民にとって急でありましたので、医療機関で薬をちょっと多目にくれたりとか、そういう配慮はしてくれておりますが、かわりの病院はどこであるかとか、そういったことを本当に相談も受けますし、怒られもしますし、大変な状況になっておるということであります。 そういったことで、私は、昨年末から時間を見つけて、私たちの仲間と室戸市のそれぞれの地域で挨拶回りをスタートさせております。ことしに入ってから会うことのできたほぼ全ての人から、救急に対応できる病院を再建してほしい旨の要望を受けております。 また、室戸市民有志の動きとして、室戸病院再建の署名活動がなされました。たった2週間で4,000名を超す署名が集まりました。2月13日に室戸市長に会い、室戸病院存続の要望書と署名簿を手渡したということであります。2月22日には、室戸市議会議長に同じ旨の請願を提出したということであります。 地域医療の提供は室戸市民にとって大きな問題ですし、多くの市民が病院の再建を願っています。私と市議会議長と副議長は、室戸市に地域医療を確保するためには、公立の病院、市民病院が必要ではないかということで、意見が一致をいたしております。 そうしたことから、室戸市議会の所管委員会である産業厚生委員会が、勉強会をスタートさせました。まず2月1日、健康政策部、家保副部長を講師としてお招きしまして、地域医療の確保に向けてというテーマで、勉強会を開催いたしました。私も参加をさせてもらいましたし、この勉強会で芸東地域での医療確保についての可能性を感じました。 市役所の中には、病院の再建は不可能と言う人もいます。室戸市の医療が今のままでよいと思っているのでしょうか。私は、諦めてはいけないというふうに思っています。現に、室戸市より人口規模の小さな町村でも、立派に公立病院を経営しているところがあります。 山本健康政策部長にお伺いをいたします。一概に言えないかもしれませんが、県下の市町村立の病院や診療所の経営状況についてお伺いをいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 市町村立の診療所の経営状況については、法に基づく届け出の義務がないため把握できていませんが、市町村立の病院については、総務省の病院事業決算状況等で経営状況が把握できています。直近の平成27年度の県内7市町村立病院の決算状況では、医療提供に係る経営指標である医業収益を医業費用で割った医業収支比率は80.1から104.7の幅にあり、赤字が6病院、黒字が1病院となっています。 また、自治体病院には公営事業として一般会計からの繰り入れが認められており、一般会計繰出金の80%の交付税措置があります。その繰り入れを含めた経営指標である経常収支比率は96.6から108.4で、赤字が3病院、黒字が4病院となっています。 ◆13番(弘田兼一君) どうもありがとうございます。地域の公立病院を支えるいろんな制度があるというふうにお聞きをいたしました。私も、そのほかにいろいろ、財源的に赤字が出たら補填ができるような財源を構えて、きちんと対応できるようにしたらという案も持っております。そういったことでいろいろ計画をして、芸東地域にきちんとした地域医療が提供できたらいいなというふうに感じております。 今、高知県の医師や看護師の数は、基準より多いという話をよくお聞きいたします。週刊誌にも出ておりました。全国で1番ということでありました。しかし、これは私の実感とはかけ離れています。現に、室戸市民から、高血圧の薬をもらいに行くのに病院に着いてから3時間も待ったという話も聞きますし、新患お断りの張り紙をした診療所もあるとお聞きをいたしました。 また、ある診療所では、室戸病院閉院の影響で患者が多くなり過ぎて、医師が昼食もとらずに診療を続けているともお聞きをしております。地元の医師も看護師も頑張っていますが、いつかは限界が来ると思います。医師や看護師が健康を損ね医療提供ができなくなり、地域医療が崩壊してしまう、このことを私は心配します。原因の一つに、医師や看護師などの偏在があります。 県は、このような医師や看護師など医療従事者の偏在解消のためにどのような手だてを講じておられるのか、その成果は上がっているのか、山本健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 本県の人口10万人当たり医師数は全国3位、看護師・准看護師数は第1位ですが、高知市、南国市で勤務する医師が県全体の7割、看護師、准看護師は6割5分を占めるなど、地域偏在が大きな課題となっています。 県では、中山間地域で勤務する医師や看護師を確保するため奨学金制度を設け、その中で、卒業後県内の中山間地域にある指定医療機関などで一定期間勤務することを義務づけています。また、キャリア形成支援など、これまでの取り組みにより若手医師が増加に転じ、高知大学医学部附属病院で勤務する医師数がふえたことなどから、大学からの派遣により、あき総合病院を初めとする地域の中核病院の充実が図られるようになってきました。 また、新専門医制度においては、地域のかかりつけ医となる総合診療専門医を新たに養成し、その研修過程の中で医師不足地域に勤務することになります。医師不足地域にある医療機関に対しては、県立病院などからの医師派遣や代診の仕組みも設けていますが、医師不足地域で効果を実感していただくには、派遣元の体制がさらに充実するまで、残念ながらまだもう少し時間がかかる見込みでございます。 看護師については、中山間地域の指定医療機関に就職した新卒の採用者58人のうち、奨学金貸与者が64%に当たる37人であるなど、奨学金制度が中山間地域の看護職員確保に一定貢献しているものと考えています。また、訪問看護師についても、高知県立大学に寄附講座を平成27年度に設置して育成に取り組むことなどによりまして、平成26年の210人から281人に増加するなど、全国的にも高い伸び率を示しています。 今後とも、医師及び看護職員確保対策を促進し、地域偏在の解消に努めていきたいと考えています。 ◆13番(弘田兼一君) どうも丁寧な御答弁ありがとうございました。 県も地域医療の提供については、本当に大変な思いでやってくれているというふうに私も感じております。医師についても、奨学金制度を続けて何とか確保していこうと、その成果がだんだんあらわれてきたというふうに考えております。 ただ、先ほど部長が言われたように、私が暮らすような東部地域では、まだまだ感じることができません。もう少し時間がかかるというふうなことも理解をいたしますので、ぜひそういった制度を続けていただいて、私たちの暮らす過疎地でも医師がきちんといる、看護師がきちんといると、そういったように感じることができるように、ぜひ政策を続けていただきたいというふうに思います。 それから、室戸病院がなくなりまして、医療の提供だけではなくて、いろんなところに影響が出ております。この前、室戸高校の校長と話をしていまして、えらい受験者数が少なくなったねという話を校長にしました。生徒が少なかったのかと聞いたら、校長が、実は室戸病院の影響でありますということでありました。やはり食べるために看護師さんも働かんといけませんので、室戸病院をやめて、高知とか、室戸市外の病院に勤めたということであります。そのおかげで室戸中学校の生徒が10人ぐらい転校したというふうなことでありまして、校長が想定しておった受験者数よりも少なくなってきたというふうなことでありました。 病院とか、いろんな事業をするところは、本来の目的だけじゃなくて、いろんなところに波及をしていきます。過疎地、中山間地域については、本当にいろんな影響がありますんで、ぜひ地域医療の確保については、そういった別の視点もあるというふうなことも頭の隅に置いていただければ幸いであります。 今回の質問は、実は私、予定に入っていなかったんですけれど、無理やり30分いただいて、質問をさせていただきました。ほかの皆さんには時間をもらって申しわけないと思っておりますが、どうしてもこの室戸の医療の確保については質問をしておかなければいけないという思いで質問をさせていただきました。本当にありがとうございました。 最後に、3月はお別れの時期であります。質問に登壇された皆さん、お別れの挨拶をしておりました。本当に、県庁をこの3月末で退職される皆様、御苦労でありました。また、4月になれば、新しい出会いとか新しい生活がスタートすると思います。新しい生活を楽しんでいただいて、またこれまでの知見を高知県民のために返していただければ幸いであります。 以上をもちまして、私の一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、弘田兼一君の質問は終わりました。 ここで午後4時50分まで休憩いたします。   午後4時44分休憩-----------------------------------   午後4時50分再開 ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 依光晃一郎君の持ち時間は40分です。 15番依光晃一郎君。 ◆15番(依光晃一郎君) 最後の質問者となりました。今議会は働き方改革、残業ゼロというようなお話もありましたが、なぜか私の時間が5時半までということで、皆様方には残業をお願いすることになりますが、よろしくお願いいたします。 本日は、担い手の確保について質問をさせていただきます。 知事の提案説明にもありましたとおり、担い手の確保は高知県政のとても重要なテーマとなりました。第3期産業振興計画でも、成長の壁を乗り越えるということが主要なテーマとなっております。完全雇用状態を背景とする人手不足の深刻化は、地産外商の取り組みを継続していくためにも、新たな取り組みにチャレンジしていくためにも、乗り越えなければならない経営上の大きな壁となりました。人手不足に対応する、担い手確保の抜本強化と省力化・効率化に向けたサポートの強化の2つの柱のうち、本日は担い手の確保というテーマについて議論を進めさせていただきます。 この担い手確保については、高知県出身者のUターン就職支援、県外出身者を移住者として呼び込む移住施策、また短期的な労働者としての外国人研修生制度など、それぞれについての議論や施策が進んでいるところです。また、県内在住の定年退職者や専業主婦に、もっと担い手になってもらうという考え方もあります。働きやすい職場づくりの取り組みが進んでいますし、来年度からは農業と障害をお持ちの方々との連携である農福連携の取り組みも始まるということで、これまで仕事につきたいと思っていた方々が、仕事ができるようになるのではと期待するところです。 さて、Uターン就職支援、県外出身者を移住者として呼び込む移住施策に加え、新規卒業者の県内就職について考えます。高知県で学んだ高校生、大学生が、高知県を選んで担い手となるために、今の高知県に何が必要でしょうか。私は、高知県で働くからこそ幸せだという価値観を、自信を持って言い切れることではないかと思います。あなたは、高知という土地を選んで働いていますか、高知で働くことに自分自身で納得していますかという問いに対して、きちんと答えられるかどうかが高知県において問われています。産業振興計画の言葉をかりれば、あなたは地域地域で誇りと志を持って働いていますかという問いに答えられる県政を意識すべきということになります。 高知県で働くことが幸せかということについて、県内で調査をした事例として、平成28年に土佐経済同友会が、高知県民総幸福度に関するアンケート調査を行いました。アンケート結果については、あなたは高知で暮らして幸せだと感じますかという質問に対して、感じる、大いに感じるを合わせて61.8%、感じない、全く感じないが合わせて6.8%、またどちらでもない、わからないが30%でした。個人的には、幸せ度は高いのかなという感想を持っております。 働くことに関する質問では、仕事と生活とのバランスがとれていると感じますか、仕事にやりがいや充実感を感じますか、あなたのお住まいの地域では自分の能力を発揮できる仕事があると感じますかという質問項目がありました。それなりによい結果ではありましたが、今後、県のほうでもアンケートを実施して、継続した傾向を分析することも必要ではないかと考えるところです。 まず最初に、県の産業振興計画が成果を上げ続けていくためには、高知県で働くことがその人の人生にとって幸福につながっているという実感が重要だと思っていますが、高知県で働くことが他県で働くよりも幸せだというメッセージをどう発信していくのか、知事にお聞きをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) まずは、高知県で働くからこそ幸せだと言える状況をつくっていくように努力するというのが私の職務だと、そのように思っています。これについては、必要条件と十分条件を両方満たさなければならんのだろうと思っています。 必要条件という意味でいけば、高知で暮らすこと、これについて少しでも安心の感覚が高まるということが大事だろうと、そういうふうに思っています。この点についてもっと言えば、給料が十分な量になって云々かんぬん、暮らしがしっかりできるようになっていると、そのことが非常に大事だろうと思います。 1人当たり県民所得でいけば、大体、今高知県は30位台の半ばぐらいという状況です。1人当たり雇用者報酬、いわゆる1人当たりの給料ということでいけば、大体25位前後で今推移をしているところでありまして、まだまだ改善すべき余地は大きいというところでありますが、それぐらいの状況ということかと思います。 もう一つ、十分条件も満たさないといけない。それは何かというと、高知で働くと志を満たせると、やりがいがあると、そういう状況をつくっていくこともまた大事だろうというふうに思います。 1事業所当たりの従業員数というのが、高知県は7.9人、全国でいけば10.7人、一人一人の果たす役割は大きいというのが高知県ということだろうと思います。ただ、もっともっと、例えば中山間地域にあって、世界を相手に地産外商する仕事を一緒にやっていこうではないかなどという形で、若い人たちも含めて、高知で働くことについて大いに志を満たすに足ると感じてもらえるような、そういうやりがいのある仕事をたくさんつくり出していくように努力するということも、また求められているところかなと、そのように思っています。 現状はどうか、移住者の方が、かつては120組、昨年度は683組おいでいただいたということでありまして、少し改善の度は増しているのかなと思いますが、しかしながらまだまだだろうと思います。ある意味、正直に現状はこうです、もっとよくするためにこう頑張ります、そういうメッセージを発していくということかと思っています。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。本当にやりがいのある高知県ということで、移住者の方々が本当に生き生きと活躍しているのを見ると、高知県やるなというふうに自分も思います。 また、給与面の話がありましたが、働くことについての本音ということで、高知県の給与水準の問題もあると思います。高知県は他県と比べて新卒の初任給が低い傾向があり、県外に進学した大学生で、高知に帰ってくる若者の割合は2割にとどまる現状です。このことについて、日本銀行高知支店の大谷前支店長が、高知県の労働分配率の低さについて講演や新聞で問題提起をされました。前支店長によれば、業種別、規模別の全国平均の労働分配率をもとに、高知県の産業構造から推定される労働分配率を計算すると77%となる。実際は59%であり、説明が難しいということでした。高知で働く人の給料が低いのは、高知県企業が全国的な水準で給料を出していないという指摘です。 このことについて経済学が教えるところでは、労働市場において需給が調整され、今後賃金は上がっていくのだと思います。しかし、重要なのは、その賃金上昇がいつまでに実現するかというスピードです。現状では、県内だけでの人材の奪い合いでなく、県外企業も加わった中での人材の奪い合いとなっており、県外との差が広がらない対応を早くとらなければ、給料の高い県外に担い手が流出していくと危惧をするところです。 私自身は、行政が企業に対して賃上げを要請することには抑制的であるべきだと思いますが、一方で県内企業が成長の壁を乗り越え発展していくために、今後の担い手となる新卒者が県外企業に引き抜かれないよう、県内企業の魅力を高めていく必要もあると思います。例えば、初任給を急に引き上げることは無理でも、新卒者が自分の将来の人生設計が描けるように、県内企業において賃金体系の整備を行っていくことも必要ではないかと考えるところです。 そこで、高知県は県内企業の賃金体系の整備を支援していくお考えはないか、商工労働部長にお聞きをいたします。 ◎商工労働部長(中澤一眞君) 本県の賃金について、産業振興計画に取り組む前の平成20年と直近の28年の1人当たりの現金給与総額を比較しますと、国が4.7%減に対して、本県は2.8%の増となっており、改善が進みつつあるというふうには思いますけれども、一方で絶対水準ではまだ国の93.2%にとどまっているという状況でございます。 お尋ねのありました新卒者の就職に関しまして、平成27年に県が県内の高校生、本県出身の県外大学生などを対象に行った調査の中で、県外での就職を希望する理由のうち、就職先に対するものとして、希望する就職先がある、それに次いで、給料や待遇などの労働条件がよいということが2番目に挙がっております。こうした状況も踏まえますと、さらなる賃金の引き上げにつながっていくよう、今後とも産業振興計画におけるさまざまな取り組みを通じて、より多くの企業で、賃金の源泉となる安定した収益構造をつくり出していくことを目指していく必要があるものと思います。 その際、お話のありました賃金体系を整備することで、社内でのキャリアパスが明確となり、新規卒業者にとっても将来設計を描きやすくなりますので、大変重要な取り組みだというふうに思います。県としては、人材を求める企業の皆様に賃金体系の整備を初め福利環境の充実など、労働条件等を整えていただけるよう、来年度から新設をされます働き方改革推進支援センターが行うセミナーや専門家派遣などの支援と、事業戦略の取り組みを一体的に進めることなどを通じて、企業の皆様の取り組みが一層進みますよう支援をしてまいります。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。賃金体系の整備について前向きな御答弁をいただいたと思います。給料を上げるためには、当然企業が成長していかんといかんし、売り上げも上げんといかんということやと思います。その中で、設備投資であるとか、そういったような支援ということはこれまでもあったんだと思うんです。意外と、賃金体系は、うちは小さい会社だから必要ないということもあったかと思うんですけれど、やっぱりどんどん伸びてくるときに賃金体系というのがないと困るんだと思います。 先ほどもありましたけれど、キャリアパスという意味でも、従業員さんが個の能力あるいは売り上げを上げることでボーナスがもらえるとか、それがモチベーションになるんだと思うし、もう一つ、中途採用する際に、どれだけの賃金でというところで、企業が結構悩むんだと思います。そのときに当然低かったら来ないわけですけれど、高くし過ぎたときに、社内的に説明ができないと、急に来た人間のほうが給料が高いとなると、会社の方のモチベーションが下がってしまうわけで、かえってよくないということもあって。お金って非常にシビアな問題だし、やっぱりそこでジェラシーとかいろんなものが入ってくると思うんで、ぜひとも賃金体系ということも視点に入れてやっていただきたいと思います。 先ほどは高知県の給与水準の話をさせていただきましたが、高知県だから出せるメッセージについて前向きな御提案をさせていただこうと思います。最近、国の資料などで人生100年時代という言葉をよく聞くようになりました。この人生100年時代について問題提起をした本が、昨年話題となった「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」という本です。この本は、長寿社会の到来に向けた、100歳までの人生を前提とした人生設計について問題提起をしております。 人生100年時代を考えたときに、60歳を定年と考えると、老後が40年続くことになります。20年学び、40年働き、20年の老後というこれまでの人生設計が、20年学び、40年働き、40年の老後という人生設計に変わります。このことに備えようと考える価値観の転換は、担い手確保という面から見れば、高知県にとって追い風と感じます。低い給料だが、やりがいがある、だから就職しませんかというメッセージではなく、豊かな人生を送るために高知県を選びませんかというメッセージを出すのです。 スピードの速い都会で40年働いて、さらに老後を40年過ごすというのはしんどいなあと思う人が多いのではと感じます。金銭的な余裕という意味でも、都会で年金を取り崩しながら生きるというのは、非常に心細い感じがします。しかし、高知のような土地であれば、中山間地域で80代現役というのは当たり前ですし、食料の自給も含め何とかなるような気がします。また、自然の豊かさ、人とのつながりという点では、圧倒的に高知のほうに軍配が上がります。100歳までの人生を考えて、高知県で仕事をすることが、人生100年時代を豊かに生きていくことの近道だという価値観をつくり出せないかと考えるところです。 また、高知県では、全国一学びの機会が多い県というキャッチフレーズで、土佐まるごとビジネスアカデミーを開講しております。人生100年時代というのは、年齢によって仕事や生き方を柔軟に変えるための学び直しが重要であって、高知県は他県に比べて積極的にアピールできる体制が整っているのではと思います。 そこで、高知県は、人生100年時代を前提とした豊かな人生に向けた学び直しができる高知県をアピールした、担い手確保へのメッセージを出していくお考えはないか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) 本県は、お話にありましたように、日本一学びの機会が多い県を目指して、土佐まるごとビジネスアカデミーの充実などに取り組んでまいりました。来年度さらに、IT・コンテンツアカデミーの開講や、林業大学校の本格開校あるいは文化人材育成プログラムの実施など、さまざまな分野で一層の充実が図られることとなります。 このように、時代とともに変化する学びのニーズに応じて、本県の取り組みを進化させながら、幾つになっても学び直しができる、新しいことにチャレンジできる県であることをあらゆる機会を通じて発信し、全国の認知を得ることが担い手の確保につながりますし、さらには本県が人材の宝庫になるためにも不可欠だと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございました。我々の若い世代というのは、定年まで同じ企業で働くということは余り想定されないだろうとも言われていますし、そういう意味で言うたら、転職とか、そういうことも人生の中で何回かあるというような、ある意味ライフシフトということが起こる際に、高知に来たら何とかなるんだということになってほしいと思うし、そうあるべきだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。 次に、小中学校におけるキャリア教育についてお聞きをいたします。香美市ではキャリア教育の活動が充実してきており、平成28年7月の対話と実行行脚で知事にも御視察いただいた大栃中学校は、大栃保・小・中の物部地域学校協働本部、物部っ子を育てる会として、文部科学大臣表彰を受賞しました。この取り組みの中で、子供たちが物部のガイドブックをつくったり、商店街を活性化する物部っ子商店を実施したりと、郷土愛、チャレンジ精神、コミュニケーション力を育んでいます。香美市では、よってたかって教育という言い方を使い、子供たちの教育を学校の先生だけが担うのではなく、多くの大人と接する機会を意図的につくることで、子供たちの成長を促しています。 そして、香美市のよってたかって教育の一大イベントとして、毎年秋にキャリアチャレンジデイが開催されています。昨年は、10月21日に香美市の3つの中学校の1、2年生全員参加で開催されました。昨年で4回目となります。この事業は高知工科大学を会場に、香美市内外の21事業所がブースを構え、生徒たちが興味のあるブースを回って、仕事の魅力ややりがいについて聞くというものです。また、インタビューの想定問答を事前に考え、企業からの答えを事前に予想して、その答えに対するさらなる質問を考えるというようなこともやっており、考える力の訓練にもなっていると思います。 そして、イベント後の振り返りの学習として、3つの決意表明をします。1つ目、意思、将来どんな職業、職種につきたいか。2つ目、役割、今自分が果たす役割、できること、すべきこと。3つ目、能力、これらの達成のために伸ばしていきたい、身につけたい能力というものです。香美市の中学生は、3年間に2回この授業を受けることになります。中学生から自分自身の人生をどうするのか考え、その夢に向かって努力することを学んでいます。 この地域社会を教材としたキャリア教育と、その一環として実施しているキャリアチャレンジデイについて、私は高知県で活躍できる人材育成につながるすばらしい取り組みであると思いますが、教育長のお考えをお聞きいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 一言で言いますと、香美市のキャリア教育はすばらしい取り組みだというふうに思います。その一環として実施されておりますキャリアチャレンジデイは、香美市内外からさまざまな職業人を招いて、働くことの意義や喜び、またこれまでの努力や苦労について生徒とともに語り合う機会を持つもので、子供たちは、このことをきっかけに生き方を考え、夢や志をつくり、学習意欲を高めております。 新学習指導要領においては、教育課程を社会に開くことを重要視し、またキャリア教育の充実を求めております。そのような意味からも、香美市のこのような取り組みは、地域とともに学ぶキャリア教育のモデルとなるものであり、高く評価されるものと考えております。 教育委員会といたしましても、これまで、キャリア教育を充実させるための啓発リーフレットを作成しておりますが、そのトップに香美市の取り組みについても紹介してきたところでございます。今後も、こうしたすばらしい取り組みが一層広がるよう、教育長会や校長会などでも周知していきたいと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。 次に、山田高校についてもお聞きをいたします。山田高校はこれまで、特色がないのが山高の特色と言われるほど、目立つことのない学校であったのだと思います。しかし、最近の山田高校は、濱田久美子校長が来られてからの4年間で大きな変化を遂げました。特に、学校支援地域本部等事業と連携した、総合的な学習の時間は、全国的に見ても先進的なカリキュラムであると感じています。 1年生の総合の学習は、前期に香美市商工会企業のCMをつくる課題に取り組み、後期は市に政策提言をするというカリキュラムとなっています。前期の「香美市28社の企業CM制作~チームでイノベーション~」は、第32回高知県地場産業大賞の次世代賞を、安芸桜ケ丘高校、須崎工業高校、嶺北高校とともに受賞しました。また、2年生が1年間かけて取り組んだ、県政課題解決のための知事への政策提言という授業では、2月9日に知事や県庁部局の御協力のもと、正庁ホールにて発表させていただきました。 知事への提言について、3つ御紹介させていただきます。1つ目は、高知県の体力向上対策をテーマにしたチーム。タイトルは「リアルな鬼でハラハラ・ドキドキ大作戦」。課題意識は、児童の体力が全国平均を下回っている一方で、スポーツクラブに所属している児童の体力は全国平均を上回っていること。そこで、高校生が小学校に出向いて独自の鬼ごっこを企画し、児童に体を動かす楽しさを知ってもらう、また同時に、スポーツクラブに勧誘しようというものでした。 2つ目は、地震対策をテーマにしたチーム。タイトルは「ペットと一緒に過ごせる避難所づくり」というものです。このチームの課題意識は、地震時の避難所でペットを飼っている人が避難生活で困るのではないかというもの。そこで、ペットを飼っている人同士が助け合える体制をつくることができないかと考え、ペットを飼っている人による運動会を事前に企画するというアイデアでした。 3つ目は、観光振興をテーマにしたチーム。タイトルは「はりまや橋を“残念”だけで終わらせない!」。問題意識は、はりまや橋は有名な割にリピーターが少ない。そこで、日本三大がっかり名所をむしろ積極的にPRする。同時に、はりまや橋での写真撮影を定番にするため、着物や衣装レンタルができるシステムを構築し、周遊コースもつくるというものでした。 これらの提言は、基礎データ、根拠をきちんと前提にしたものとなっており、1年をかけて企画をブラッシュアップしていることから、それぞれの生徒が、自分たちが考えたプランについて自信を持って発表してくれました。そして、知事からの鋭い質問についても、自分の言葉で回答することができるほどの成長をなし遂げたのだと思います。 まず、知事に、山田高校生徒の発表について御感想をお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 私も一言で言わせていただければ、大変すばらしいと、そのように思いました。願わくばもっと長い時間とって、もっともっといろいろ質問もさせていただいて、いろいろ対話ができればなと思いましたが、私のちょっと時間の都合で短くなってしまって申しわけなかったと、そういうふうに思っています。でも本当にすばらしい発表で、やっぱり子供らしい、私たちとはまた違う切り口を持っていて、なるほどなと思うこともありましたし、また大人並みの本格的な分析を深めた側面もありましたし、本当にすばらしいことだと思いました。 ああいう形で課題を自分で見つけて、そして調べて発表して、人と議論してそれを高めて、多分大人になると、もう一つこれを実行してというのが加わってくるんだろうと思いますけれども、山田高校の皆さんがやられたことというのは、まさに大人になってこれからやっていくであろうことを先取りして学習していくようなお取り組みなんだろうと、そういうふうに思いました。 ゆえに、もってして、ああいう勉強をしていく中において、何ゆえ勉強しないといけないのかとか、そういうことなんかについて本当に腹に落ちる形で多くの皆さんが実行されていったんじゃないのかなと、あらゆる意味において、本当に有意義な取り組みだなと、そういうふうに思わさせていただいたところです。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。本当にお褒めをいただいて、山田高校の生徒さんにも伝えたいと思います。8チーム発表させていただいたんですけれど、実は24チーム、知事に発表したかったといって残念がっていた子供たちがいましたけれども、本当に全員…。優秀なチームだけが知事に発表したということでもなかったんだと自分は思うんで、資料もまた見ていただければと思います。 次に、教育長にもお聞きをいたします。このカリキュラムは、これからの時代に求められる資質、能力が身についているかどうかが評価となるのではと思いますが、山田高校の2年生の取り組みが主体的・対話的で深い学びとなっているか、評価をお聞きします。 ◎教育長(田村壮児君) 新学習指導要領で重視されております学習のあり方である、主体的・対話的で深い学びであるためには、生徒が主体的に学ぶことと自分の人生や社会のあり方を結びつけること、多様な人々との対話を通じて考えを広げたり深めたりすること、さらに知識を単に記憶する学びにとどまらず、身につけた知識、技能がさまざまな課題の対応に生かせることを実感できるような学びの深まりといったことが要件となります。 このような視点で見ていきますと、県の課題をチームで考え、その解決策について根拠をもとに提言する山田高校2年生の取り組みは、まさに主体的・対話的で深い学びが実現している事例であると高く評価ができます。 今後、次のステップとして、この取り組みをさらに充実させるために、これまで以上に総合的な学習の時間と各教科などとの相互のかかわりを意識しながら、育成したい資質、能力に対応したカリキュラムマネジメントを行うことにより、県内の先進校としてこの取り組みをさらに進化させていただきたいと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。 これらの山田高校のカリキュラムは、香美市商工会や、香美・香南・南国3市の行政関係者、そして県庁の皆さん、調査対象の団体企業の協力がなければ実現することができません。このカリキュラムを支えるのが、学校と関係者の間に立って調整をする地域連携コーディネーターの存在です。山田高校では3人の民間人と2人の高知工科大生の5人の方々にお願いをしました。また、大学生メンターにも参画いただいています。大学生メンターというのは、政策立案をする高校生チームのよき相談相手で、高校生がぶつかった壁について乗り越えるお手伝いをする役目です。 このカリキュラムのスタート時には、山田高校の先生方にはとても不安があったように思います。本当に高校生がCMをつくれるのか、市長や知事に提言をつくれるのかという不安です。また、責任感が強い先生方ですので、生徒にかかわってくれる大人に迷惑をかけるのではという不安もあったと聞いています。この不安に対して、濱田校長は3つのことを示しました。生徒に課した課題のレベルを下げないこと、生徒の失敗は成長として前向きに捉え、チャレンジを評価すること、かかわってくれる大人に対して過度の遠慮はせずに、生徒のしつけは学校と地域の共同責任であると示し、先生の負担感を和らげたことです。校長の明確なビジョンがあり、そして地域連携コーディネーターの5人がいたからこそ、このプログラムが実現できたのだと思います。 私は、このプログラムは、郡部高校の魅力を高め、生徒の高知県内就職を促進させるすばらしいカリキュラムであると感じております。また、多くの学校で実践してもらいたいとも思います。この地域連携コーディネーターは、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の重要な人材であり、世話好きの県民性を最大限生かせる高知県教育の特色を生み出すキーパーソンになる潜在力があります。 この地域連携コーディネーターの役割について教育委員会として検証し、人材の発掘、育成についての研究を進めていただきたいと考えるが、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) お話のありましたように、山田高校の地域連携コーディネーターは、教育活動プログラムの企画・提案段階からかかわり、地域との調整からプロジェクトを円滑に進めていくための運営管理まで、その成果を左右する重要な存在として活躍をいただいており、目指すべきコーディネーターのあり方の一つとして高く評価をしております。 県では、来年度から、コーディネーターの発掘、育成のための研修会を実施し、現役のコーディネーターや市町村が候補者として期待する方、学び場人材バンクに登録している方などを対象に、活動に必要な基礎知識の習得や、活躍しているコーディネーターのノウハウの共有、参加者間の情報交換などを行うことを考えておりまして、こうしたことを通じて、山田高校のコーディネーターのようなコーディネーターの発掘、育成を進めていきたいと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。本当に前向きな答弁でうれしく思います。高知大学に教職大学院というので、学校運営コースができたと聞きました。また、高知大学のほうとか、またいろいろな大学とも研究成果を共有してやっていただくと、本当に高知県教育、変えられるんじゃないかなというふうに思っています。 国は、新しい学習指導要領で探究という言葉を多く使っています。私は、この探究というのは、生徒が自発的に学ぶ力だと解釈しています。高知県では、D3層という、勉強の進みぐあいの遅い生徒への対応を進めることとしていますが、私は、中学生と同じやり方は高校生には通用しないだろうと思っております。勉強をやれと言ってやる高校生は、そもそも自発的ではありません。学力が上がったとしても生きる力にはなっていないだろうと思います。 私は、山田高校の生徒がなし遂げたことは革命的だと思っております。山田高校は、香美市にありながら香美市の中学生からの評価が低い学校でもあります。成績のよい生徒は高知市内の高校に進学することから、山田高校にはD3層の生徒が多く、あわせて山田高校の調べたアンケートでは自尊心が低いという結果が出ています。そんな子供たちは、入学当初はまさに中学4年生で、こちらが質問しても、周囲の友達を見てもごもごと答えるような生徒です。そんな生徒たちが、例えば知事からの質問であっても、自信を持って答えることができるようになったという成長の伸び率が、私は革命的と感じます。 私は、この山田高校のカリキュラムは、学習指導要領が目指す生きる力の育成や新成長戦略が掲げる課題発見・課題解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力など、重要能力、スキルの確実な習得を実現したものだと感じております。山田高校の生徒が探究する力を深めていった3つのステップは、1つ目にCMづくりということで、近所のおじさんおばさんへの取材、2つ目に、身近な町について調べ、市長に提言、3つ目に、自分の将来につながる興味のあるテーマを選び、知事に提言するというものです。 生徒たちは、少しずつ世界を広げ、またデータの活用も上手になっております。インターネットを使える現在の高校生にとっては、県庁のホームページや国の地域経済分析システム、RESASからデータを探し出してきて根拠を調べるというのは、今後当たり前になるのだと思います。また、来年度からは統計課が統計分析課にパワーアップするとも聞いておりますので、高校生の学びにも御協力いただければと願うところです。 今後、県内各地の高校が、総合的な探究の時間を使って、高知県の課題を解決するカリキュラムをどんどん実施していくと思いますが、高知県としての応援体制についてどうか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 先ほど申し上げましたように、山田高校の取り組みは、本当にすばらしい、本当に有意義な取り組みだと思います。同様の取り組みを、高知県の課題を解決するカリキュラムを、どんどん実施していく高校がふえてくるということになれば、非常に望ましいだろうなと本当に思います。 そのための応援体制として、幾つか具体的にも考えられるところではないかというふうに思っていまして、まずはデータの提供をするとか、専門的見地からの助言をするとか、こういうことをうちの関係課とコラボレーションしながら行っていくことがまず第1に考えられるだろうというのが1つ。そして、先ほど来お話のあります、コーディネーター役を果たす外部人材を御紹介させていただくということもありますでしょう。また3点目、ここが非常に大事だと思いますけれども、生徒の政策提言等の発表の機会を確保するということが非常に大事ではないのかなと、そのように思っています。 この機会がだんだんふえてきていると思っていまして、1つには「志・とさ学びの日」コンクールというのがあります。ことし、明治150年記念式典・成果発表フォーラムという形で実施させていただきたいと考えているわけでありますが、さらには高校生津波サミット、この機会もあるだろうと思いますし、さらにはものづくり総合技術展とか、そういう場をうまく生かすということも考えられるのではないかなと、そういうふうに思います。 こういう発表の機会があれば、しかもその機会がオープンで、一定しっかりとした形で構えられていれば、子供たちのモチベーションアップにもつながっていきますでしょうし、また先生方も年間カリキュラムをしっかり組んで、こういう授業に取り組むということもまた容易になってくるということになるのではないかなと、そういうふうに思います。ぜひこういう一連の取り組みを進めさせていただければなと、そういうふうに思っています。 ◆15番(依光晃一郎君) 発表の機会ということで、ありがとうございます。今回も知事のスケジュールをとれるのかというのが一番の問題意識やったんですけれど、発表の機会をつくっていただくというのは本当にありがたいことであると思います。 それと、1点だけちょっと山田高校で自分が心配していることがあるんですが、本当に山田高校は頑張っているんです。今月14日、高校入試のA日程で合格発表なんですが、実は受験生が減りました。普通科が88名、商業科が26名ということで、昨年は118名、30名やったんで、普通科で30名、商業科で4名減ったと、これは何なのかなとすごく残念に思っているんです。 1つ、中学校の成績が伸びた分、JRもありますから高知市内にチャレンジしたのかなと思うんです。やっぱり、山田高校の本当に残念なところなんですけれど、偏差値で見ると山田高校は低かったりするので、チャレンジといったときに、どうしても高知市内を目指してしまうというところです。だから、一、二年たった後の成果とか、企業さんは本当に山田高校の生徒が欲しいと言ってくれていて、そこのギャップがすごく問題になっているんで、またこれも、自分も答えがあるわけではないので、しっかり取り組んでいきたいと思います。 次に、ドローンを活用した授業についてお聞きをいたします。現在の高校生は、我々が高校時代にはなかったあらゆる先端機器が身近なものとなっております。大きな変化としてはインターネットがありますし、スマートフォンの普及は人と人とのコミュニケーションのあり方をも変えました。また、個人的に、大きな技術革新を生み出すものとしてドローンに注目をしております。 ドローンについては、現在でもいろいろな活用が検討されていますが、課題解決先進県としては、中山間の問題や南海地震対策への活用を考えたりと、高知ならではの活用方法があるのではと感じております。香美市では4月から林業大学校が開校し、先端的な林業を学ぶ中で、山の状態、木の生育状況などを知る手段として、ドローンの活用を学ぶこととなると思います。また、高知工科大学でドローンを活用した地域活性化の取り組みが進んでおりますし、香美市の農業法人の中にはドローンを使った農業を実践している方もいらっしゃいます。 例えば、山田高校でドローンに関することを学ぶ機会があれば、林業大学校や農業法人に興味を持って、香美市で就職したり、工科大に進学するモチベーションを生み出したりと、可能性を広げることもできるのではと考えるところです。既に山田高校では、1月にドローンに関する公開講座を実施しました。高知県の郡部の高校では、校内が飛行禁止区域というところは少なく、出前授業のような形で、まずは生徒に触れる機会をつくることから始め、将来的には、地域の課題解決にドローンを活用するという授業を、総合的な探究の時間を使って実施するということもできるのではないかと考えるところです。 そこで、高知県教育委員会として、ドローンに触れる機会を高校の総合的な探究の時間を活用するなどして実施するお考えはないか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) ドローンはさまざまな活用の可能性がありますので、魅力ある教育素材になり得るというふうに考えております。ドローンを学ぶことに関しましては、現在一部の工業高校において、ドローンの製作やドローンを活用した研究を行っております。また、教員の指導力を向上させるために、講演会や大学や企業の出前講座も実施をしております。 また、ドローンで学ぶ観点からは、現行の総合的な学習の時間や新学習指導要領の総合的な探究の時間において、ドローンの機能を用いてできることや、社会生活におけるさまざまな活用方法などの検討が可能となり、探究的な物の見方や考え方を身につける教材の一つとして活用できるというふうに考えております。 今後は、専門的な知識を有する外部の方々の協力も得て、ドローンを学ぶこととドローンで学ぶことの両面から各学校に情報提供するなど、ドローンを積極的に活用していきたいと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) 前向きな御答弁ありがとうございました。 最後に、今後担い手が必要になるであろう龍河洞についてお聞きをいたします。高知県のバックアップもあり、昨年株式会社龍河洞みらいが設立され、龍河洞が観光施設として高知県観光を引っ張る存在に生まれ変わるスタートが切られました。 高知県は、龍河洞の活性化について地域アクションプランにも認定し、積極的にかかわっていただいていますが、来年度以降の取り組みについて観光振興部長にお聞きをいたします。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) 龍河洞の活性化については、龍河洞まちづくり協議会が昨年策定した、龍河洞エリア活性化基本計画に基づき、魅力づくり、戦略づくり、体制づくりの3つの取り組みが具体的に進められております。来年度、魅力づくりでは、通路に滑りどめを設置する本洞の安全対策や商店街のフードコートの整備が行われ、また戦略づくりでは、将来龍河洞の運営を担う人材の育成や確保、ブランドづくりを進めることとし、香美市が龍河洞エリアの振興を担う地域おこし協力隊を配置するとともに、民間のノウハウを活用したプロモーションが展開される予定です。さらに体制づくりでは、物部川DMO協議会等とも連携して、物部川流域の他の観光資源と観光クラスターを形成し、観光客の周遊促進も進められます。 こうした来年度の取り組みを支援するため、県としても必要な予算を本議会に提出させていただきました。県としましても、平成31年度以降もこうした官民協働の取り組みを積極的に支援し、龍河洞の再活性化を図ることで、高知県観光の核となるような拠点施設に磨き上げてまいりたいと考えております。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございます。本当もう、龍河洞に関しては、観光振興部の皆さんに大変お世話になりましてありがとうございます。また、知事にも何回も龍河洞に来ていただいて、本当に今盛り上がっています。特に、2月にはバレンタインイベントということで、山田高校の生徒が龍河洞にかかわるというようなこともテレビで放映されたんですけれども、やっぱりその学ぶ場としても龍河洞はすごくいい場所に育っていますし、それと国が世界水準のDMOということを言っています。日本でもモデルになるんじゃないかなというふうにすごく感じていますので、ぜひとも今後とも御支援をよろしくお願いします。 退職者のお話がありまして、人生100年時代というようなこともお話しさせていただいたんですが、自分の地元にやなせたかし先生という先輩がいらっしゃいまして、もう本当に亡くなられる直前まで、94歳まで現役でやられました。アンパンマンで有名になったわけですけれども、「それいけ!アンパンマン」のテレビが放映されたのは何歳か御存じでしょうか。実は69歳で放映が始まって、69歳から亡くなるまで第2なのか、人生が花開いたということで、本当に学び続けてやる気さえあれば生涯現役だと思いますので、退職される皆様方はこれまでの御経験を生かしていただいて、高知県の発展のためにまた御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、依光晃一郎君の質問は終わりました。 以上で、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(浜田英宏君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表配付) ○議長(浜田英宏君) ただいま議題となっている第1号から第100号まで、以上100件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末487ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明9日から19日までの11日間は委員会審査等のため本会議を休会し、3月20日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(浜田英宏君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 3月20日の議事日程は、議案の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時32分散会...